劇場公開日 2025年6月6日

「見終わって、霊に抱く「いとおしさ」。」見える子ちゃん ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0見終わって、霊に抱く「いとおしさ」。

2025年6月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「見える子ちゃん」という題名からして、ホラー映画をベースにした軽いコメディタッチの作品だと想像できる。大体その通りなのだが、細部まで丁寧に作り込まれた良い映画であり、見方によってはとても心に残る作品になると思う。
大半の霊は、ぼんやりと光り、顔などははっきりしない、いかにもそれらしい姿で登場する。得体のしれない不気味感がとてもよく出ており、コメディ映画でなければ十分に怖い。これらの霊は存在するだけ(地縛霊?)であり、人に悪さはしない。その他にも、恨みを持っていて、人に取りついて悪さをする霊や、生きている人と全く外見は変わらなくて会話も普通にできる特別な霊も登場する。この霊の描き分けがストーリーの面白さに活きている。
突然霊が見える世界に放り込まれてしまった女子高生みこの奮闘が描かれている。あちこちにいる霊を「見えない」ふりをするみこがとても面白くて可愛らしい。怖いと思うから関わり合いにならないようにしようとする気持ちはあるだろうが、霊が見える変な子、気持ち悪い子と思われたくない普通の女子高生の感覚なのだろう。この感覚が、映画をとてもポップなテイストにしている。
みこを中心に、親友のハナと写真部のユリアの三人の関係性がとても面白く描かれている。ハナは元気すぎるので、生命エネルギーが大好物の霊を引き寄せてしまうらしい。ハナを心配したみこが、除霊に奮闘する姿も健気である。ユリアは小さい頃から霊が見える、その界隈の専門家である。一種の霊媒師であるが、除霊の力はない(笑)。みこ達と霊の世界を結ぶ重要な役割である。
文化祭というイベントもあり、元気いっぱいに現生を生きている女子高校生たちと、死んでからも現生と関わりたい霊たちの交わりがとても面白かった(見えているのはみことユリアだけであるが)。見終わって、死者たちに優しい気持ちになれる映画でした。

ガバチョ
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