We Live in Time この時を生きてのレビュー・感想・評価
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飾らず正直に、誠実に
トビアスとアルムートにとってその時その時が大切で愛おしむべきものであるように、観ている私たちも2人とともにその時その時をしっかりと胸に刻む。
多分、時間がいったりきたりする構成には、そういった効果があるのだろう。
飾らず正直に、誠実に向き合うトビアスのように、あらねばならなかった。
アルムートのように、正直に、精一杯に生きねばならなかった。
フローレンス・ピューの脱ぎっぷりの良さには今回も感服。別に脱がなくてもいいのにね。
トビアスでなくても恋してしまう。
深刻な場面でも泣かせにこないからかえって泣いてしまう。
We Live in Time なんてすばらしいタイトルだろう。
またひとつ、愛おしい作品に出会うことができました。
キノフィルムさん、ありがとう。
誇れる母に
癌により余命わずかの女性とその夫が、残りの日々をどうするか話し…2人の出した決断と挑戦の物語。
余命宣告から2人の出会い等々、様々な時間軸を行ったり来たり。シリアスな場面と幸せだった頃の対比を見せていく展開だが…。
もう少し動きが欲しいかな〜という印象。
この手法じゃなくても良いんじゃね?と思ったり。
しかし、エラ出産のあたりからはヒートアップ!共に闘ってくれた2人の存在も心強い!!確かにこの辺りを序盤に持ってこないのはグッドですね。
そして…いよいよ体がと言うところで、アルムートが選んだ道とは…。
どんな時も挑戦って大事だと改めて思わされるし、彼女の熱い想いにはググッとこさせられたなぁ。。こんな時でも、いやこんな時だからこそ見せたい姿があったのかな。
些細な幸せだったり、過酷な試練も大切にしたい、そんなふうに思わされた作品だった。
ぴゅ~マジック❗️
時間軸のシャッフル具合がスマートで上手くて感動した。時間というのはなんて愛おしく、残酷で、懐かしく、平等で不平等で、素晴らしいんだろう。台詞は無駄が一切なく、一言一言に俳優と監督と脚本の命がこもっていた。
両親に愛され才能があり華やかなアルムートの今と過去を見て、話は全く異なるが一瞬「ゴーン・ガール」の主役エイミー(ロザムンド・パイク演じる)を思い出した。料理長というハードな仕事をするアルムートにとってトビアスとの出会いはサプライズで宝物になり、トビアスは彼女を支える唯一のパートナー、二人は向かい合ってよく話す。両者の関係性が新しく「今」だったのが嬉しかった。この映画をラブストーリーとか難病ものいう枠組みで語ることはできない。人間の、人生の、時間の物語でした。
フローレンス・ピューは相変わらず素晴らしく、今まで演じたどの役とも異なる。これからまたどんな演技を見せてくれるんだろう!飽くことなく見続けていきたい。アンドリュー・ガーフィールドは適役❗️緊張しいで内向的で真面目で泣き虫、すぐに目がウルウルしてしまう。首からぶら下げているストップウォッチ、肌身離さずのペン、なんでもノートにメモする姿がトビアスの几帳面さをよく表していた。スパイダーマンの人、としか認識していなくてごめんなさい。素晴らしい俳優です!
誠実さと清潔感に溢れる良作
ジョン・クローリー監督の「ブルックリン」はとても好きな作品である。アイルランド出身の女の子がアメリカに移住して結婚し一度はアイルランドに帰るが再びアメリカに戻ってくる、筋としては何ほどでもない内容ではあるのだが、なんともいえない品の良さや清潔感が好ましかった。
本作はアルムートとトビアスのカップルの物語である。いわゆる難病ものカテゴリーでありプロットを聞いただけで観たくなくなる人もいるらしいし、映画評としても時代錯誤という手厳しいものもあった(本当に観ているのか疑問)
確かに全体としては妻の病気を夫婦が乗り越えようとするストーリーであり着地点も想定通りではあるのだが単なるお涙頂戴ものにならないようきめ細かい演出上の工夫がされている。その一つが時制の錯綜である。大きくいって、出会いと一緒に暮らしはじめるところが第一の時制、がんの罹患がわかるところ、そしてがんを乗り越えて出産するところまでが第二の時制、そして化学療法が上手く奏功しない中、アルムートが料理の世界大会に出場するところか最後の時制である。この3つの時間の流れを巧妙に出し入れしながら映画は進んでいく。
全体として感じられるのは、もちろん架空の人物設定とはいうものの、自分たちがスクリーンに登場させたこの2人の人物の今を生きる姿を、誠実に映し出したいという制作者たちの意向である。
そこには観客に媚びるところが全くない。どうです、感動的でしょ、ここで泣いたらどうですか、といった姿勢が微塵も見えないのである。
そこが、日本映画では、毎月のように上映されるエモーショナルな作品群とは全く異なる。
あと一つ、特筆すべきは、主役のフローレンス・ピューの肉体的な力強さである。体幹にしても、手足にしても、実に分厚く、逞しい。ここが作品に強力に説得力を持たせている。日本のじゃりタレ女優と比較してみればよく分かると思う。
セックスシーンもそこそこあるが、不思議なことにあまりいやらしくならない。そこがこの監督の品の良いところでもある。
魅せる役者たちのドラマ
難病ものラブストーリーだと思ったら、確かにそう言う面はあるけど、テーマは全然違いました。
今を最大に生きる事の素晴らしさを、フローレンス・ピューが素の彼女を見るような生々しさで演じ切っています。
それに負けないのが夫役のアンドリュー・ガーフィールド。役者としてベテランの域に入って来ていますが、ピューのパワーを余裕で受け止める深さが感じられ、そこに安心感が生まれます。だからこそピューは精一杯生きようとする説得力が出てきます。
この映画の性向の要因の大半はこの二人の役者に尽きるのですが、それを導いた演出力も凄い。
映画の構成は時系列ではなく、まるで思い出話のように時が行ったり来たりして、それが何の説明もテロップもないので最初は戸惑いますが、物語はシンプルなので話が分からなくなることはなく、よりテーマを強く描く構成になってると思いますが、シンプルな回想形式の方がより多くの観客に受け入れられると思うので、そのヴァージョンも観たかったかな。
フローレンス・ピューの見た目が健康的過ぎて、病に侵されてる事を感じさせないので、映画に明るさをもたらしているけど、やや説得力に欠けるのはあった。
でも久しぶりにハリウッド最高の役者たちによるドラマが見れて、映画ならではの面白さを堪能できました。
今しか生きられない
見終わってこの映画は夫目線の回想の時間軸で描かれていると思いました。夫は交通事故の後遺症で高次脳機能障害を患ったのではないかと思います。記憶障害で短期記憶が覚えられないためメモをこまめにとったり、ストップウォッチで時間を管理している、大切なこともメモを見てでしか思い出せなかったり。そして物語も過去現在が交錯しているのは、長期記憶がより印象に残っているからではと。妻もそれをわかってちゃんと自分の言葉で気持ちを伝えているのだと思った。だから、しみったれず、くどくなくストレートに2人の軌跡が観る側にも入ってくる。お互い疾患を抱えて苦悩しながらも恋人夫婦でいる時間や家族としている時間が丁寧に描かれている。お互いの気持ちの変化が説明なくとも伝わる。難病テーマの映画ですが、そこに潔さと清々しさを感じました。そして、今しか生きられない辛さもあるのだなと。過去と今が共存して、「今」につながっていく、記憶に残る良い映画だと思いました。
スケーター→シェフは何を残せる…
素敵なシーンがいっぱい。
フローレス・ピューのキュートさと素晴らしい演技力を堪能。
派手さはないが素敵なシーンがいっぱいで泣けて勇気のもらえる映画でした。
こういう映画を観るとダラダラ生きている自分に焦りを感じるなぁ〜。
〈お気に入りの名シーン〉
・ガソリンスタンドのトイレでの出産シーンのあとのふたりの店員のグータッチ。
・料理の世界大会の助手が真似して短髪にした時に言った気の利いたセリフ「これで空気抵抗をなくせる。」
・バスルームで妊娠中のアルムートのお腹の上にトビアスからもらったお菓子を置くラッコスタイル。
・病院の診察室でお腹が鳴り医師と3人でお菓子を食べるシーン。
・ラストの娘エラが料理をして卵を平らなところで割るシーン。
減点方式か、加点方式か、、
フローレンス・ピュー×アンドリュー・ガーフィールド。好きな俳優二人が主演、そして劇場で何度となく観させられたトレーラーに抗うことを諦め、雨のサービスデイにTOHOシネマズ日本橋で鑑賞です。
まず最初に断りを入れておきますが、この手の作品に「ケチを付ける」ようなレビューは反感を買いそうで躊躇しましたし、実際のところ、自分自身も作品を観ながら涙腺が刺激されるシーンも少なくありませんでした。要するに感動したし、(一見して)欠点は見当たらない「100点」的な作品だと思います。時系列の行ったり来たりもストーリーを盛り上げるのに効果的に組み立てられていますし、混乱するような解りにくさもありません。そして、主演の二人は「こうあって欲しい」と思うイメージ通りのキャラクターのため、より説得力も感じます。兎に角、どこをとっても裏切られるところがなく、求めるものを観させてくれるため、「究極的な恋愛映画が観たい」的な目的なら迷わずお勧めしやすい作品だと思います。
ですが(ここからケチが始まります)、、、ここまでドラマティックな要素を「全部盛り」されると、反ってそれに慣れてしまい途中からは最早「ダイジェスト」に見えてきます。そして、あまりにイメージ通りな二人の的確な演技によって先が判るため、「泣きたい」と思って観れば心の準備が出来ますし、何ならあとはストーリーの「結末」を待つばかり。前述で「100点」的と表現しましたが、作品全体を振り返って思わず「琴線に触れる」といったような驚きはなく、加点がないという意味では「0点」とも。。。(なお、涙腺は馬鹿になっているので、悪しからず。)
ちなみに、ジョン・クローリー監督の前作『ブルックリン』もそうですが、「時代」や「人生」語るとダイジェスト的な作りになりがちなのは解ります。しかも、出来としては文句のつけようがないほどに完成されています。そして、二人の選ぶ言葉、決断、そして取り巻く情景など、どこを切りとっても美しくて大変に印象的です。(それは既にトレーラーが物語っている通り)更に、間違いなく言えるのはフローレンス・ピュー、アンドリュー・ガーフィールドのファンならば観て損はありません。
何だか上げたり、下げたり、そしてまた上げたりと、どっちつかずで保険を掛けたレビューみたいになってしまいましたが、ある意味自分にとってはこれが正直な感想です。何卒、ご容赦ください。
アルムートが最後まで素晴らしくかっこいい
We Live In Time
時は、明るく型にはまらない性格だが芯の強いアルムートと、真面目で優しいがちょっとカタブツなトビアスの出会いや、その後の出来事、現在の状況などを行き来しながらストーリーは進んでいく
アルムートとトビアスは事故の加害者と被害者として出会うという、出会いから衝撃的
フローレンス・ピュー扮するアルムートと、アンドリュー・ガーフィールド扮するトビアス
2人の相性バツグンで、『P.S.アイラヴユー』のホリーとジェリーの次ぐらいにいい
癌治療を克服し、子作りに何度も挑戦してやっとの思いで子を授かる
この出産シーンがなかなかにリアルで、フローレンス・ピューの迫力が凄かったし、頑張れ頑張れ〜と手に汗を握った
ようやく家族3人で幸せを掴んだかのように思えたが、アルムートの癌が再発
今度は一筋縄ではいかないようだ
それでも1日でも長く家族との時間に費やして欲しいと願うトビアス
その気持ちは重々に分かるが、ただ死んでいくよりも娘のエラに、最後まで諦めなかったママとして、自分の成し遂げたことを憶えていて欲しいと願い、何かを遺したいと思うアルムートに感動した
アルムートの弟子もすごく良かった
アルムートを支える姿に感動した
最後 トビアスがエラに、アルムートから教えられた卵の割り方を伝授しているシーンが印象的だった
今を生きる
誰しも生きられる時間は限られています。
そんななか誰しも、
思いがけない出来事を通じて大切な人に出会ったり、
そんな人とも考えを通じ合わせる難しさを感じたり、
そんな人と辛苦や喜びを共有したり、
大事なときに限って間の悪いことになってみたり、
(でも周りの人たちに助けられたり)
そんな風にして大切な時間を過ごすんですよね。
理屈では考えられないことが起きたり、センシティブな時間にも可笑しな空気が流れたり、わずかでもキラキラした時間が流れる瞬間があったり、だから生きられることは楽しい、生きられる時間を大切にしないといけない、そんなことを明るく諭された気がします。
とんでもない挑戦などしなくても、大切な時間を共有できている人がその人を忘れられてしまうなんてことはないはずとも思いましたが、限られた時間をどう使うかはやはりその人それぞれなんでしょう。あるいは、主人公も最後にそんな心境で会場を後にしたんでしょうか。
この先、エラが卵を割るときには常に彼女がそばにいるんですよね。
ピューちん
フローレンス•ピューをピューちんと呼ぶ運動の支部長をしています。嘘です。それはともかく、ピーターとエレーナが泣いてる姿を見ながら俺も泣いた。GSのトイレのシーンは細かいセリフのやりとり含めて感動的だ。
時系列バラバラに並べて繋ぐ構成は好き嫌いもあるだろうが、それぞれのシーンが概ね短いことで脳内モザイクまたはジグソーパズルとしてちゃんと成り立っているという感想でした。
We Live in Time この時を…
21世紀型にアップデイトされた難病モノ 生む選択をしたワーキング•ママが見せたプロフェッショナルとしての矜持
映画史を紐解けば、愛し合う若いカップルの一方(なぜか女性の場合が多いような気もします)が難病に侵され、余命いくばくもない、さて、ふたりは…… というストーリーは掃いて捨てるほどあります。そのたびにたくさんの人々が劇場内でハンカチを濡らしてきたわけですが、そうしながらも絶え間ない既視感に襲われていたというのも避けがたい事実のように思われます。
さて、この作品では主人公の凄腕シェフのアルムート(演: フローレンス•ピュー、熱演です)が卵巣癌に侵され、時間が限られたなか、夫のトビアス(演: アンドリュー•ガーフィールド)や娘のエラ、そして彼女の職業とどう向き合ってゆくかが描かれています。私は本篇を観てハンカチを取り出すまでには至らなかったのですが、なるほど、そう来たかとストーリーの巧みさに膝を打ちました。今日的な女性の生き方やそれにまつわる問題(英語で言うと problem ではなく issue のほう)をうまく見せている感じで、いわば21世紀型にアップデイトされた難病モノといった趣きがあります。
以下、若干のネタバレを含みますので鑑賞前でまっさらな気持ちで鑑賞に臨みたい方は読まれないほうがよいと思います。
まず、子供を生む、生まないの問題。アルムートは非常に多彩な人で自分のシェフとしてのキャリアにも誇りを持っており、トビアスと交際し始めた頃は子供を持つことに積極的ではありませんでした。ところが、比較的ステージの浅い癌になり、卵巣、子宮を全摘出すれば当該部分の癌の再発の可能性はほぼなくなると告げられた際の彼女の選択は、将来的に「生む」を選択する可能性を考慮して女性の機能を残しておくというものでした。その後、トビアスと話し合って彼女は生むことを選択します。で、出産後しばらくして、残してあった卵巣に癌が見つかることになります。この場合は生むという選択が致命的な結果をもたらしていますが、そうでなくても、生む、生まないの選択は人生にとって大きな課題だと思います。
次に母親としての役割とキャリアの問題。従来型のストーリーだと、母親は限られた時間のもと、少しでも長く娘と接して母親としての役割を果たそうとするでしょう。ところが、アルムートの選択は娘とともに過ごす時間を削ってでも自分のキャリアの最後に花を添えるべく、全欧州の料理の大会に英国代表として参加することでした。それはプロとしてののプライドをかけた その姿、生き様を娘に見せることでもあります。ここで面白いのは家庭内のことに関してはトビアスが仕切っているように見えることです。例えば、アルムート流の卵の上手な割り方はトビアスを通して娘に伝えられた感じでした。アルムートとトビアスの家庭内での振る舞いは従来型のジェンダーの役割りとは異なっている感じがありました。
と、ここまで書いて、なんだか理屈っぽいレビューだなと思ってしまいました。本作はアルムートのどこまでも前向きな生き方に素直に感動できるなかなかいい話なんですけどね。今回は私がちょっと感じたジェンダーのお話を書いてみたということで失礼します。
人生はどう転がるかわからない、でも・・・
【メッセージ性】
この物語が描くように、人生は時に理不尽だと思う。
幸せから不意に絶望の淵に落ちることもあるし、徐々に何かを失う恐怖を覚えることもある。
ただ、そのような運命に翻弄される弱い存在(我々)だからこそ、今という時間を大切にし、「どう生きたいか」を真摯に考えることが大切なのだろう。
真摯に生きる人生は、走馬灯のように満ち足りた時間のカットバックに恵まれるのだろう。
クライマックスの、とある挑戦についても、あえて結果を描かないのは、結果よりも生きるプロセスが大切であるということの暗喩であろう。
この映画を通じて、「どう生きたいか」を真摯に考えることの大切さと、ありふれた人間としての生(本能的)の掛替えのなさを感じることができた。
【その他】
(+) 主演2人の演技は素晴らしい
(-) 基本的に出てるくる人間が、善人すぎる(リアリティーよりロマンティック性に重き?)
(-) いい歳の独身男子が鑑賞すると、違う意味で時々切なくなる
いい話なんだろうけど
【"継承の卵、そして自らが生きた証を残す。”今作は奔放な女性が恋に落ち、結婚、出産、そして病に罹るも夫の支えで常にポジティブに子育て、仕事し、自分の生きた証を残す様が爽やかな余韻を残す逸品である。】
ー この映画では、冒頭で母のアルムート(フローレンス・ピュー)が、最後半は娘のエラが庭で育てている鶏の寝床に手を入れて、”有精卵”を数個手にするシーンが描かれている。
ご存じのように、卵は”命”の象徴である。そして、この映画を観終わった時に、上記のシーンの意味が分かるのである。-
■若くして、店を持ったオーナーシェフ、アルムート。
ある日、バスローブ一つで、車道でウロウロと何かを探していた挙動不審な男を、車で思いっきり轢いてしまう。男の名は前妻との離婚届けにサインしたばかりの、シリアル会社の管理職トビアス(アンドリュー・ガーフィールド)。
頸椎カラーを付け、茫然とした表情のトビアスの病室に見舞いに行ったアルムートは、何故か彼と恋に落ちる。
自由奔放で言いたいことはガンガン言うアルムートと、オドオド君のトビアスは、一時期、子を持つかどうかで相違があり険悪になるも、彼女は子供を持つ事を決意し、一人娘エラが生まれる。
そして、3年後。アルムートは世界最高峰の料理コンクール、ポキューズ・ドール予選切符を手に入れるが、彼女にステージ3の卵巣癌がある事が発覚する。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・序盤から、中盤まで上記ストーリーが時間軸をザッピングしたかのように描く手法が斬新である。普通、この手法を取ると観る側は混乱したりするのだが、今作ではそれがないのである。編集が絶妙に上手いのである。
・フローレンス・ピューと、アンドリュー・ガーフィールドのタッグも息がバッチリで”動”のピューと”静”のガーフィールドの役柄を越えたマッチングの良さは”君ら、実生活でもイケルンジャナイ?”などと、野暮な事を考えてしまった程である。但し、万が一、二人が一緒になってもガーフィールド君がデカい尻に敷かれるのは目に見えているけどね。(涙)
■これは推論だが、アルムートが、あれ程拒絶していたのに、子を持つ決意をした理由は自らの身体が発した”継承”のサインを自覚せずに感じたからだと私は思う。
そして、彼女は子を望んでいたトビアスと共に、何度もトイレで妊娠検査機具で確認し、何度もガックリするも、最後目を見張って機具を見て大きな口を開けて喜ぶシーンは、観ている私まで、喜んでしまったよ。
■今作が良いなと思うのは、アルムートの陣痛が始まる度にオロオロするトビアスを演じるアンドリュー・ガーフィールドが、矢張り上手いんだな。何故か自分の車の前後にピッタリと駐車してある車(あのシーンは、笑える。)に、最初はぶつけないように切り返しを慎重に何度もするも、うんうん唸るアルムートの声に急かされるように、最後はガンガンとバンパーをぶつけて病院へ向かうシーン。で、病院に着いたら”まだ、2センチしか子宮口が開いていません・・。”と言われるシーン。クスクス可笑しい。
でもって、到頭来たよ!本格的な陣痛が。だーが、この夫婦は余程運が良いのか(スイマセン。)ガソリンスタンドのトイレで出産するのであるが、このシーンが良かったなあ。ガソリンスタンドの兄さんとオバサンが手伝う中、アルムートは無事に、女児を出産するのである。それにしても、フローレンス・ピューってやっぱ胆が据わっているよな。ハリウッドスターらしからぬシーンでも、見事に演じ切るのだから。
■アルムートが、トビアスに隠して、病により鼻血を出しながらポキューズ・ドール予選に臨むシーンで、”何でだ!”と攻めるトビアスに言った言葉は沁みたなあ。
”只の死んでしまった、可哀想なママにはなりたくない!”
娘エラに対し、写真ではなく確かに母は生きていたという姿を見せたいという強い想い。又、本戦が6月5日か6日である事も上手いよね。それは、二人の”記念日”だったから。
そして、本戦。髪を随分前にエラに切って貰ったアルムートは、スーシェフが緊張の余り吐く中、料理を作り上げるのである。その姿を観客席から応援するトビアスとエラの姿。もう、間違いなくエラの脳裏には、頑張る母の姿が焼き付いたであろうシーンである。可なり沁みる。
<そして時は過ぎ、トビアスとエラは自宅で飼う鶏の厩舎から生みたて卵を取り出し、ガラスのボールを二つキッチンの上に置き、トビアスは”平たい所を打ってね。”とアドバイスをし、エラはその通りに片手で卵を割って行くのである。それは、且つてアルムートがトビアスに説明した卵の割り方なのである。
今作は、奔放な女性が恋に落ち結婚、出産、そして病に罹りながらも夫の支えで常にポジティブに子育て、仕事し、自分の生きた証を残す様が爽やかな余韻を残す逸品なのである。>
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