劇場公開日 2025年5月30日

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「未就学児向けEテレ番組のノリ」パフィンの小さな島 コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 未就学児向けEテレ番組のノリ

2025年6月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

カートゥーン・サルーンの新作は、ケルト三部作より寓話性・児童向きの傾向が強まり、日本で言えばEテレの未就学児向け番組のノリ。
観終わったあと調べてみたら、幼い子供たち向けの人気TVシリーズの劇場版でした。

動物たちの住む小島は、アイルランドそのものの喩(たと)えで、多民族多宗教(=いろんな種族の動物)ながらもそれぞれが共存している状態。

「嵐で故郷を失ったエトピリカ」とは、戦争や災害で住む場所を失った難民もしくは移民の子で、親にはぐれて迷い込んできたように見えました。
その子が寂しさや不安で他人に頼れず、文化や宗教の違いで「よかれと思って」やったことが、その地に以前から住む者たちから見れば批判の対象になり、責められる羽目になる、というのは実際に欧州の人間社会で多く見られるトラブルそのもの。
でも、とてもいい子なパフィンの姉弟が手を差し伸べ、襲いくる大災害(他国からの侵略や急激な気候変動による自然災害)の前には、わだかまりを捨てて許し、皆で手を取り合い助け合って生きようよ、と諭(さと)す……
深さよりは浅くてもわかりやすさに特化したつくりで、とても丁寧な作品で好印象でした。
吹替版だとチョーさんの優しいナレーションがやや眠気を誘発する向きはありますが、ほっこり心の温かくなる良作です。

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コージィ日本犬