「不器用な男の悲劇の物語」おんどりの鳴く前に カツベン二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
不器用な男の悲劇の物語
ルーマニア・アカデミー賞6冠という宣伝文句に惹かれて鑑賞。(ルーマニア映画初めてかも)
監督のリューベン・オストルンドは「逆転のトライアングル」であまりいい印象はない。
主演のユリアン・ポステルニクは痩身・猫背でクタクタでヨレヨレの制服を見事に着こなし何とも言えない中年おじさんのモノ悲しさがあって非常に良かった。
肌感覚だが少なくとも9割以上は画面に出続けていた事からも、良くも悪くもこの映画はこの人が全てなんだろうと思う。
正直言って、葛藤から来る心の揺れやクライマックスに向かってのボルテージの上がり方の表現が少し伝わりにくく、最後の行動が唐突過ぎたように感じてしまったことが残念だったが、最後までかっこよくなく、ある意味この主人公っぽかったのにはリアリティを感じた。
ルーマニア国内で高く評価されたのは、ルーマニア農村部の村社会の現実を上手く描いているからなのかなとは思った。
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