劇場公開日 2025年1月3日

「人生の縮図」ブラックバード、ブラックベリー、私は私。 TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5人生の縮図

2025年1月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

2025年の1本目。今回もIMDb、RottenTomatoesの評価の高さだけを信じ、トレーラーやあらすじに触れることなく本作をチョイス。元日の朝にオンラインで前売りを買うためサイトへアクセスすると、すでに席がチラホラ埋まっています。金曜ですが多くの方がまだお正月休み中、結構混むことは覚悟の上でしたが、ヒューマントラストシネマ有楽町12時10分からの回はフルハウス。作品への期待が高まります。
作品は48歳エテロの約2か月間に見る「人生の縮図」。不意を突く滑稽なシーンや、ポロっと出る台詞に思わず笑ってしまうようなことはありますが、けして面白かったりほっこりしたりするような作品ではありません。ただ観始めればもうエテロから目が離せない。冒頭こそ穏やかな雰囲気で始まりますがそれも数分のこと。いきなり起こるハプニング以降は終始、エテロが自身の死生観とがっつり向き合いながらの日々。小さな村でプライバシーを守ることすら難しかったり、ヒリヒリするシーンやストレートに辛辣な会話など、けして生きやすいとは言えない環境ですが、強い意志で自分の「生きる」に立ち向かいます。
作品性から言ってもシネコンで掛かるようなタイプの映画ではありません。評価が高いとはいえ万人向けではなく中高年以上、特に女性には深く刺さるところがあるであろう本作。終わり方も余韻に浸るにはこの上なく、正月から観れば自ずと「人生」について考えてしまうような作品。感慨深い一本です。

TWDera