「一発屋にもなれなかった歌手の苦悩」ドリーミン・ワイルド 名もなき家族のうた regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
一発屋にもなれなかった歌手の苦悩
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全く陽の目を見なかったのに、思わぬ形で脚光を浴びる歌手。音楽ではないが、映画監督のエド・ウッドが“史上最低の映画監督”として注目されたケースと似ている。
しかし本作の兄弟デュオ、ドニー&ジョー・エマーソンは、エドと違い存命している以上、その反響の大きさに戸惑いを感じるのも無理はない。特に活動のイニシアチブを取っていたドニーのそれは計り知れない。一発屋にもなれなかった人間が、突如再評価され有頂天になってもおかしくないはずなのに、なまじっか音楽のセンスがある分、余計苦悩してしまう。『マンチェスター・バイ・ザ・シー』で過去に囚われた男を演じたケイシー・アフレックが、ここでも過去の挫折を払拭できない男を演じてるのが妙。そんな弟よりも音楽センスが劣る兄ジョーを演じたウォルトン・ゴギンズが、実にイイ味を出していた。
お話的にも製作態勢的にも、いかにもインディペンデントなシブい一本。
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