「【"継承の卵、そして自らが生きた証を残す。”今作は奔放な女性が恋に落ち、結婚、出産、そして病に罹るも夫の支えで常にポジティブに子育て、仕事し、自分の生きた証を残す様が爽やかな余韻を残す逸品である。】」We Live in Time この時を生きて NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【"継承の卵、そして自らが生きた証を残す。”今作は奔放な女性が恋に落ち、結婚、出産、そして病に罹るも夫の支えで常にポジティブに子育て、仕事し、自分の生きた証を残す様が爽やかな余韻を残す逸品である。】
■若くして、店を持ったオーナーシェフ、アルムート(フローレンス・ピュー)。
ある日、バスローブ一つで、車道でウロウロと何かを探していた挙動不審な男を、車で思いっきり轢いてしまう。男の名は前妻との離婚届けにサインしたばかりの、シリアス会社の管理職トビアス(アンドリュー・ガーフィールド)。
頸椎カラーを付け、茫然とした表情のトビアスの病室に見舞いに行ったアルムートは、何故か彼と恋に落ちる。
自由奔放で言いたいことはガンガン言うアルムートと、オドオド君のトビアスは、一時期、子を持つかどうかで相違があり険悪になるも、彼女は子供を持つ事を決意し、一人娘エラが生まれる。
そして、3年後。アルムートは世界最高峰の料理コンクール、ポキューズ・ドール予選切符を手に入れるが、彼女にステージ3の卵巣癌がある事が発覚する。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・序盤から、中盤まで上記ストーリーが時間軸をザッピングしたかのように描く手法が斬新である。普通、この手法を取ると観る側は混乱したりするのだが、今作ではそれがないのである。編集が絶妙に上手いのである。
・フローレンス・ピューと、アンドリュー・ガーフィールドのタッグも息がバッチリで”動”のピューと”静”のガーフィールドの役柄を越えたマッチングの良さは”君ら、実生活でもイケルンジャナイ?”などと、野暮な事を考えてしまった程である。但し、万が一、二人が一緒になってもガーフィールド君がデカい尻に敷かれるのは目に見えているけどね。(涙)
■これは推論だが、アルムートが、あれ程拒絶していたのに、子を持つ決意をした理由は自らの身体が発した”継承”のサインを自覚せずに感じたからだと私は思う。
そして、彼女は子を望んでいたトビアスと共に、何度もトイレで妊娠検査機具で確認し、何度もガックリするも、最後目を見張って機具を見て大きな口を開けて喜ぶシーンは、観ている私まで、喜んでしまったよ。
■今作が良いなと思うのは、アルムートの陣痛が始まる度にオロオロするトビアスを演じるアンドリュー・ガーフィールドが、矢張り上手いんだな。何故か自分の車の前後にピッタリと駐車してある車(あのシーンは、笑える。)に、最初はぶつけないように切り返しを慎重に何度もするも、うんうん唸るアルムートの声に急かされるように、最後はガンガンとバンパーをぶつけて病院へ向かうシーン。で、病院に着いたら”まだ、2センチしか子宮口が開いていません・・。”と言われるシーン。クスクス可笑しい。
でもって、到頭来たよ!本格的な陣痛が。だーが、この夫婦は余程運が良いのか(スイマセン。)ガソリンスタンドのトイレで出産するのであるが、このシーンが良かったなあ。ガソリンスタンドの兄さんとオバサンが手伝う中、アルムートは無事に、女児を出産するのである。それにしても、フローレンス・ピューってやっぱ胆が据わっているよな。ハリウッドスターらしからぬシーンでも、見事に演じ切るのだから。
■アルムートが、トビアスに隠して、病により鼻血を出しながらポキューズ・ドール予選に臨むシーンで、”何でだ!”と攻めるトビアスに言った言葉は沁みたなあ。
”只の死んでしまった、可哀想なママにはなりたくない!”
娘エラに対し、写真ではなく確かに母は生きていたという姿を見せたいという強い想い。又、本戦が6月5日か6日である事も上手いよね。それは、二人の”記念日”だったから。
そして、本戦。髪を随分前にエラに切って貰ったアルムートは、スーシェフが緊張の余り吐く中、料理を作り上げるのである。その姿を観客席から応援するトビアスとエラの姿。もう、間違いなくエラの脳裏には、頑張る母の姿が焼き付いたであろうシーンである。可なり沁みる。
<そして時は過ぎ、トビアスとエラは自宅で飼う鶏の厩舎から生みたて卵を取り出し、ガラスのボールを二つキッチンの上に置き、トビアスは”平たい所を打ってね。”とアドバイスをし、エラはその通りに片手で卵を割って行くのである。それは、且つてアルムートがトビアスに説明した卵の割り方なのである。
今作は、奔放な女性が恋に落ち結婚、出産、そして病に罹りながらも夫の支えで常にポジティブに子育て、仕事し、自分の生きた証を残す様が爽やかな余韻を残す逸品なのである。>
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