We Live in Time この時を生きてのレビュー・感想・評価
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今を精いっぱい生きる
予告から、涙を誘うラブストーリーと主演のフローレンス・ピューに期待して、公開初日に鑑賞してきました。この日の最終上映回だったため、客入りはイマイチでしたが、期待どおりの作品で大満足です。
ストーリーは、若手の実力派シェフのアルムートと、離婚のショックにうちひしがれていたトビアスは、運命的な出会いをして恋に落ち、娘も生まれて幸せな生活を送っていたある日、アルムートにガンが見つかり、余命がわずかであることを告げられるが、二人は残された日々を最高に輝かせようとするというもの。
残された時間のすべてを治療に捧げて弱っていくよりも、最後まで輝き続けることを選んだアルムートの生きざまが胸を打ちます。それは決して彼女のわがままではなく、家族の心の中で生き続けるために今を精いっぱい生きたいという願いだったのだと思います。それを理解し、彼女を全身全霊で支えるトビアスの姿にも熱いものが込み上げてきます。
もし自分がガンを宣告されたらこんなに落ち着いていられるだろうかと考えてしまいます。取り乱し、己の不幸を嘆き、周囲に当たり散らし、醜態を晒しまくる気がします。残された時間を精いっぱい生きるなんて、絶対に口で言うほど簡単ではありません。そんな中、自分の選択を理解し、寄り添ってくれる人の存在はなにものにも代えがたい支えになるだろうと感じます。トビアスがいたからこそ、アルムートは最後まで命を燃やし尽くすことができたのだと思います。
時系列を何度も入れ替えているため、観客は二人の現在の状況を知りつつ、その背景にあるものやそこまでの経緯を後追いすることになります。最初のガンを乗り越え、卵巣と子宮の全摘を辛くも免れ、残された可能性に賭けて待望の妊娠に喜び、予想外の出産も全力で乗り越えて今に至ったことが、少しずつ紐解かれていきます。こうして紡がれた二人の愛の絆が、どれほど強固なものであったかがひしひしと伝わってきます。
もちろんこのような構成が多少のわかりにくさを生んではいるものの、不思議と迷子になることはありません。むしろここに至るまでの夫婦の深い愛と固く結ばれた絆を自然に感じさせ、同時に強く印象づけ、実に効果的であると感じます。
ラストは、アルムートの教えをなぞるように娘と朝食の支度を進めるトビアスの姿が、悲しくも穏やかな余韻を残します。きっとこれからの人生も、悲しみに暮れるものではなく、いつもアルムートの存在を近くに感じながら、父娘で心穏やかに生きていくのではないかと感じさせます。
主演はフローレンス・ピューで、惜しげもなく何度も裸体を晒し、丸刈り、嘔吐、出産と、文字通り体を張りまくってアルムートを熱演しています。共演はアンドリュー・ガーフィールドで、妻への愛があふれる好演が感動を誘います。脇を固めるのは、グレース・デラニー、リー・ブライスウェイト、イーファ・ハインズ、アダム・ジェームズら。
苦手なガチャガチャ時系列
愛の物語
惚れてまうやろ
フローレンス・ピューがとにかくキュート。
これに尽きる。
ストーリーはシンプル。
だが、展開は「ちょっとでも複雑にみせるために、わざと時間軸を入れ替えているんじゃないの?」という悪口が聞こえてきそうなくらい、あっちこっちに飛ぶ。
これは「出会った相手の過去を少しずつ知りながら、相手をより理解していくという、私たちの日常のメタファー的な表現?」と思ってもみるが、どんな意図があってのことかは、制作者たちに聞いてみたい気がする。
ただ、一本道の時間軸の中で、説明的にエピソードが流れていくよりかは、コラージュ的に取り上げられるおかげで、その場面でのアルムートとトビアスの2人の関わりにグッと入り込めたのかもしれないとも思う。
おかげで、観ながら、パートナーとの出会いや、付き合いはじめのドキドキ感や、子どもが生まれた時のことをはじめとして、自分のこれまでのことが色々と重なって思い出された。
出てくる風景も美しく、いい鑑賞体験だった。
<ここから少し内容に触れますつつ、ちょっと思ったことを書きます>
その1
ラスト間際になって「映画としてポンコツでもいいから、アルムートが死なないラストになってくれないかな…」と、ちょっと本気で思ってしまった。自分でも理由はわからない。
未練たらしく「犬を飼っているということは、まだアルムートは生きていて、治療のための入院中かも」などと妄想してみたり…。
その2
今作、pg12になっていないところが個人的に驚いた。(ちなみに「国宝」は、pg12)
2人の口からセックスというセリフに出てきて、その行為も描かれるけれど、今は、どんな基準で映倫は判断しているのだろう。
相手の意思確認や避妊具の有無などもしっかりしているので、OKになったのか?…とか、ちょっと興味が湧いた。
性的指向とかも含めて、現代的な部分をケアしている映画にはなっていたし…。
その3
アルムートの父もガンで亡くなったのだろうか。
また、出てはこないが、トビアスの母も他界しているように見受けられる。
そうした、身内を喪失して、喪失後を知っている2人だからこそ、葛藤しつつも、互いや娘にとって、より最高の日々になるための苦渋の取捨選択をしていったんだろうと思うのだが、色々と切なかった。
特に、招待状を棄てる場面。悲しかったなぁ…。式は、きっと周囲の人たちも楽しみにしていただろうに…。
生き尽くした
陰気な1年じゃなく
こないだ鑑賞してきました🎬
王道をいくヒューマンドラマで結末も予想通りですが、なかなか良かったです😀
主役のアルムートにはフローレンス・ピュー🙂
確かな腕を持つシェフですが、重大な病気を患い…。
余命いくばくもないと言われた時、彼女が下した決断は、私にはわかる気がします。
ピューは堂々たる演技で、難しい役どころを演じきっていますよ🫡
トビアスにはアンドリュー・ガーフィールド🙂
まさに優男という体で、彼はこういう役が似合ってますね😀
優しい目で、トビアスの人となりをほぼ完璧に表現してくれました。
クライマックスで2人が心情を吐露するシーンは、魂が入っていて引き込まれます🖐️
余命宣告をされた時、人は何を残そうとするのか…。
アルムートの選択を、映画館で観てもらえたら嬉しいです🫡
フローレンス·ピューがきっと力をくれますよ/あなたのホットステーション
ピューちゃんは若いのにものすごく達者です。
こんなに可愛いのに、それでいてパワフルなヒロインは他にはいないと思いますね。
10歳年上のアンドリュー・ガーフィールドもピューちゃんのそのドシッとした圧力には恐る恐る従わざるを得ないこころなどもくすぐられます。
彼でなければ、だだの夫婦喧嘩ムービーになるところ。こころ細やかな男性を巧みに演じます。
今回はアスリート&料理の鉄人のピュー。
ファイティング·ファミリーが好きなピューちゃんファンにはたまりません。
ピューちゃんにしか視聴者を魅了できない、もってこいの役だったと思います。
ピューちゃんの強い眼差しとカラッとした笑顔、固太りの肉体は、もう一度あの頃の青春を味わいたいわたしの欲求を十二分に叶えてくれました。
彼女の周りの男たちやかつてのルームメイト、中性的な新しい弟子などの登場人物たちとの対比によって、自由で強い女性像をイカンなく体現してくれています。まるで、たくさんのおでんダネの出汁のような味わいをピューちゃんがあなたに届けてくれます。あぁ、コンビニのタコ足のおでんを食べたい。これから夏になるのにね。この映画の本邦公開日が劇中のあるイベントの日にちに合わせられているのもなかなかいいです。
ただし、働き蜂で家族を顧みれなかったお父さん世代にとってはチクッと胸が痛くなりますのでご注意を。
皆が皆、天下とれて、子供に誇れる結果を残せるわけじゃないすからね。
それでも、家族を想い、ポジティブにがむしゃらに生きることの尊さを教えてくれるステキな一本だったと思います🤩
コンビニの◯◯シーンはヤワな女優さんでは到底無理な迫力で、コンビニの女店長は元プロレスラーかよ!?ってぐらい頼もしいです。
以下、ネタバレなのでご注意を。
アルムート(ピューちゃん)の病気については前後するシーンによって、わかりにくいのですが、卵巣がんです。片方の卵巣を取ったあとに、子供が欲しくなって、一女をもうけますが、残した卵巣、子宮に再発。それから、化学療法に備え、実際にピューちゃんはアンドリューに髪をバッサリ切ってもらって、坊主頭に。残された月日を料理人の意地をかけて命を燃やすお話です。
卵巣がん末期でお腹が膨れているのか、妊娠でお腹が膨れているのか、混乱させらる要因になってますが、癌が再発しても、コンテストのために走り込みをして、体力維持に励むアスリート魂のピューちゃん😭
善人度 が試される 普通作品。
マジ本作 感動した人 泣いた人🟰真の善人です。
もう エリザベス・サンダース・ホーム孤児院 澤田美喜 ナイチンゲール マザー・テレサ ヘレン・ケラー
良寛さま 一休さん
杉原千畝 大塩平八郎 田中正造 レベルの善人です。神々しい✨✨✨タイガー伊達直人ともいう。
俺も 周囲の人にすすり泣き🥹いたら マジ感動🥹だったんだけど もう皆んな無言で乾ききってた模様。40人くらいの観客。無言😑。
ただ 本作に 小さい器とは言え 40人も観客集まったことは 若干感動🥹
イヤ 『国宝』はともかく 『見える子ちゃん』振り切った 精鋭たちだよ❗️勿論『リロ&ステッチ』も観てないだろう。
救われた。日本にもこういう作品に食いつく善人がいたことに。🥹
コレ フィクションだよねぇ。
その時点で 『感動無しよ❗️【スタ誕の欽ちゃん風】』の俺が居た。←マジ ロクでもないですねごめんなさい。🙇
重要なことは
『・・シーン【漢字】』『・・シーン【カタカナ】』 コレ 賛否両論だよねぇ衛・概念と個人的に思った。←映画館で確認してくださいネ 是非鑑賞して確認を❗️
あと 時系列の妙は 若干感じたけど あんまり有効で無いかな と個人的に思った
意外と長く感じたよ。
イギリス🇬🇧風景は良いよね 作品
フローレンス・ピューさん。アンドリュー・ガーフィールドさん。が個性があって 親しみやすくて良かった。好演。記憶に刻まれたのは相違ない。
【申し訳ないけど 個人的意見では 美男美女では無いけども・・・ 中年以降のトム・ハンクスさん的な】
まあ 人生 年輪を重ねると この手の話は ワンサカ経験伝聞するから・・
定番映画とも言えるし 真っ当映画とも言える。
有料パンフ🈶は 普通です。こじんまり ただ なかなか凝ってるので 写真集的な
あんまりにも『映画のストーリーが万人向け わかりやすい』ので 買うか買わないかは 判断が求められる。選球眼。
そうだよなぁ 人間全員 生まれた瞬間から死に向かっている という意味では 重要作品。
どうでも良いけど 席の端の単独客様 ガッツリ ポップコーン🍿コンボで 俺のトイレ行きを阻止。
俺のワガママにすぎないけど 本作を感じる前に ポップコーン🍿コンボ🟰オシッコ行きたい人を阻止作用
感じて欲しかった【個人的意見です。その人が悪いわけでは無い 真ん中席で💺食って欲しい という個人的要望です。】
もう❗️『ドカベンの山田太郎の本塁死守ブロック』かと思った。ビックリ🫨
良い作品です。ただ 俺には響かず。普通。少しだけ🤏長い。あと オクトパス❓❓
A24 が北米配給権 にはビックリ🫨‼️あっ日本的には関係ないです。木下グループはこういう名作系得意ですね。
どこか刺激があるわけでもないのに、魅了されていく
なんとなく、主演の2人が気になって観てみた作品。
闘病モノのはずなのに、闘病シーンは皆無。
最初の方の時間が飛ぶところは少し理解するのに時間が掛かったけど、中盤から一気に解析度が上がる。
2人の人生を横から見ている感じ。
ラストシーンは悲しいはずなのに、それでも日々は続いていく残酷なような安定しているような。それも人生だよねってなんとなく言語化ができないけどふんわりと心に沁みる作品でした。
時間軸の効果
3つの時間軸が動く作品
時系列じゃないのかー!と最初は思ったし、ふたりの見た目が変わるほどの歳月でもないから、時間軸が切り替わったことにすぐ気づけない、とも思った
しかし、観終わってみれば、この時間軸の展開こそが、この物語をより観客の心に刻みつける効果があったことに気づく
そして、ふたりのキャラクター
性格的な部分でいけば、一般的な男女のイメージがやや逆転している気すらする
繊細で慎重ですぐ涙目になるトビアス
大胆で即行動派で力強ささえ感じるアルムート
病に冒されたアルムートがこのキャラクターだからこそよく、手術については女性だからこその選択
見守るトビアスは一見繊細で弱々しい方向にいきそうなのに、ガンガン突き進むかのようなアルムートをうまく支えている
このふたりだからこそ、このストーリーはよりよいものになったように感じた
命に関わる病気を前に、悲壮的なお涙頂戴の展開ではなく、力強ささえ見せつけるようなストーリー
フローレンス・ピューさんとアンドリュー・ガーフィールドさんの相性抜群の秀作
一見ありがちな お涙頂戴の闘病ものに見えてしまうけど全然予想と違って見応えのある作品でした
闘病云々というのはほとんど出てきません
それより主人公2人の出逢いや一生懸命生きるくだりが描かれ、特にフローレンスさんの演技にグイグイ惹き込まれる あっという間の107分です
とにかくフローレンスさんもアンドリューさんも演技がメチャクチャ自然で等身大のカップルを魅力的に演じていて素晴らしかったです
特に大好きなフローレンスさんがお腹いっぱいになるぐらい堪能できて大満足でした
かなり速いピッチで時系列が入れ替わるストーリー展開が斬新、ややもすると観客置いてけぼりになりそうだけど、そこは2人のルックも変わるので解り易かったとは思います
一番印象的だったのは“ガソリンスタンドのコンビニのくだり“、メチャクチャ力入ったし、ちょっとウルっとくる最高にいいシーンでした
過去でも未来でもなく、今
ガンであることが判明した女性とその夫との軌跡を辿るラブストーリーです。日本公開してくれるかな~とヤキモキしてましたが公開されてとても嬉しいです。
出会った瞬間、子供が産まれた瞬間、ガンを宣告された瞬間と様々な“その瞬間”が現在と過去を交差させながらストーリーは進んでいきます。
自然の草木の匂いだったり、生みたての卵だったり今ある暮らしとお互いを大切にしてる2人がなんだかとても素敵なのです。そして原題が素晴らしいなとつくづく感じます。
大会でのやりきったと感じるフローレンス・ピューの表情見たら込み上げてくるものがありました涙。愛に溢れた優しい映画でした。(パーティーのシーンでアンドリュー・ガーフィールドが持っていたビールはアサヒだったかも‼︎いや違うかも…)
轢かれ(惹かれ)ちゃいました
君が残してくれた宝。
事故きっかけで出会い、後に結婚をしエラという娘を授かる女シェフ・アムルートとトビアスの話。
2人の出会いの過去から今現在を行き来しながら見せ、病気を患ったアムルートは病気になったからといってネガティブにはならず前向きに生き、娘エラに何かを残せればと…。
出会った頃、子供は欲しいと思うトビアスと子供はいらないと思うアムルート、体調不良から診察で見つかったステージ3の卵巣ガンを機に片側だけでも残し子供をとなるけれど。
アムルートとトビアスの今までの経緯を見せられ授かった子供の出産シーンには泣かされる。病気だからといって下を向かず前向き何かをしよう、残そうとするアムルートの姿は素敵!トビアスの優しさ包容力、娘エラへの優しさ、一緒に卵を割るシーンに癒された。
時間軸をバラバラにした効果があったとは思えない
物語の時間軸がバラバラなのは、「癌との闘病」という重たくなりがちな話に、コミカルなアクセントを加えたかったからだろうか?
確かに、夫が、元妻との離婚届にサインしようとしてから、交通事故の被害者と加害者として現在の妻と出逢うまでの経緯とか、出産が迫った妻を病院に送り届けようとして、縦列駐車の前後の車に阻まれるシーンとかには、どこかトボけた味わいがあるし、渋滞で動かない車の中で産気づいた妻が、近くのガソリンスタンドのトイレの中で出産するくだりには、スリルと笑いが入り混じった面白さがある。
その一方で、妻が坊主頭になるまでは、「現在」と「過去」との区別が付きにくく、場面の繋がりの悪さに混乱するし、自分の頭の中で時系列を整理するのも大変で、果たして、このような構成にする必要はあったのだろうかという疑問も残る。
中でも、子供を欲しがっていなかった妻が、卵巣癌になって、初めて子供を設けるということを現実の問題として認識し、卵巣の1つを残す決断をしたということが、物語の中盤で明らかになるのだが、この決断が、後の出産や癌の再発という流れに繋がっているだけに、もう少し早く知っていれば、物語を観る目も違っていたかもと思えてならない。
さらに、冒頭で、妻が、憂鬱な治療を受けるか、明るく前向きな余命を送るかで悩んだのは、癌治療の辛い経験があったからだろうが、その割には、最初の治療の状況はほとんど描かれないし、結局、妻が、延命よりも「生活の質」を選び、医者に緩和処置を要望するような場面もなかったことには、闘病モノとして「舌足らず」な印象を受けざるを得ない。
その「生活の質」にしても、妻が選んだのは、料理コンテストに挑戦するということなのだが、確かに、娘に、「弱っていくだけの自分を覚えていてほしくない」という妻の気持ちも分からなくはないものの、むしろ、家族と一緒に過ごす時間をできる限り確保するという選択肢もあったのではないかと思えてならない。
ましてや、妻が、コンテストの練習のために、娘の保育園のお迎えをすっぽかしてしまうことなど、本末転倒も甚だしいと思えるし、自分が頑張る姿を見せたいはずなのに、コンテストに出場することを、家族に隠そうとした理由もよく分からない。
確かに、命が尽きるまで、シェフとしての道を極めようとした妻の姿は感動的ではあるものの、スケート選手だったとか、バイセクシャルだったとかの妻の過去の設定は、果たして必要だったのだろうかという疑問も残った。
美女とイケメンとグルメ
去り行く命と生まれてくる命が交差する世界で
この映画は難病をテーマにしているものの、主人公夫婦と作品自体が常にユーモアに満ちており、とても観やすかった。
物語は時間軸が複雑に交差する構成で、特に序盤は頭が混乱した。
新しい場面に切り替わるたび、それが結婚前なのか後なのか、子どもが生まれる前か後か、1回目の治療中か2回目の治療中かといったことを、画面の情報から推測しなければならず、理解に時間がかかった。
かなり早い段階で夫婦に娘がいることが明かされるが、結婚前の場面では妻となるアルムートが「子どもは欲しくない」と考えているため、「なぜ子どもを授かることになるのだろう?」というミステリーになっていた。
結婚前は子どもを望まない妻と子どもが欲しい夫で、二人の関係は破局寸前まで行くが、途中で考えを変えた夫の「先の未来より今が大事」という言葉に感動。
この場面があるから、映画序盤で夫婦が下す大きな決断も、この二人なら必然だと感じられた。
結果的にアルムートは子どもを作る選択をするが、その後の彼女の運命を知っている観客としては、その選択が大きな代償を伴うことに胸を締め付けられる。
そして、娘が二人にとってどれほど重要な存在であるかを思い知らされた。
最終的にアルムートが「娘のため」に行動する姿は、結婚前の彼女からは想像もできない変化だが、映画を通して彼女の変化を追うことで納得できるし、その変遷は非常に感動的だった。
中盤の出産シーンは、他の映画では見たことのないような壮絶な場面だった。
このシーンでは、画面に映る役者全員の演技に圧倒され、まるで舞台劇を観ているかのようだった。
扉の鍵が壊れてベテラン店員の女性が「私に任せときな」という雰囲気で取った行動には思わず笑ってしまった。
全力で泣かせにくる場面にもできたはずなのに、こうした場面でもユーモアを忘れない点が好感を持てた。
シェフであるアルムートと部下の女性の関係も素敵だった。
料理への純粋な気持ちと相手を思いやる心から、二人がバディになっていく過程は観ていて気持ちよかった。
最後の料理シーンは、師匠から弟子への一子相伝のようにも感じられた。
この映画は「過去にこういう行動をとった人だから今こういう行動を取るのは当然」というように、登場人物たちの行動原理が一貫していて、脚本が巧みに感じた。
ただ、それとは別に、個人的にもやもやする気持ちも残った。
アルムートと自分は別の人間なので考え方が違うのは当然だが、もし自分だったら「一度乗り越えられたのだから次も余裕で乗り越えられるはず」と考えると思う。
娘もそっちの方が嬉しいはず。
個人的に9ヶ月間の地獄のような抗がん剤治療の経験があるが、友達も恋人もいない自分がもしアルムートと同じ状況になったとしたらそうするだろうし、大切な人がいて強い意思を持つアルムートであればなおさらそうするのでは?と映画を観ながらずっと考えていた。
生き切った
ちょっとトリッキーなマスターピース
美しい撮影で、人生において何が大切なのかを問いかける人生賛歌。
あらすじだけ聞くとここんとこ日本に溢れてる可哀想だけを求めてるような余命ものに思えるがさにあらず。「量よりも質」を人生に求めるってどういうことか、を例示してくれる。
ちょっとトリッキーなのは時系列が弄られていることだけど、いろいろな局面におけるピークが映画の終盤にまとめられてて図らずも涙腺決壊…
笑って、泣いて、幸せになって、あと映画になに求めるんだっけ?ってなる。
兎に角、主演2人の芝居が最高なんだけど、泣きのアンドリュー・ガーフィールド、愛のフローレンス・ピュー、って感じで言うことなし。
特に出産絡みのシーンはいずれも幸せな雰囲気に満ちてて何度でも観たい。
これ、新しいマスターピースなので絶対に観ておくべき。
全114件中、81~100件目を表示
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