劇場公開日 2025年1月31日

「映画とリアリズム(超私的)」映画を愛する君へ 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0映画とリアリズム(超私的)

2025年1月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

2024年。アルノー・デプレシャン監督。幼いころに映画に魅了され、次第に映画漬けとなっていき、青年期に映画監督になろうと決意するまでの自伝的と思われる過程を、それぞれの時代の映画作品とともに描く。同時に、リアリズムをめぐる映画史的な議論を追いかけて、リュミエール兄弟からアンドレ・バザン、トリュフォー、ランズマンを取り上げて考察する。
個人的に偏愛する作品の魅力を詳細に解説し、その意義を裏付けてくれる理論(リアリズム)を追いかけて自分なりに解釈し、その道筋をフィクションとインタビューを交えて作品化するなどということは、多くの映画ファンが夢見ながらも現実には決してできないことであり、それをやっているのは映画好きとしてはうらやましい限り。ずるい。
もちろん、ここに挙がってないすばらしい作品は無数にあるし(「エイジ・オブ・イノセンス」への評価が高すぎないかとか日本映画は黒澤明「乱」のみでいいのかとか言いたいことはたくさんある)、リアリズムだけが映画理論ではないし、フィクション化するには無数の方法があるから、ダメだしすれば切りがない。しかし一つの作品として結実してしまうのはやはり「うらやましい」が先に立つ。

文字読み