「内容はともかく、映像のクオリティは高い」ドラゴン・ハート 霊界探訪記 天野空男さんの映画レビュー(感想・評価)
内容はともかく、映像のクオリティは高い
主人公の高校生が一夏を徳島の自然の中で過ごすことになる導入部は、山々と清流の中で二人の少年少女の姿が生き生きと描かれ、映像のクオリティも相まって青春ドラマそのもの。
少年が河童を見つけて追いかけるが、少女が足を滑らせ川に落ち、それを助けようと少年も川に飛び込むも溺れてしまう。ところが突如、龍が現れて二人を助け、謎の老人の許に連れて行き、老人の指示で龍は二人を地獄巡りの旅に連れて行く・・・
二人の少年少女の「地獄巡り」がストーリーの主要部をなし、後半では「天上世界」へトリップするところはダンテの「神曲」にヒントを得たか?
地獄は従来の「責め苦」の世界では無く、「現代の狂気」の世界として描かれる。現代社会の多様化に従い、地獄も多様化が進み、「ネット地獄」なるものまであるのは笑えた。このあたり、従来に無い新しい描き方だとは思う。
後半は「シャンバラ」訪問からさらに神々が集まる「天上界」を見たあと、夢から覚める形で二人は現実世界に戻る。
美しい自然→狂気の地獄→清浄な天上界→平凡な日常、と回帰する展開はよく考えられており、アニメのクオリティも高く、徳島の自然や神々が集う天上界の描写は美しい。
だが、それとコントラストをなす地獄のパートでは、冒険シーンに重きが置かれ、醜悪さが描き足りないと思う。地獄が醜悪であればあるほど、前後の自然や天上界の美しさが引き立つのだが。ネット地獄に落とされるギャルのような「人間の醜悪さ」をもっと描いても良かったと思う。
自分は信者では無いので、クライマックスのヴィシュヌ神による戴冠式など「?」でしか無かったが、冒険ファンタジーとしてはそこそこ楽しめた。
特に全編を通じて映像の美しさ・クオリティの高さは印象に残った。
ただ、挿入歌、あれはもう少しどうにかならないか(笑)。まぁ、今では幸福の科学の映画「お約束の」ギャグの域に達しているので、無いと寂しいかも(笑)。
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