「王道展開」山田くんとLv999の恋をする Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
王道展開
男性アイドル主演作のヒロインに山下美月をもってくるのが勇気あると思ったのね。
片方がアイドルだったら、もう片方を演技ビシッとできる俳優にするのが普通のパターンなんだよね。山下美月は下手ではないけど、相手役もフォローしてなんとかしちゃうだけの力はないと思ったの。
でも作間龍斗と山下美月でなんとかしちゃうね。これは安川有果監督もうまいと思う。
前半は淡々と進む感じだったかな。
鈴木もぐらのゲームオタ演出が「こういう人、いる!」という感じで良かった。
文化祭で山下美月が『からかわないでよね』っていうあたりから盛り上がるんだよね。
ここから「どうも両片想いだ」と周囲の登場人物と観客には分かるっていう。
そこから「もう、早く付き合ってよ」と焦らされながら見るのいいね。
色んな技で焦らされて、ここは原作者すごいと思ったな。
看病を終えて帰ろうとする作間龍斗を山下美月が袖をつかんでとめるシーンがあるんだけど、いいね。山下美月に袖つかんでもらうなんて、夢だよ。
でもここで、安川監督は山下美月を綺麗に撮らないのね。ちょっとぶさいくな感じにすら見えた。それが、本当に山田のことを好きになって、もうなりふり構ってられないんだって感じで良かったんだよね。
委員長の告白シーンも良かったね。
『山田くんのことが好きだった。……好きだった。……好きだった』って告白が全部過去形なの。もうフラレるってわかってて、思いの丈を伝えるだけっていう。『色んな女の子が山田くんのことを好きだったと思うけど、私が一番好きだった』はいいね。他の女の子もそう思ってると思うが、自分にとっては、そうなんだよ。
それでここも、茅島みずきは可愛く撮ればかなり可愛いんだよ。でも、それをやんないの。委員長役だからってものあると思うけど、こういうとこ安川有果監督いいね。
山下美月が告白しようと頑張るのに、結局、山田に言わせちゃう流れもいいね。やっぱり、まだ、告白は男からなんだよ。しかしはっきり言わせないところが現代流。
それで『明日、朝起きたら、電話していい? 絶対、夢だと思うから』も共感の嵐だね。
それで朝、電話がきて。
ここ、山下美月は『わたしも!』って言うかと思ったの。電話の向こうの山田の『好きだよ』に応えて。そしたら『おはよう!』だよ。すごいよ。それでエンドロール。とても良かった。
衣装がやたらペールトーンとか、安川監督のこだわりなのかな。
安川監督、《Dressing Up》と《カジレナ》を観てて、面白い監督だなと思ってたんだよね。久しぶりに観ても、やっぱり良かったから、次回作もちゃんと観ようと思ったよ。