劇場公開日 2025年1月17日

「気持ち悪いけど、面白いですよ!」ストップモーション sokenbiteaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0気持ち悪いけど、面白いですよ!

2025年1月25日
iPhoneアプリから投稿

面白いです。
完成度の高い、良作だと思います。

ストップモーションの人形が、だいぶ気持ち悪い方向に偏ってるというか、、まあ普通の感性で見るとすっごく気持ち悪いと思うんですけど、今のところレビューの星の数が少なめなのは、そういう気持ち悪さがダメな人が見に行っちゃってるからじゃないですかね?
それはあれです、辛いのダメな人がタイ料理食いに行ってるようなもんですからね(笑)。
まあそれはそれで、そう感じてダメってことはないですけど、少なくともいい加減なふぬけた作品ではないということは言っておきたいです。

不気味で気持ち悪いながらも美しく、なんならちょっと可愛くすらある(これぞキモカワ!)ストップモーションは、単純に見てるだけで楽しかったです。
それを作ってるうちに現実が侵食されていくという話なのですが、普通の実写と組み合わさったときにも全く違和感はなくて、映像はストップモーション部分に限らず最初から最後まで素晴らしかったです。
主人公の精神がだんだんおかしくなっていく様子も、クライマックス近くまでは描写は控えめと言ってもいいくらいなんですけど、鍵になるストップモーションがクオリティ高くて説得力があるので、それに精神を侵されていく様子がいたって自然に、かつ恐ろしく描けていたと思います。
(一応言っておくとクライマックスはなかなかに強烈です。)

これは要するに、無から何かを生み出す精神につきものの苦悩の話というか、創造に宿る狂気の話ですよね。
そもそも本当の芸術っていうのは、多かれ少なかれそういう部分があってこそのものだという気もします。
多少常軌を逸したようなところでも無ければ、ほんとに美しいものなんて作れないでしょう?
無論それは、創造したい何かに向かって突き詰めていった結果自然とはまっていくもので、狂気に陥ったフリをして悦にいるようなものとは全く違います。
この映画はその辺すごく本物で、ちゃんとしてる気がしました。
ありがちな、無理矢理狂った方向に持ってくみたいなインチキな感じは、全然ないです。
きっとあれでしょう、監督の人は、ストップモーション作ってるときは自分も半分くらいこんな感じなんでしょう(笑)。
自分も気持ち的には経験してることだから、こんなに自然に描けるんだと思います(笑)。

一方で、変にアートっぽく気取った作りにはなっていなくて、すごくホップでわかりやすいと思います。いい意味で。
ストーリーもシンプルといえばシンプルだし。
あと主人公がとても魅力的です。
単純に美人で華があって見ていて楽しいし、この話の主人公としては絶対に必要な、ミステリアスな影のある雰囲気も十分に持っています。
主人公にまとわりつく謎の少女もメチャ可愛い。
その他のキャストにも、見映えがするキャラの立った配役がされていて、変なB級感はゼロです。

総じてこの、キモ美しかわいいというか、不思議で怖い映像とストーリーを存分に楽しめる、おススメの映画だと思います。
実際自分の見に行った回はほぼ満席でした。
皆さんよくわかっていらっしゃる(笑)。

sokenbitea