「「現代の分断の社会を危惧するホ・ジノ監督作品」」満ち足りた家族 かなさんの映画レビュー(感想・評価)
「現代の分断の社会を危惧するホ・ジノ監督作品」
兄は敏腕弁護士。弟は優秀な医者。つまり社会的に富裕層に属している。豪華な家に住み、なに不自由のない生活をしている、それぞれの子供たち。
兄はお金のため金持ちの無理な弁護を引き受ける。弟は必死に患者の命を救う。相容れない信念を持つ兄弟。二人の嫁も裕福な暮らしをしていてもまだ満ち足りていない。
そこである事件が起きる。
揺れる二人の親。葛藤がおきる、揺れる、ぶれまくる。しかし子供はどこ吹く風。まったく意に関せず。まさに親の心子知らず。
子供二人の会話がスマートフォンに流れる。その会話が恐ろしい。人ではなく富裕層の人間としての考え方に背筋が凍る。
兄弟は子供をめぐって対立する。答えが正しいのか正しくないのか、二元論で語れない。ただより人間らしい生き方とはなにかが焦点だ。ラストシーンは衝撃的だ。全身から力が抜けた。
今の世の中、分断の社会と言われている。富裕層と貧困層もその一つだ。ただ人間としては同じだという考え方になれないか。子供の頃から分断を自ら意識していたらこのような事件が起きてもおかしくない。ホ・ジノ監督の嘆きとともに今の社会に危惧を抱いている映画であった。
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