「吉岡里帆は大作ばかりにしか出演しないとかしないで、偉いです。 原作...」九龍ジェネリックロマンス Lhowonさんの映画レビュー(感想・評価)
吉岡里帆は大作ばかりにしか出演しないとかしないで、偉いです。 原作...
吉岡里帆は大作ばかりにしか出演しないとかしないで、偉いです。
原作があるようですが、呼んでいないので、以下の感想が映画固有の要因か原作由来の要因かはわかりません。
さて、今年は『九龍城砦』という傑作をすでに見てしまっています。アクション映画として楽しめただけではなく、在りし日の九龍城の怪しさが見事に再現されています(ぎりぎり、壊される前に見れた。)。予算が限られていると言うことは分かりますが、どうしても比べてしまう。雑然とした感じや、密度感、立体感が足りないように感じました。『九龍城砦』はアクション自体が上下の立体感を活かしていますが、本作は平屋で撮影しているように見えます。雑然さと密度の足り無さは、エンドロールで分かります。ロケが台北で行われたようです。ニューヨークが舞台の映画で、撮影しやすい他の都市で撮影されると感じる違和感です。繁体文字の複雑さが足りないし、香港に漂う臭いがしません。
『スワロウテイル』のような国籍不明なアジアの都市の映画は過去にもありますが、中途半端に思えます。日本人でないひとは、広東語で話して字幕の方がよかったかな?設定が(本当は)複雑なのにセリフが聞き取りにくくて、理解できません。そもそも、台湾なので広東語ですら無いかも知れません。
その設定ですが、作品舞台の九龍城の定義がよく分かりませんし、ジェネリックの定義もよく分かりません。正確な論理立てが分からなくても理解できる、良くできた脚本の映画もありますが、本作は分からないと分からない設定なのに、チャンと説明がありません。このため、九龍城の住人とそうでない人たちの関係がわからないので、ときどき登場する人たちの必然性が理解できません。学芸会みたい。空に浮かんでるあれとか、製薬会社のひととかはすべてカットしても、物語の進行には問題ありません。
発が令子Bが好きな理由や令子Aが発を好きな理由がわかりません。見た目が良いのはもちろんですが、普段は何でもないのに突然に悶絶するくらい好きになります。ここを丁寧に描かないので全く感動がありません。見た目で惚れたのなら、一目ぼれのシーンが必要でしょう。このため、ふたりで切なくなるシーンや、ふたりで突然笑うシーンが酷く見えるのです。
このため、ラストシーンがしょぼく、何をしているか、何を思っているのか分かりません。逃げるなら早く逃げるべきだし、引き止めるなら早く確保すべきだし、犠牲をはらっても後悔しないならそういう態度をとるべきだし、後悔することならチャンと躊躇しろよ。
やりたかったのは、ウォン・カーウァイ監督の『恋する惑星』なのかも知れません。あれは、説明ないし、撮影場所は少ないけれど、香港をよく描写しているし、恋心を良く分かります。そこに『デデデデ』を混ぜなくても良かったのではないでしょうか。時空的ななぞはそれでも描けます。『スカイ・クロラ』みたいな体温が低そうな描写でも良かったんじゃないかしら。
最後に、たばこは不要です。ショートホープとキャスターが出てくるので、90年代前半までの設定だと思うので、喫煙者は多いでしょうが。複線や、よくある喫煙所で偶然であうなどの効果は全くないし、そもそも、その他の登場人物は吸わないので、違和感がありすぎる。どうせなら、街中もくもくの方がそれらしい。
吉岡里帆の、ショートカットとメガネは素晴らしいので、お勧めです。
