劇場公開日 2025年2月8日

「落語とは人間の業の肯定」みんな笑え La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)

落語とは人間の業の肯定

2025年4月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 「落語とは人間の業の肯定」という立川談志さんの言葉をそのまま物語にしたような、初老になっても売れず人間としてもダメダメな落語家のお話です。

 落語に限らず、演芸・演劇・音楽その他の芸術でもこうして年とっても売れず、かと言って他の業種に移る事は今更できなくなった人は多くいるんだろうなとしみじみ感じさせられました。それは本人に才能が無いせいなのか、努力不足なのか、運が悪かったのか分からず、本人は不貞腐れていくばかり。

 一方、落語家を主人公にした物語を観る度に改めて思う事。殆どの場合は、俳優さんが落語家を演じるのですが、その噺がやはり本職の落語家とは全く違うのです。その所作のせいなのか、語り口なのか、間の取り方なのかは分からないのですが、俳優さんが演じているとしか見えません。端的に言って、噺がちっとも面白くないのです。本作は、売れない落語家の話だからそれでもよいのかも知れませんが、いや、若手の前座だってもっと落語家らしい語りだと思います。つまり、落語とはそれほどに難しい話芸ということなのでしょう。

 一方で、若手漫才師をめざす辻凪子さんの舞台での語りは、「この人、本当に売れる芸人さんになるかも」と思わせる勢いが感じられました。

La Strada