「【”光陰矢の如し。”定点観測カメラアングルで、太古のジュラ紀、白亜紀から第二次世界大戦後に生まれた家族の変遷を、ソファのあるリビングのみで捉えたロバート・ゼメキスらしい作品。】」HERE 時を越えて NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”光陰矢の如し。”定点観測カメラアングルで、太古のジュラ紀、白亜紀から第二次世界大戦後に生まれた家族の変遷を、ソファのあるリビングのみで捉えたロバート・ゼメキスらしい作品。】
■スクリーンには、太古のジュラ紀、白亜紀の様子が映し出され、”あれれ”と思っていると、アメリカ合衆国建国の頃から、第二次世界大戦終了後に、アル(ポール・ベタニー)とローズ(ケリー・ライリー)が家を購入し、リチャードが生まれる。
そして、高校生になったリチャード(トム・ハンクス)はガールフレンドのマーガレット(ロビン・ライト)と、居間のソファでセックスし、マーガレットは妊娠し結婚する。
◆感想
・走り続ける「フォレスト・ガンプ/一期一会」とは対照的に、今作では画面は固定である。映されるのは、ほぼソファのあるリビングのみである。
・今作では、そこで、繰り広げられる或る家族の二世代に亘る変遷を描き出している。それにしても、相変わらずの映像の魔術師、ロバート・ゼメキス監督である。
高校生のトム・ハンクスの表情にはビックリである。技術の進歩なのだろうが、どのように撮ったのだろうか。
・内容としては、リチャードの両親の若き頃から始まり、彼が生まれ、結婚し、娘が生まれる家族の変遷を描き出している。
大きな出来事はないが、中産階級よりやや下の家族の悲喜こもごもが描かれているのが、印象的である。
リチャードは、早くに子が出来た事で画家の夢を諦め、全米で12番目の保険会社の営業マンになるが、豊かではなく、妻マーガレットが求める自分達の家を持つ事が出来ずに、今でいう二世帯同居で暮らしているのである。
・だが、諍いはあっても、サンクスギビングやクリスマス、年越しの日には家族が集まり御馳走を食べるのである。
・そして、リチャードの母ローズは早逝し、父も居間で寝たきりになるが、悲壮感はない。その後、老いた父アルは施設に入居し、リチャードに家を譲るのである。
だが、サンクスギビングの時に、招かれたアルが亡くなった妻ローズの想い出を語り、泣き出すシーンは少し沁みたな。
■今作を観ていると、人間は生まれたら、(当時は)結婚し、子供が生まれ、子供が成長する中で反抗期を含めイロイロと起きるが、子供は旅立ち、最後は夫婦二人になる、という拡大再生産時代から縮小再生産時代を辿るのだなあ、としみじみと思ってしまったな。
しかも今作では、リチャードとマーガレットは、中年以降にマーガレットの独立心もあり、別居しているのである。
けれども、二人は心のどこかで繋がっているのである。老いたリチャードがマーガレットに居間で言う言葉。”もう一度、一緒に暮らさないかい?””無理だわ・・。”けれども、二人はその会話後にそっと抱き合うのである。
<今作は、”あまり豊かな生活を送れなくても、愛する女性と結婚し、子供を立派に育て上げただけでも、一大事業ではないか。”というロバート・ゼメキス監督のメッセージではないかな、と妻子持ちの私は思ったのであります。面白き構成の映画でもあるとも思いました。>