死に損なった男のレビュー・感想・評価
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映画開始後、葬式の場面以降はクスクスっと、あるいはニヤッと笑いなが...
映画開始後、葬式の場面以降はクスクスっと、あるいはニヤッと笑いながら見てしまった。
いわゆる不条理ドラマとも言えるが、決してシリアスだったり堅苦しかったりはなく、コントを見ているような感覚で見ている方は巻き込まれてしまう。
(コントのような掛け合いや映画のファンタジーを楽しめる人でないと、この映画を厳しく採点してしまうかもしれない。)
見たことのない状況の映画であるが、水川かたまりと誰やその俳優と思われる正名僕蔵との共演も考えつかない。想像の上を行き演技は驚きであり絶妙でもある。
女優陣の立ち位置も良かったです。
ストーリーは安易に流れることはなくリアルではあるが希望もある。
全体的に中途半端ですかね……
予告編を見てコミカルな話だと想像して見に行ったのですが、少々違いましたね。
自殺を試みたが「死に損なった男」と、未練を残して死にきれず幽霊になり「死に損なった男」のお話。
ストーリーは主人公の構成作家の仕事と幽霊の娘と元DV夫の2つのラインで展開しますが、それぞれのラインでサブストーリーも多いため、全体的に散漫な印象を受けます。映画もコメディではなく、不条理ものと職業もののミックスといった形でどちらにも突き抜けていない。
俳優陣は頑張っていたのでしょうが、メインからわき役までそれぞれのキャラクターに魅力が薄いため、作品そのものに入り込めません。脚本自体が練りこまれていないのか、キャラクターの言動も不自然だったり、何を意図したのか理解できないシーンも多く、シラケることばかり。
作品上のキーになると思っていた3つの要素であるコント大会の結果や元DV夫との対決、幽霊の娘との関係性もそれぞれなんとなく解決してしまうため、何を見せたかったんだろう……という気持ちのまま劇場を後にしました。
相変わらず唐田えりかさんはよかったですが、彼女の女優としてのよさが活かされた役とも思えず、無駄遣いの印象です。
鑑賞動機:なりゆき10割
だからなりゆきで映画選んでも碌なことな…アレ? 覚悟していたよりも酷くはないというか、意外と面白かった。とっぴなネタではあるものの、オジサンとのバディ感が増していくのよい。
何が幸せかなんてわからないけど、死んだら終わりだもん。
メランコリックの田中監督作品
君、もしかして駅で・・・
あの設定を活かしきれていない
強い思いを残して亡くなった幽霊が登場する映画はよくある。本作に登場するのは、娘につきまとう元夫を殺せと依頼(というよりも脅しに近い)する元教師の幽霊。死に損なった男・一平がこの幽霊・森口を見える理由がちょっと珍しい。面白いのは、森口が一平に触れられるということ。さらには彼にまつわる物体にも触ることができる。なんて都合のいい設定!この設定を活かしきれていないのも少しもったいなかったけど。
娘の元夫を殺したい父親(幽霊)と、死に損なった構成作家と、元夫に怯える娘と、元嫁とよりを戻したい男が絡み合う物語は、それなりに面白かった。一平が森口のことを見える理由がちょっとした伏線になっているところもよい。若干コント的な内容だったからか、水川かたまりの演技もあまり気にならなかった。
ただ、娘の元夫をどうしても殺さないといけない理由が今一つ伝わってこない。どうしてあそこまで執着するのか。もしかしたら森口が亡くなる直前のあの描写。彼は娘の元夫を殺しに行こうとしていたのかもしれない。それくらい精神を病んでいたとしたら、森口が立ち直る話でもあったということか。そう考えると話の展開もやはり珍しい。
思いの外面白かった
秀作で変わり種のコメディ
題材を活かし切れなかった平凡な脚本
構成作家と幽霊の奇妙な共同生活を描く。主人公・関谷一平役に、お笑いコンビ「空気階段」の水川かたまり。一平に取り憑く霊・森口友宏役に、ベテラン俳優の正名僕蔵。その他のキャストに唐田えりか、ゴールデンボンバーの喜矢武豊。監督・脚本は『メランコニック』(2018)で注目を集めた田中征爾。
「関谷一平よ」
お笑い芸人の構成作家をしている関谷一平(水川かたまり)は、夢を叶えた先に何も無かったという絶望感から、電車のホームに飛び降り自殺を図る。しかし、直前の駅で発生した人身事故の影響で電車が止まり、思い止まる。後日、亡くなった人物が森口友宏(正名僕蔵)である事を突き止めた一平は、友宏の葬儀に参列する。そこで見かけた友宏の娘・綾(唐田えりか)は、DVで別れた元夫の若松(喜矢武豊)に付き纏われている様子。
帰宅し、軽い夕食を済ませようとした一平の前に、友宏の幽霊が現れる。互いに事情を把握し、一平は友宏に「成仏してほしければ、若松を殺せ」と命じられる。やがて、構成作家としての最後の仕事を済ませてからという条件を取り付け、幽霊との奇妙な共同生活が始まる。
水川かたまりの演技が素晴らしく、気弱で理不尽に対して怒りを露わにする事すら出来ず、周囲に流されて生きている一平の姿は非常にリアリティがある。思わず、「実生活でもそうなのでは?」と心配になってしまうほど。
一平に取り憑く友宏役の正名僕蔵の存在感は、流石ベテラン俳優。「こんな人に憑かれたら嫌だな」という、ギリギリ“嫌”の方に振れてしまう絶妙な面倒くささが良い。一平に声を掛けるごとに「関谷一平よ」と始める様には、融通の効かなさそうな生真面目さが現れている。
意外なハマり役は、若松役の喜矢武豊だろう。正直、エンドロールでクレジットを確認するまで気付かなかった。元々の端正な顔立ちに加え、顎髭を蓄えた姿は、いかにも「女殴ってそうな男」感が抜群(褒め言葉)。また演技に関しても自然で無理がなく良かった。
また、作中のコントを「インパルス」の板倉俊之が手掛けているだけあって、中盤の山場となるお笑いコンテストの“喪主コント”は笑えた。
ただし、コメディとシリアスのメリハリが弱く、特別盛り上がる箇所も無く平坦なまま話が進んで行くのは非常に勿体なく感じた。両方をやるならば、コメディパートとシリアスパートでもっとしっかりと盛り上がり所を用意して、ストーリーにメリハリが出るようにすべきだったし、それでこそ両者の要素が輝くと思うのだが。コメディならコメディ、シリアスならシリアスで振り切っても良さそうな内容だっただけに、そのどちらにも振り切れず、また活かし切れずに終わってしまったのは残念。
致命的なのが、お笑いという先の展開への“ネタ振り”が重要になる題材を扱っていながら、ストーリーの中でそれを“ハズす”という点だ。ネタ振りだけしてハズすというのは、それ自体が笑いに繋がる事もあるが、高い技術が求められる。本作においてそれは失敗であり、あまり美しく感じられなかった。
若松が部屋で1人本に何かを書き込んでいる姿は、ラストで改心した際に、実は資格や物書きの勉強をしていましたという展開の為のものと思っていたし、一平との取っ組み合いの果て、綾の名刺を落として走り去ってしまう件は、若松が綾の職場に押し掛ける又は仕事上がりを待ち伏せる等のスリリングな展開を期待した。こうしたネタ振りをしていた以上、その回収はマストだったと思うのだが。
更に言えば、一平と友宏が奇妙な友情を育んでいくお笑いのネタ作りや護身術の指導を音楽に乗せたダイジェストで済ませ、“何となく楽しそうな雰囲気”で流してしまった点だ。これは明らかな悪手だったと思う。ダイジェストで流す事自体は構わないのだが、例えば、一平とネタ作りをする最初だけでも、「妻を亡くした夫が、喪主として挨拶しなければならないのだが、上手く話せる自信が無くて、娘に手伝ってもらう」程度の前振りはしておくべきだったと思う。そのネタ作りの際に、元ネタである亡き妻の葬式や、綾がDVに悩んでいる様子をフラッシュバックさせ、その上でネタ見せが終わった後で綾に「まるで母の葬式の時の父のようでした」と言わせても良かったのではないだろうか。そして、何も知らなかった一平は、自らの過去をも切り売りしてネタ作りに協力してくれた友宏に絆を感じ、彼の望みを叶えようとした方がバディ感が出たと思う。
「夢が叶った先に何も無かったから。だから、死にたくなった」という一平の自殺の動機も、随分と贅沢な動機だと思う。良い家に住んでいるし、パソコンやタブレットも充実している様子で、少なくとも1人で生きる分には何不自由無さそうだ。そうした“良い生活”風景も、彼への感情移入を阻害する要因の一つだろう。
そもそも、世の中には夢を叶えた人より、夢破れた人の方が圧倒的に大多数を占めている。だからこそ、夢を叶えた先の苦悩の演出には細心の注意を払い、説得力を持たせて感情移入させる必要があったはずだ。だが、一平が自殺寸前にまで追い込まれる件の説得力が弱く(ちょっと仕事が上手くいかない、柄の悪い人に絡まれる程度)、本当に追い詰められた人間の思考からはかけ離れてしまっている。それにより、友宏の犠牲によって自殺を思い止まった際にも、タイトルにある「死に損なった」感が薄いのである。肝となる部分すら“何となく”の空気感で流されていくのは失敗だっただろう。
ラスト、若松の改心と謝罪を受けた事で、1度はアッサリと姿を消した友宏。しかし、駅のホームで一平と同じプロダクションの竹下が先方からの電話に困らされている姿を目撃した際、アッサリと現れて「声を掛けろ。いい子そうじゃないか」と背中を押す。最後に1人ラーメン屋のテーブル席に入った彼の向かいに座り、新しいネタを提供して、周囲が一平に白い目を向ける中、楽しげな2人を捉えて物語は幕を閉じる。
この手のネタを扱った話で、最後に重要になるのが「成仏するか・しないか」だろう。そして、本作では成仏しない方を選択する。元々、友宏の死因は不慮の事故だったので、まだまだこの世に未練を残して彷徨い続けるのは分かるのだが。しかし、本作が人々にほんの少しだけ“生きる気力”を抱かせるような内容だった以上、最後はキッチリお別れしても良かったと思うのだ。
特に、駅のホームで一平が竹下に声を掛ける件。今まで散々聞いてきた「関谷一平よ」という出だしの台詞を活かす意味でも、姿は見せずに声だけで彼の背中を押す方がドラマチックだったのではないかと思う。一平には“友宏の声が聞こえた気がする”という方が。
ラストのラーメン屋も、テーブル席ではなくカウンター席で1人ラーメンを待ち、おもむろに開いたネタ帳に、友宏とのネタ作りで出したネタの付箋がビッシリと貼ってあり、「まだまだ自分にはやる事がある!」と、友宏との日々を振り返りつつ、新しい一歩を踏み出してみせるやり方もあったはずだ。
題材や出演者には恵まれていると思うが、肝心のストーリーが何から何まで“何となく”の雰囲気で流れて行ってしまい、メリハリの弱い平坦な作品に収まってしまったのが残念でならない。
技術は高い
たい焼きを買わなかった男、
が、
たい焼きを買った男になる。
自力で人生を変えようと、
自力パラレルワールド、
でも、何も変わらない、
もがく男の哀愁と、微細な描写に宿る感情の力で、
意外な展開に・・・
このシークエンスの描写が細かい、
改札口のタッチ一つにしても、
主人公が触れないことでその無力感、焦燥感、
後ろの男が雑にカードを置くことで、
他者との対比が際立ち、、その微細な描写からも、
人物の感情を引き出す力に驚かされる。
セリフも使わず、状況を見せていく技術は高い。
が、
フィクションをさらに濃縮したような、
本作のようなワンダーワールドには 、
ピラティス、コントバトル周辺だけでも、
豪勢さが欲しかった。
細やかなエンタメ的描写力で、
主人公の心情を推進力に変える手腕は確かだが、
そこに豪奢さという名の「あと押し」があれば、
葬式ネタも、より観客の胸に響いたかもしれない。
国語の元先生の黄色いオ二ツカが、
エンタメ予算としては限界か。
死に損なった系で、
低予算でうまくいってるのは、
天国から来たチャンピオン(といっても、ラムズ全面協力)以外に、
四畳半系は除いて、あっただろうか。
とはいえ、後半にかけての、
アイデア勝負の展開は、ニヤリとさせる渋い逸品だ。
死にたいとは‼️❓生きるとは‼️❓
コント作家が死者と問答するコントのような映画、オチは有るのか無いのか不可思議な展開、高笑いしてる人はいたが、余り笑えない。自分自身は子供の頃に自殺願望があつた、学校での教師や生徒からのいじめ親からの虐待で、尚且つ輪廻転生を信じていたから、でも半世紀以上の結論として死は誰にもわからない、だから自死はまともな選択では無い、芥川龍之介とか川端康成などにしても最後は狂う結末。ところで、亡霊を見たかどうかだが、亡霊かどうかは一部の近親者で無いと亡霊とは確定出来ない、両親の亡霊なら逢いたいとは思う、金返せ地獄へ堕ちろと言いたい。横道に逸れたが、この映画は、人生投げたらあかん、人を妬むな羨むな、頼れる時は人に頼れ、自分の選択は大事にしろ、人生訓に溢れた映画でした🎞️🎟️ありがとうございます😊😭
オススメ度は低いが亡霊役は良かったです。
良質なコメディ
インパルス2人のコントを、いつかまた観たい。
物語の中で出てくる漫才やコントって、たいていつまらなくて、でも物語の中では面白いというテイで進んでいくのがお遊戯みたいでいつも嫌だった。
この作品では、芸人の役には芸人を起用し、劇中コントもしっかり笑ってしまう面白さがあり、それがまたその後のエピソードで涙を誘うというストーリーへの調和もありとても良かった。監督の、お笑いという芸に対するリスペクトが伝わった。
エンドクレジットを見てみると、劇中のコントはインパルス板倉さんが監修しているという。
脳内で、ぽっちゃり女装の堤下さんと白髪混じりのヅラを被った板倉さんに置き換えて余裕で再生できた。緊張のスピーチで声を上ずらせたり慌てたりする板倉お父さん、ちっとも可愛くないのに変な可愛げムーブで小さなゴメンをする堤下さん。
あぁもう一度、インパルスお2人のコントを見たいなあ。
そんなことを考えながら帰路についた夜でした。
レーティング基準
★5 最高に気に入っていて、今後も繰り返し観るべき作品
★4 とても気に入っていて、また観返すであろう作品
★3 気に入っていて、機会があったら観るかもという作品
★2 いい映画だとは思うが、私はもう観ないであろう作品
★1 自分の好みでもなく、人にも勧められないと思う作品
★0 酷い、映画に対する侮辱、謝れ、観なければよかった
関谷一平よ!
空気階段の水川かたまりを始めとして脇を固める演者が芸人の方が多く、ストーリーにスっと入ってきました。悲哀も含めて。邦画の弱点のひとつ、ギャグがすべって、こっちがいたたまれなくこともなくかなり笑いました。
演出も、とてもよくて、ある場面で唐田えりかさんがファスナーをあげるところなど、それで緊張感がグッと増すなど気が効いてるなぁ、と。
そして全く知らなかった正名僕蔵さんが本当にいい。声もよく通るし、演技にメリハリが効いてて違和感がない。すぐに殺せ!ってエキセントリックすぎですが、あまりに言いすぎてそのうち可笑しくなるのもいい。途中のある法則も本編には関わらないのですが、解像度を増していておもしろかったです。
全81件中、21~40件目を表示











