劇場公開日 2025年3月28日

「期待度○鑑賞後の満足度○ 『ベターマン』というより『マイウェイ』という題名にした方が良かった…?」BETTER MAN ベター・マン もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0期待度○鑑賞後の満足度○ 『ベターマン』というより『マイウェイ』という題名にした方が良かった…?

2025年3月28日
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鑑賞方法:映画館

①私は1990年代から2015年くらいまではコンテンポラリーな洋楽は殆ど聴かなかった(ストリートミュージックとかヒップホップとかが余り好きでは無かったので。で、青春期に聴きまくった1970年代・1980年代の洋楽ばかり聴いていた)為、この映画をまではロビー・ウィリアムズのことは(テイクザットも勿論)知りませんでした。
従い、エルトン・ジョンの伝記映画『ロケットマン』やフレディ・マーキュリーの伝記映画『ボヘミアン・ラプソディー』といった自分が若い時に聞いていた(同時代感のある)人達の伝記映画ほどには入れ込めなかった点はある。

②『グレイテスト・ショーマン』は大大好きな映画(だから映画館に14回通いました)だけれども、冷静に1本の映画としてみると決して秀れた映画ではない。甘く見ても佳作といったところか。
楽曲が素晴らしかったこと、ミュージカルシーンの完成度と高揚感、シンプルなストーリー(話の中にミュージカルシーンがあるというよりも、ミュージカルシーンを繋ぐために話があるような、ミュージカル映画といよりボードヴィル映画と呼んだ方が正しいかもしれない)等が渾然一体となって稀有な映画体験になった奇跡の1本だと思う。

その監督の次作という点では期待はあったのだが、如何せん主役をお猿さんにしたという。私、動物の中ではエテ公が好きではない(だから『猿の惑星』のリプート版も殆ど観ていない)。
だから主人公や映画に共感や感情移入が出来るか心配しながらの鑑賞となった。

③で、鑑賞した感想はというと「猿にする必要あったの?」という感じ。
ロビー・ウィリアムズが自分のことを“猿”と呼んでいたからとかいう監督のコメントも読んだし、歌って踊れて演技力があってロビー・ウィリアムズに成りきれる役者が見つからなかったのかもしれないし、ロビー・ウィリアムズが自分で演じたいのだけれども流石に若いときの頃を演じるにはルックス的に無理がある、とか色々邪推できるけれども、要はCGで作った表情には限界があり最初は表情の区別がつかなかった。流石に中盤以降は分かってきたが、いくら目だけは本当の目であった(ですよね)とは言え、やはり生の人間の表情演技には叶わない。
笑った時の顔なんて、芸で笑わされているチンパンジーの笑い顔が想起されて仕方がなかったし…

で、肝心の映画としての出来の方だけれども、ミュージカルシーンは『グレイテスト・ショーマン』で受けたほどのインパクトはなかった(振り付けとしてそれほど進化していない?)。ただ、テイク・ザットの歌い踊るシーンを見ていると、現在のJ-POPやK-POPのボーイズグループはみんなこのパクリだったんだということが分かった(後で調べたら世界のボーイズグループの草分けみたいな存在のようだし)。
映画の振り付けは現在のボーイズグループ顔負けのキレキレぶりだっので、新しく映画用に振り付けしたのか全盛期もそうだったのかYouTube で見たら残念ながら少々ダサかった(でも当時はこれが斬新だったのでしょうね)。
ただ、1本の映画としては『グレイテスト・ショーマン』より映画らしくなっていて、映画の監督としては進歩していると思う。
但し、スターになった役者やシンガーがその過程・頂上で酒や薬に溺れる姿は今まで嫌になる程映画で見てきているので、その部分は「またか」で感興湧かず。

④『マイウェイ』という曲は、私には、酔わないと“わが人生に悔いなし”と言えないオッサン(私もオッサンですけど)がスナックでカラオケで歌う唄というあまり良くない印象が付きまとうのだか(こう書いてみるとヒドイ偏見ですね)、本作は今まで観た映画の中では『マイウェイ』を最も上手く使っている映画だと思う。
ラストのワンマンショーの場面は、殆どロビー・ウィリアムズがこれ迄見守り支えてくれた家族への感謝を述べるファミリー映画の体をなしているけれども、このパートがとても良かったので点数を嵩上げしています。

もーさん