「完全ネタバレ注意(霊界探訪が始まったのはいつ?)」ドラゴン・ハート 霊界探訪記 虹孔雀さんの映画レビュー(感想・評価)
完全ネタバレ注意(霊界探訪が始まったのはいつ?)
まず映画ラストシーンで二人が目を覚ますと、居間の座敷で母が心配そうに見ているシーンになる。
川に流されておぼれて死にかけた二人が、なぜ病院ではなく、家で寝ているのか?
常識的に考えられないシーンがあるが、これは霊界探訪が始まったのはいつかを分からなくさせる。
本作品のサブタイトル「霊界探訪記」を理解する上で、どこから霊界に行っているのかを探るのは、映画を楽しむうえで必要だろう。
さて、初見で観た方は、99.9%こう思う。
「川で流されて、死んでから霊界に旅立ったんでしょう」と。
しかし、正解はノーである。
根拠がある。
まずそれは、冒頭伝えたように、溺れて死にかけた二人をもしもおばさんが発見したり、その他の方が発見したとしたら、意識が回復するまで病院にいるのが当然であり、そうされていないならば、違う見方をするしかない。
重要なポイントは主人公たちの服装や髪型である。
映画序盤に戻り、竜介の服装と知美の服装、髪型を見てみよう。
竜介は、徳島に向かうとき、白のシャツと紺のアンダーシャツ、カーキ色の短パンである。
そして、夕食時には恐らく上の白シャツを脱いだのだろう、紺のアンダーシャツとカーキ色の短パンである。
知美は学生服から、夕食時にはブルーのシャツと髪を降ろしたスタイルに変わっている。
そして、時間は飛んで最後の目が覚めたシーンを見てみると、竜介は白いシャツで寝ていた。しかし、知美は「夕食時と同じブルーのシャツと同じ髪を降ろした姿」である。
つまり、冒頭の夕食のあとの睡眠時(描かれていない)から、目が覚める(霊界探訪から帰ってくる)タイミングまで、知美はまったく同じ服装と髪型をしているのであるということだ。
それは、つまり「幽体離脱」をして、そもそも外出していないのではないかと言える。
ちなみに、竜介は夕食時には先ほどの服装だが、その後にはお風呂に入るはずなので、白シャツになっていたのだろう。
知美は剣道部の描写があったため、着替えるタイミングでお風呂は済ませていたと考えるべきだろう。
この考察を嚙合わせると、竜介と知美は、初日の夜に同じ部屋で川の字になって就寝し、【夢の中で穴吹川に行き、夢の中で川に流され、老人と会い、ドラゴンに乗り、地獄からシャンバラへと霊界探訪した】と考えるのが当然なのだ。
そうすれば、目が覚める時に丸一日経っていた、つまり前日の夜から夕方まで寝込んでいたという点にも説明が付き、現実には川でおぼれていないため、居間に寝かされておばさんが起きるのを見守っていたという点も合点がいく。
しかし、まだ疑問点は残る。
それは、中三と中二の年頃の男女が、同じ部屋で一緒に寝るということにも違和感を感じる。やはりこの考察は間違っているのか?
いや、これにも根拠がある。
序盤、川に流される前の時、竜介が山にむかって叫ぶ。
そして、「おじさんに知美もよくやっている」と聞いた話を知美にしたら、知美は『お父さんは余計なことばっかりして』と言っていた。
「余計なこと」ではなく、「余計なことばっかり」と言ったのだ。
正確な日本語を使うなら、「ばっかり」を使う以上は、「複数形」であり、「余計なこと」を知美の父はたった1日足らずで2回以上したことになる。
それは、当然、竜介と知美が同じ部屋で就寝するように仕向けたに違いない。
これが年頃の女の子にとっては一つ目の「余計なこと」であろう。
さて、これで全てが整ったはずだ。
霊界探訪は、初日の夜に始まり、二人は現実では外にも川にも行っておらず、すべて夢のなかでの幽体離脱から始まった霊体験と言えるだろう。
それを証拠付ける歌が、最後に「全部、幻で終わってしまっても、構わない」という歌詞があったはず。
それが、二人が全て夢の中で体験をしていたということを決定づけるところである。
いずれにせよ、ここが理解できると、理解がいく点が増え、より一層映画を楽しむことができるであろう。
このシーンがよく分からず、楽しめない方が多く出ては悲しいと思い、理解できた範囲でネタばらしをさせていただいた。
内容にも少し触れるが、閻魔大王のシーンが一番面白い。
あの世がある確率は50%であろう。
なかったなら、信じた者も、信じなかった者も、全て無に帰するのだから、損する者は事実上いない。幸福感も快感も、得した感情も、苦渋に満ちた世界も全て消えるのだから。
しかし、あったとしたら、そして、本当にリアルに地獄があったなら、
それは、死んでみてのお楽しみでは済まないかもしれない。。。
(正直、表で良い顔して、裏で他人様への迷惑も考えず、しりぬぐいさせる上に、悪びれもしない人間以下の方が多いので、地獄は絶対あってほしいですが。ちなみに表裏なくして善人だった人のための天国もちゃんと用意してありますように!!!)
※声優はすべて最高でした(耳福で感謝!)
以上
なかなかの考察で楽しめました。説明ありがとうございます!
服装がおかしかったり、辻褄が合わないところにそんな深い設定があるとは考えもしませんでした。
単に長期間、少しずつ作っていったため、制作側も細かい設定を忘れていて、クオリティが低いままリリースしてしまっただけかな、と。
主人公たちの顔や体つき、分かりやすくいえば作画が3種類ぐらいありましたしね。時期によって作業者などの腕に影響して、作画レベルが変わったんだろうなと思っていましたが、実際はどうだったのかな・・
壮大な夢オチ!冒頭の歌から予見されていたとは。最初流れる歌と最後の歌は繋がっていて、これは製作総指揮の大川隆法総裁先生が一発収録で霊言のように歌われた歌詞ですから、最初から夢オチにする事を製作陣に意図していた事になります。幸福の科学の最近の映画は映画挿入歌から作られるのです。「この世はひと時の夢。霊界が本来の世界」と言う伏線があったのかも。
なるほど!
竜介と知美が目覚めた時のおばさんのセリフが気になってましたが、納得しました?
全て夢の中!
深い洞察、ありがとうございます✨
もう一度観に行きたくなりました!
なんという深い解釈! そういう見方ができるというのが新鮮で、「なぜ病院で目覚めないのか」問題への鮮やかな答えになっています。2人が寝ていた部屋の風鈴の形が魔よけの鈴に似ていたのも、この解釈を裏付けているかのようです。

