幸せの列車に乗せられた少年のレビュー・感想・評価
全3件を表示
ヴァイオリンが引き金になったのか
イタリアが、日独伊同盟を組んでいたのはもちろん歴史の教科書で学びましたが、1943年に連合国に降伏した後、ドイツに宣戦布告していたことは知らなかったし、この映画で描かれている「子供列車」についても、恥ずかしながら、聞いたことはありませんでした。
イタリアの南部と北部でこんなに貧富の差があったことは驚きでした。わたしのイメージは、北部が工業地帯で南部が農業地帯なんですけどね。
いかにもカトリックの国らしく、北部イタリアの人々の温かさが伝わってきて、ヴァイオリンの演奏も効果的で、いかにもイタリア映画という感じでした。
家出してモデーナに行こうと乗った車内で、お母さんはと聞かれて、「死んだ」と答えたのはアメリーゴの覚悟の表れと感じました。その覚悟を決める引き金になったのは、ヴァイオリンを質入れされたことであり、だからこそ、母親は、質屋から買い戻したのだと思いました。
貧乏は嫌だ…
幸せの列車と言うのが実際にあったことは知らなかった。唯一の息子を送り出した母親の苦渋の決断を思うと苦しい。けれど、貧困では何も与えられない。これで良かったんだ。ベッドの下に質屋から戻したバイオリンが未だにあったのはぐっとくるものがあった。一度も母親を訪ねなかったのだろうか。恐らくそうであろうが、そうであったのなら、尚更悲しい。
イタリアのアイデンティティのベクトルは必ず外を向く。
『ひまわり』と『ニュー・シネマ・パラダイス』と「ミツバチのささやき」をリスペクトしているね。
それは兎も角、イタリアと日本の違いは、こう言った事を描く時、イタリア人のアイデンティティのベクトルは必ず外を向く。つまり、故郷を捨てても、自己形成を優先する。自分が犠牲になる事は決してしない。
この映画はイタリア共産党の協力をもらっている。つまり、フィクションである以上、カトリック教会に対するアイロニーと自分達(イタリア共産党)の偉業をプロパガンダしているものと思う。
しかし、こう言ったストーリーがあった事も事実である。
イタリア共和国は新しい国で、北と南は経済格差だけではない。元々違う国であり、しかも第二次世界大戦の末期になって、ムッソリーニの政権は北を本拠地としている。つまり、1943年まで同じ国民と言うよりは、現在の『彼の国たち』の様だった。戦後、北部と南部となって、ソ連との関係が良かったイタリア共産党のオルグの一環で始まった事業だと思う。
さて、敗戦国日本はこの頃レッドパージの嵐が吹き荒れ初めていた。
因みに、イタリアはムッソリーニが処刑された後は連合国の一員になって、イタリアは勝戦国である。
似たように日本も戦後は努力、苦労したが、イタリアと日本は全然違う。
さて、そのイタリアに一人あたりのGDPで日本はイタリアに抜かれた。
大和民族は絶滅危惧といつも言っているが、どうやら、お隣の国の方が深刻な様だ。急激に経済が伸びてはいて、日本を一人あたりのGDPで抜いたが、要は若者の人口が少ないと言う事だと思う。貧困そのものよりも人口減少や戦時国家(戦争)が怖いと僕は思う。
全3件を表示