風に立つ愛子さん

劇場公開日:

風に立つ愛子さん

解説・あらすじ

東日本大震災の津波に家を流された天涯孤独の老齢女性が、避難所から仮設住宅、復興住宅へと移り住んだ8年間を記録したドキュメンタリー。

2011年の東日本大震災で、宮城県石巻市の家を津波に流されてしまった当時69歳の村上愛子さん。天涯孤独だった彼女にとって、避難所での集団生活は、それまで知りあうこともなかった近隣の人々と寝食を共にし、心のつながるかけがえのない時間だった。その後、愛子さんは仮設住宅で7年を過ごし、復興住宅へと移るが、数カ月後に亡くなってしまう。

2012年公開のドキュメンタリー「石巻市立湊小学校避難所」の藤川佳三監督が、避難所で出会った愛子さんの明るく奔放な性格に魅了されて取材を始め、断続的に石巻に通いながら8年間に渡って彼女の姿を記録。東北で生きたひとりの女性の人生を通し、高齢者の独り暮らしとそれに伴う孤独死の問題、そして被災について考える。

2024年製作/79分/日本
配給:ブライトホース・フィルム
劇場公開日:2025年2月22日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

監督
撮影
藤川佳三
実景撮影
田中創
整音
黄永昌
編集
今井俊裕
音楽
植田智道
仕上げ
田巻源太
協力プロデューサー
藤田功一
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フォトギャラリー

映画レビュー

4.0私的なレクイエムとしての一作が持つ普遍性

2025年3月22日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

今作は、避難所で出会った愛子さんの「生」を映画という形でこの世に残すことを目的とした、藤川監督の極々私的な作品であり、だからこそ、広く普遍性を持ち得た作品になったのだと思った。

<以下、内容に触れています>

この作品を観ている中で、肌で感じたのは、映像の中で愛子さんが語る言葉のすべてが、客観的な事実とは限らないということ。単純な思い違いもあるだろうし、カメラが自分を追ってくれていることへのサービス精神も少し垣間見える。でも、そこの部分こそがリアルだ。
彼女が、自分自身の生を、自分がこの世に生まれ体験してきた物事の意味を、全力で肯定しようとしているからこそ、そうした言葉の数々は生み出されるのだろうし、彼女の気持ちの中では、本当なんだろうと思う。

客観的事実という面から言うと、愛子さんが、学費の面倒までみようとしたという姪御さんは登場しない。避難所で、人一倍可愛がったゆきなさんも、20歳を過ぎているはずだが出てこない。孤独を抱えていたという彼女が、避難所で得た関係性のありがたさ、仮設住宅での長屋暮らしの温かさを口にしても、周囲の方々から語られる言葉や示される振る舞いは、必ずしもそれを肯定するものとは言えないニュアンスもにじむ。

けれど、客観的事実がどうであれ、大切なのは、愛子さん自身が「自分の人生をどう受け止めて納得し、“生”につなげているのか」なのだと思うし、今作はひたすらそれに寄り添っていた。

冒頭の留守電が、とにかく切ない。

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sow_miya

3.0主人公の愛子さんの孤独感と人生観が胸に刺さる

2025年3月22日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

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Mみやこ

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