「本当のところは誰もわからない」「桐島です」 sow_miyaさんの映画レビュー(感想・評価)
本当のところは誰もわからない
「これは、エンドロールで、監督名がど真ん中で止まるタイプの映画だな」と思っていたら、その通りだったのには笑ってしまった。
それでも、自分は結構好き。なんせ、内田勘太郎のスライドギターが、映像にバチッとはまって、すこぶる気持ちいいから。
後半に出てくる、河島英五の「時代おくれ」もいい。
昔、紅白で歌う河島英五に心を掴まれたことを思い出した。
桐島は、どうして人生の最後に、自ら名乗り出たのか。
捕まらずに逃げ切った人生の種明かしをしたのか。それとも、常に警察に怯えて過ごした人生の中で、最期くらい穏やかに逝きたかったのか。
満期で出所した宇賀神との対比から、色々と想像させられるが、本当のところは誰もわからない。
隣に住んでる甲本雅裕がいい味を出していた。
<ここから内容に触れます>
・それにしても、監督は、奥さんの高橋惠子をどうしても使いたかったんだなぁと…。
大道寺あや子ってことだと思うけれど、賛否が分かれるところだと思った。
あれによって、桐島の人生に、監督の色をかなり強く乗っけてしまったと思う反面、久しぶりの高橋惠子に素直にテンションが上がってしまったのも事実なので、自分は態度保留。
・桐島の元カノ、バーブラ・ストライサンドが嫌いなら、桐島のことも無理だろうなぁと思った。彼女はどんな人生を歩んだのかな。
・北香那、今作でも違った色を発見できて、ますます要チェック。(ばけばけの出演もうれしかったし)
・安倍内閣の2014の「集団的自衛権の行使に関わる憲法解釈変更の閣議決定」が、間違いなく今問題になっている高市首相の台湾有事発言につながっているわけで、公開時よりも、今現在の方が観るタイミングだったかも。
・桐島自身が関わった事件では、映画の通り誰も死んでないのだが、「連続爆破殺人犯」みたいなイメージが今も流布されているのは、ある意味誤った情報の一人歩きという点でちょっと薄寒い。

