コムライヤ爺さんのお葬式のレビュー・感想・評価
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インド版「お葬式」
伊丹十三の「お葬式」を彷彿とさせる内容。インド版「お葬式」が丁寧に描かれる慣習がなんとも興味深い。
インドにも泣き女のような風習はあるのか。悲しくなくても悲しそう名ふりをして泣きわめくのが死者への敬意なのか。なんとも疲れそうだ。コーラの一つも飲みたくなるだろう。
派手なダンスシーンはないが、諸処で挟まれる死者を弔う歌が良い。
もっとも内心はともあれ建前だけは何事もなく進めようとすつ日本人と違って、この映画の親族は大きな声で嫌みをいい、文句を言い、エゴを振り回し喧嘩ばかりでなかなか一筋縄では進まない。
開始15分で亡くなるコムライヤ爺さんには3人子供が居たが、長男と折りの悪い娘婿、めったに実家に帰らなかった次男、夫が実家と折り合いが悪いため実家にすら帰れなかった長女。
おまけに借金ばかりで首の回らない主人公は婚約者の持参金を当てにしていたが、祖父が亡くなったせいで喪に服すため、祖父を亡くしたことよりも結婚式が出来ず借金を返す当てがないことに嘆いている。おまけに婚約者家族が些細なことから親戚と喧嘩して別れる羽目に。ターゲットを従姉妹に定めるものの、長男である親と義弟である従姉妹の父親とは険悪になるばかり。
11日かけて葬儀の諸々の儀式をする風習があるのでその間親族は実家で身動きできない。村中に羊を振る舞ったり、カラスに供物を捧げたり、しかもカラスが供物に口をつけないと死者の魂が安らかに旅立てないと親族一同責任のなすりつけあいでしまいには村長たちや村中を巻き込んだ騒動に。
こんなにもカラスを待ちわびる映画は初めてである。
みんな自己中で自分勝手だが露骨な悪人やいわゆる毒親は出てこない。
ただ家族ってどこまでも面倒な存在だ。
それなのに最後にコムライヤ爺さんの「あれ」がすべて持って行ってしまった。
家族とはかくも面倒で厄介なものだが、向き合うことを辞められない存在である。
インド映画の多様性
あらすじより…
「インドで最も新しい州であるテランガーナ州が舞台で、キャストやスタッフの多くもテランガーナ出身者で固められ、土地に根付いた文化や人間関係を描いている映画」とのことで、これまで見てきたどのインド映画とも異なり、ある意味「インドらしさ」を非常に感じる作品でした。
ただ、私自身がこの地域の文化や風習についての知識が全くなく、さらに登場人物が多いため、誰が誰だか混乱してしまい、終始「よく分からない…」と思いながら鑑賞していました。
登場人物の殆どが自己中心的で、それぞれの思惑を抱えながら、口喧嘩ばかりしています。
終始、喧嘩、喧嘩、喧嘩…。
その連続に正直疲れてしまい、見ていて辛く、つまらないと感じる場面も多かったです。
また、画面にお酒や煙草が映るたびに注意書きが表示されていたのが印象的でした。あれは一体何と書かれていたのでしょう?
あと、インドのカラスは真っ黒ではないのですね。
インド人が表現するカラスの鳴き声はカウカウ!興味深かったです。
結局、内容を十分に理解できなかったのは残念でしたが、インド映画の多様性を改めて感じさせられる作品でした。
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