「「文字」にまつわるアニメ制作を、軍事政権に散った若者たちへの追悼の祈りに変える試み。」名前のノート じゃいさんの映画レビュー(感想・評価)
「文字」にまつわるアニメ制作を、軍事政権に散った若者たちへの追悼の祈りに変える試み。
『ハイパーボリア人』の併映にて。
本編の実写長篇のほうはまったく乗れなかったが、
こちらは地味ながら、まだやりたいことは伝わった。
「文字モチーフ」を用いた「手書きアニメ」という、ある意味斬新なチャレンジ。
(「文字のアニメ」自体は、それこそ雨宮慶太『牙狼~GARO』なんかも含めて、いくつか前例は思いつくが、追悼のノートという題材は面白いと思う。)
『ハイパーボリア人』のように妙におちゃらけていない分、政治的側面も含めて素直に観られた。「軍事政権下で無名の者のように喪われた者の個人としての名前を、人々の記憶と記録に残す」という制作意図も明確だし、それを美術館における一般の若者とのワークショップで作り上げていくという、彼ら特有の制作工程にも明快な意味が見いだせる。
何より、アニメーション制作に必要とされる地道で「行」のような作業感と、「追悼」という祈りの行為の「相性」が良い。
逆にもう少しセンチメンタルな雰囲気で作ろうと思えば作れた作品を、敢えて「ざらっとした」テイストに仕上げているあたりが、レオン&コシーニャらしいといえるのでは。
このあいだ、ドゥダメルとベネズエラ軍事政権の確執を扱った映画を観たばかりなので、ことさら、南米ってのは一筋縄ではいかない地域だなあ、と。
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