「ロウ・イエ的CV-19保存データファイル」未完成の映画 sugar breadさんの映画レビュー(感想・評価)
ロウ・イエ的CV-19保存データファイル
コロナ震源地武漢を舞台にしているだけあって、発生時の半端ない臨場感があります。現場の孤独や家族関係者の不安もビビッドに表現されています。
ただ現実に即しているがゆえに、後半の隔離期間中の描写は映画的には起伏を付けるのが難しくなったのではないでしょうか。まさに健康な濃厚接触者が2週間ステイホームを強いられた時の持て余す時間と似ている気がします。
実際のニュースやSNS投稿、夫人とのチャット、仲間とのオンライン宴会などいろいろ工夫は凝らされているのですが、ロウ・イエ監督が本来得意なケレン味ある演出が発揮しにくいところでした。ここに擬似ドキュメンタリーの限界があるように感じました。
とはいえパンデミック発生時の人々の心理、連帯の記録として意義ある作品であることには間違いありません。
コメントする