「沁みるラスト」ブラックバード、ブラックベリー、私は私。 ひでちゃぴんさんの映画レビュー(感想・評価)
沁みるラスト
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48歳に至るまでひとりで生きてきた女性エテロが主人公。
彼女の中年で青春を迎え&愛を知る作品だと思った。
彼女が生まれてすぐ母親がなくなり、幼少時代も寂しい生活を送っていたようで、
それが今まで続いているという、実にせつなくも悲しい半生だと思ったが、
本人にとってはせつなくも悲しくもなく、ひとりがよいというあたり、
やはり価値観というものは人それぞれだし、他人が決めつけるものではないと
あらためて感じた。
私のように思う人物が映画世界の周囲にたくさんいるのがリアルだと思った。
孫がいる男性と双方恋に落ち愛を育むエテロだが、
子宮がんではないかという症状が現れ病院にいくと、なんとご懐妊だという。
このあたりの演出が巧みで、私はまんまとエテロと同じ認識をしてしまい、
懐妊しているとは予想だにしていなかったので、あっと驚いた。
自分の死に向かい合っていたのに、新しい生を宿したことを知ることを経て
ここからのラストに至るエテロの感情・表情が素晴らしく、
実に深く余韻がたなびくラストショットだった。
全編淡々と進行するので、若干退屈さも感じたりはしたが、
(前半は鬱屈した気持ちにもなるし)
このラストにはやられた。
沁みた。
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