「パンを食え!!!」見える子ちゃん なつ F列さんの映画レビュー(感想・評価)
パンを食え!!!
突然、霊が視えるようになったミコ。
ネット情報やYouTubeで対処しようとして、怒鳴ったらついて来られ、視えない振りをしていたら視えないので無視を貫く。ネット上で嘘や本当が錯綜しているのに振り回されるあるあるだなぁ思う。
そしたら、親友のハナの肩に手が!!
物理でくっついてんのかと思ったよ…
ネット知識で塩をかけたり、数珠を渡したり、最終的に神社の鳥居をくぐったら離れていって事なきを得る。
え?それだけ?!
その辺りで霊に取り憑かれていたとはいえクリームみまれでパンを貪るハナや真面目を描いた様なテンプレ生徒会の女生徒やコラー!男子ー!とか六条御息所を語る後方腕組み生徒会長(霊)、見くびらないでもらえます?!と強気で霊が視えるがお祓い方法それ九字…みたいなユリア。しかも便所飯!!!
弱気そうな後任教師トウノは当然女子には舐められる。
うーん、これは面白いのか?
原作実写化自爆作品では…と不安になる。
この辺でもまだ主人公もボヤけ、まだ3次元にいる感じがしなくて誰が主人公かもよくわからなくなる。
そして、その弱々教師にはまたテンプレ通り黒い影が…
再びハナの食欲増進。霊に多く取られハナは神社にも入らずそのまま意識を失ってしまう。
生徒会長(霊)とユリアの知恵を出し合い、それは生き霊ではなく死んだトウノの母の霊。
幼い頃から彼を縛りつけていた彼の黒い暗い母の愛憎。
ミコの「神社の鳥居抜けたら霊が離れた」ことを利用し、なんとかトオノを神社まで呼び出す。
ここでなかなか神社に入らないトオノをユリアが怪しい巫女姿で現れるも彼女のお祓いは黒い母親には効かない。いや、そうね…
鳥居を潜っても彼は外から呼んでいる母親から目を逸せない。語りかける母親。秀潤するトオノに、私たちは生きていくんです!とミコは生へと促す。
その意を汲んで自ら死んだ母親の影から目を逸らし、生きる道を歩き始めはるトオノ。
しかし、私はまだその段階でもあまり盛り上がらないな…と思っていた。
パピコを咥え語り合うミコとユリア。
ユリアは最近霊をはっきり視えなくなってきた事、初めて霊をみたのは死んだ両親だったこと。
そして、ミコも初めてみたのは死んだ父親だったこと。
この最大のネタバレには本当に驚いた。
え?!おとおさん!!
序盤に出てくる玄関で叫ぶミコに驚いてバットを持って出た幼い弟、きっと父親がいないのでただ1人の姉を守ろうとしたのだろう。両親がいるのに食事はミコが不自然なほど完璧に作る。カリカリ仕事をする母。ずっとシャツ姿の父。
誰も父の話を聞かないのは、事なかれ主義の父を舐められてるからかと思ったよ…ごめんね…
ミコだけが父を無視したことを責め続けていた。
ミコもユリアも1番会いたいと願い1番話をしたい人の霊と最初に出会ったのだ。本当に愛しい家族と。
その為に得た霊を視る瞳。
そのことがこんなに悲しくて切なくて嬉しいことはないなと、一気に涙が出た。
神社を通るだけで簡単にお祓いできたのもミコだから。
無事ハナも目覚め、憑き物が落ちたようなトウノと共に笑いながら帰る。
2人はお互いの境遇と気持ちを分かち合い、共に困難を乗り越えた友となる。
トウノもきっと生徒の目を見て話ができるようになる。
プリンをお供えする件からは涙が止まらなかった。
優しく語り謝る父。
ミコはそれには応じず、生きている母に無視したことを謝る。再び同じ後悔をする前に、前に向かうために。
無事に迎え文化祭。
彼女達のクラスはお化け屋敷。
スピってると揶揄われてたユリアも和解してもらい、ハナと3人でお化け屋敷のお試しに。女の子達がみんないい子で泣ける。
そこでも明かされる生徒会長(霊)の正体。これはなんとなく違和感あったんで。
女子クラス?ってなんぞ?とか、アンバランスな制服、圧倒的女子率、口出しするだけで何もしない彼。そして…謎の古いワードチョイス!「ビンゴ!」「エネルギッシュなギャル」など。ギリ平成らしいが。
どこにも行けずそこに留まり続ける地縛霊となった多くの男子校生達。
女子校という園で男子校の彼らは青春を謳歌してくれたら嬉しいなぁと思う。
文化祭の準備期間中という学生達が最も盛り上がるイベントを下地にした一方で霊との戦いという仄暗さという非日常。そして新たな真実と感動が入り、その一方でふざけ笑いあう女生徒達、文化祭に個性全開でワクワクドキドキと光り輝きながら青春を楽しみ走る日常。その2つの出来事が合わさる事で生まれる真の団結。心から笑い叫ぶミコ達。これぞ大団円!といった青春ホラー。
のっぺりとしてあまり面白味のない展開が全て伏線だったと感じていた分、より感動深く涙が止まらなかった。
ミコ、ウィンク下手かよ。
