「正義も所詮人間の欲」おんどりの鳴く前に れっどべるべっどケーキさんの映画レビュー(感想・評価)
正義も所詮人間の欲
世の中には白黒つかなくていいことがある。
ルールに固執していては仕事は片付かない
映画序盤のこの言葉がやけに記憶に残っている。
何にしても、「どちらが正しいか」「何が正解か」考え始めてしまうけれど、実は「世の中には白黒つかなくていいこと」というか、白黒つかないことの方が多い。よく言う、どちらも正しいくて、どちらも間違っているというやつ。
それでもヒトが何が正かを求めてしまうのは「欲」がヒトに寄生して離れないから。
正義で行動する者と規則に従う者どちらも魅力的に見える作品が多いが、どちらもただ自分の「正しい」と思っているモノに従って行動しているだけ。
正義で行動している者はルールに反して正義という名の欲で動いているだけ、
ルールに従っているモノは自分の利益や「欲」とたまたま利害が一致しているだけ。
主人公は「欲」に従い、他人に自分の正しさをぶつけている。
規則は誰にでも同じように課されるけれど、
「正義」という名の自分勝手な「欲」は人によって姿を変えるし環境や場面で色を変える。
人は規則と欲の間でいつも揺れ動いている。
正義も人間の欲でしかない。ということに気づくと少しだけ悲しくなった。
人は誰しも心の中にヒーローがいるはず。でもそのヒーローも自分勝手な欲の押し付けと思うと胸が痛い。
この映画は、そんな揺らぎを映し出し、観る者に問いを残す作品だった。
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