「『異端の家』というよりは『真実の家』であり "blind faith" を巧みに操った代物なのかな⁉ ところで彼の持論... 宗教には欠陥があるってか?」異端者の家 Paula Smithyさんの映画レビュー(感想・評価)
『異端の家』というよりは『真実の家』であり "blind faith" を巧みに操った代物なのかな⁉ ところで彼の持論... 宗教には欠陥があるってか?
Hugh Grant says he was finally offered more 'interesting' roles
when he got 'too old and fat and ugly' to do rom-coms
本作品『異端者の家』が胸糞なのは分かる。分かるけど彼の『ノッティングヒルの恋人』の人を癒すイメージからすると... だからね、今回の作品に関しては、彼の顔に異様なまでも刻まれた深いシワは、たとえそれがメーキャップのなせる技としても彼がロムコムを卒業したのが分かるかもしれない。
home aromatics
BLUE BERRY
PIE
謎で得体の知れないリードという人物がどういう考え方や意識の持ち主なのか?その一端が想像できるアイテムとなっている。この何気ないサインを見たメインキャストの一人シスター・バーンズの顔色が青ざめる。その変わるシーンから映画を何だか知れないけど見入るようになっていくし、あたしなりにワンシーンでも見逃せないと思い始める。
でもね、彼女らは鼻ツンでした... 意味不明かな!?
その補足は、二人の監督の御言葉より
The blueberry pie in ‘Heretic’ is activated by Hugh
Grant’s Mr. Reed as a metaphor for blind faith and a
disturbing reminder to question everything. (VARIETY )
リードの宗教に対する持論が、的を得ていても人は、宗教に関してだけは声高には言わないのがマスメディアを通じて一般的流儀と思えるけども、その彼の辛辣な言葉が彼女たちに違和感をまず与える。そして、玄関が閉ざされ、二人のシスターが外に出れなくなった時に初めて違和感から身の危険を感じ始める。
前半のプロットの重要なところは彼の人格異常に気付いた時には、既に手遅れでシスター達は二つのドアのどちらかを選択し、その選んだドアを進まなければ家からは出ることはもちろん出来ない泥沼の世界に足を踏み入れてしまう。
この映画の特徴というか物語の本質はキリスト教の普遍性ではなく、モルモン教固有の教義や主張などにプロットが沿っている点にある。二つのドアのどちらかを選ぶというシチュエーションはモルモンの書が主張する「人の運命を決めるのは本人の自由に任されている」というところから来ている。(※モルモン教という名称は通称。信者さんたちは敢えて使わない。あたしは教徒さんではないのでバンバン使います。)
そして何よりも...
恐ろしい場面の目撃者に我々、観る側もなってしまう。それはリード氏の次の言葉より
I need a witness, you, to verify that the miracle is real.
Now, our family recipe for blueberry pie is, I think, a
traditional one. The ingredients include butter, flour,
corn starch, sugar, lemon, blueberries, of course, but
tonight I've also included some wolf's bane and some
belladonna, which means that in a short while, the
Prophet will be dead from consuming the pie. Then,
you will witness a miracle. By the grace of God,
"she will be resurrected".
これはモルモン教の教義のひとつ... 「死者の復活」を意味している。
そして誰もが一度は考えたことのある人の起源、生きる価値、そして死後の世界...についてのフレーズとしては一見簡単なのに宗教以外では物理学や化学、まして形而上学ですら解き明かすことのできなかった永遠に難解な問題を彼はこのようにノタマウ!
The terror of those questions is why religions exist.
I can answer those questions for you. I can give you
a comfort no religion in the world is capable of giving
you.
本作『異端者の家』の面白さは、ただの脱出ゲームで終わらせないところにある。
それは彼が何故?大仕掛けな家を作ってまでもシスター達を監禁し、それなのに二人に身の危険を臭わすような態度や動機については一切何も語らず、更に彼にとっての他人の "死" は大して重要ではなく、むしろ "復活" や "奇跡" に表向きだけ執着しているところに "Why done it" 的ぃ~な謎解きの面白さを付け加えている。さらにシノプスの重点をただの "脱出ゲーム" から "謎解き" にシフトしラストまで引っ張っているところにあるのかもしれない。
そしてシスター・パクストンはリードに聞かれたことに答えるのではなく別の角度から核心部分へといざなう。
Reed: What is the one, true religion, Sister P ?
Sister Paxton: It's ... When we first arrived, you left us alone
in your living room. We thought you were talking
to your wife, but you were doing something else.
Reed: I was.
ーーーーーーー (略) ーーーーーー
Sister Paxton: You returned the bike key to the wrong coat pocket.
We thought this was a mistake you made.
But now I know it wasn't.
Reed: Why?
Sister Paxton: You gave the bike lock to one of your prophets,
instructed them to lock the final cellar door with it.
Reed: But why, why, why? Why did I do that?
Sister Paxton: Because you wanted me to know the only reason
I'm standing here right now is because it is exactly
where you want me to be standing. I'm not here
because I choose to be. I'm here because you made
me choose to be.
Sister Paxton: Because you want me to believe the one,
"true religion"
is ...
"○○○○○○○".
○○○○○○○の部分は映画の核心なので... 言えません!? 失礼。
この映画の流れが、ハラワタをえぐる様にキリキリと、しかもゆっくりと締め付けられる痛みが、遥か遠くで見た記憶がある。最後まで救いのない逆恨みの『Oeil pour oeil』を思い出した。 でもラストである生き物が雪の中で登場することで本作は真逆な結末となっている!?
その事は静香ちゃんの歌ではないけど "メタモルフォシス" であり"クリスチャニティ" を象徴する出来事でもある。その生き物が現れた繋がりとして、前段階のシーンでリードも体現することのできなかった"ある出来事" をシスター・ジル、もといシスター・パクストンと共に我々、視聴者も目の当たりにする。
※独り言、独り言。映画とは関係ありせんので!
"Buddha is dead. God is alive"
昔、そのむかし
南の島に住んでいた時、知り合いの若者が地元警官に後ろ手に手錠を掛けられたり、友人がレストランを経営しようとしても前のオーナーの残した借金の処理をしなければならない事情などなど。でもって世話になった女性がいた。その彼女があたしが仏教徒と思って、仏教を軽く皮肉ったように侮ったように聞こえたことがあった。それでも元々、世話になってたし根はやさしい方だし宗教なんて関心のない不信な者にとって当時は言い返せなかったけど何故か?気分だけがヨロシクはなかった。思い出と共に何故この事を載せたかってか?
それは、彼女がモルモン教徒だったこと !
○○○ホールと名が付くほどの邸宅に住み、弁護士(バリスター)の妻でもある彼女からモルモン教徒の会報誌を見せられたことがあった。驚いたのが、その中の写真に超が付くほどの日本で有名な歌手であり女優さんの姿が でも...
確か?彼女はビールのコマーシャルに出ていたのではないかと?
彼ら教徒は、コーヒーをはじめ、アルコール類など刺激物を摂るのを禁じられている。それと離婚もね!?
だって彼女、全部クリアしていたからナンチャッテ反教義的三冠王ですもの。失礼、彼女を傷つけるつもりはこれれっぽちも
少しだけ(´∀`💕)エヘ
映画に戻ると
シスターを演じた二人の女優さんは、実際にモルモン教徒の家で育ったと言われている。リードという怪人が自分の宗教観を盾に "blind faith" をあざ笑うようにシニカルに他人の死をはじめ、痛みになんの頓着も関心も感傷も執着もなく、信者への "踏み絵" を実践させる悪質極まりない粘質な 男を描くことで、反面教師となり、リアリティショックを自覚させる映画となっている。
末日聖徒イエス・キリスト教会は本作の暴力に対して憤りを公式に述べているし教徒自身も「一夫多妻制」などの時代にそぐわない教義を取り上げられることもあり不快には思っているとされている。(※200年以上前では男の子の生存率が低かった為で、その事は生まれた男の子に女の子の着物を着せる慣わしもある(『南総里見八犬伝』より)。そのような時代にソグワナイ教義では今はない。)
シスター・バーンズよりも俗物に描かれていたパクストン...
監督がモルモン教のデリケートな部分を教徒と話し合いながら製作した事が、蚊が鳴いているように話し、気弱な俗物が最後まで教義に則してひたむきに信じ続けている姿が、素晴らしくも見えて映画の内容をより一段高めている。
エンドロールのフィルムスコア
作った人より、クラプトンの軽快さが好きな者からするとシスター・バーンズを演じたソフィー・サッチャーによるけだるさの中に... 歌詞のイディオムを鑑みてシスター・バーンズへの鎮魂歌として最高でした。
最後までごゆっくりと
席を立つのを許せなくなります。
ところで
冒頭でグラントの映画を見たようなコメントしましたけど彼のイギリス英語のナマリを聞くと... でもって一度もしっかりと彼の映画を見たことはございませんですマス。二度目の(´∀`💕)エヘ
少しは胸糞が映画を観た時より増しましたか?
最後に一言...
ラストの生き物の存在が分からない人は、たぶん低評価を付けるし、見たことを後悔もする!
ほな、おおきに⁉
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