劇場公開日 2025年2月7日

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「闇に切り込んだ作品」ショウタイムセブン R41さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5闇に切り込んだ作品

2025年6月3日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

この作品はクライムサスペンスというジャンルになるのだろうか?
解説に韓国映画の「テロ、ライブ」をリメイクしたものだと知り、少々がっかり感を持ってしまった。
この作品は確かにクライムサスペンスだが、キャスターだった折本愼之輔が自分自身を取り戻していく物語でもあった。
そして何よりも、テレビそのものに対し「真実」を語れと言う明確かつ力強い主張があった。
確かに今の日本では、そんな主張を含む作品など作れそうにはない。
韓国作品のリメイクだということが砦だったのだろう。
報道しない自由 特に「正しいことは言ってはならない」というのが現在の日本のマスメディアの「常識」とされている。
だがこの作品をリメイクという形式で映画化したのは、ギョーカイに対するひとつの投石だと感じた。
物語性もまた素晴らしかった。
最初は明白だったと思わせる犯人の真意がどこにあるのかわからなくなっていく。
犯人のシゲフジカンジも、折本の真実を知らなかった。
女性キャスターが最後に「たかがテレビじゃない」と叫ぶが、これが今のギョーカイの常識だった。
数字が取れればいい そのためにはグレーゾーンの際まで行って構わない。
本当に腐りきっている。
この作品の内容ではなく現実としての意見だ。
さて、
イトウサクラ
折本が彼女へ電話したが切られてしまう。
この二人の関係を考えてしまうが、この作品では描かれない。
彼女は本当の折本という人物を知っていると思われる。
恋人関係だったのかもしれない。
そして折本眞之輔
ラジオパーソナリティからショウタイムセブンへの復帰
そしてこの事件を担当していく過程で、本当のしたかったことを再確認したのだろう。
「私たちは、公正かつ公平な姿勢で真実に迫ります」
このキャッチフレーズの意味を再確認した。
その真実とは、自分がなぜ降板したのかという秘密を公言することだった。
ザ・世論調査
最後に彼は自部自身が生きてもいいのか死ぬべきかを視聴者に問いかけた。
その答えが描かれないのは、視聴者こそがどっりかのボタンを追えばいいだけだからだろう。
イエスの言葉を思い出す。
「まず罪のないものからこの女に石を投げるがよい」
さて、
何故シゲフジは捜査官に体当たりして起爆装置を折本に渡したのだろう?
ここにこの作品の最も深い伝えたいことが隠されている。
テロップで流れるロンドン同時多発テロ
シゲフジと同じ思いを持った人々は世界中に存在することがよくわかる。
テロはもはや日常的に起きているのだ。
シゲフジのやったことはテロだ。
しかし彼は真実を話した折本と、そうなった過程を隠し取りしていた動画を「告発」した。
シゲフジは彼の「公正公平」に触れ、それを理解し、メディアなどが「真実を伝える」という真の目的と、暴力による破壊ではなく「告発」によって社会を変えようとする意志の表れなのかもしれない。
起爆装置を持った折本は、真実を告発するという「起爆装置」の力を手にしたという象徴だ。
社会を変えるためにはテロではなく、不正や悪いことをしている奴らを告発することでやっていこうという提案だ。
この提案者こそ、故森永卓郎さんであり、深田萌絵さんであり三橋貴明さんなどだ。
さて、、
かなり脱線しそうになってしまったが、揺れに揺れている韓国社会がこの作品を作り出した。
その真理を感じた日本の渡辺一貴監督
この作品を単なるサスペンスではなく、メディア・政府・企業の癒着と、それに翻弄される個人の苦悩を描いたものにした。
表面上に描かれる事件
それをテレビ中継という手段で配信しながら、犯人の真の狙いを知るキャスター折本
しかし犯人の真意は自分折本に謝罪させることだったことを理解した時、それを突き付けられたとき、果たして真実を語れるのか?
念願だったショウタイムセブン復帰は、真実の暴露と同時に終了する。
それでも真実を伝えることができるのかどうか?
これはすべてのメディアに対して突き付けられた問いだ。
同時に視聴者すべては「ザ・世論調査」のボタンを握っている。
これもまた一つの「起爆装置」だろう。
我々視聴者は、いったい何が真実なのかを見抜かなければならない。
メディアの嘘に騙されてはならない。
奇しくも今日は韓国ユン大統領の弾劾裁判による大統領選挙が行われている。
彼は韓国のトランプだった。
しかし力及ばず。
彼の遺志を継ぐ金文洙は果たして選出されるのだろうか?
どの国にも何故か闇がある。
そこを掘ればたちまち陰謀論者扱いされる。
正しいことを正しいと言っている提案者たちが攻撃される世の中。
その何が正しいのかを自分自身で考えることが、いま求められているのだろう。

R41
Yumさんのコメント
2025年6月3日

こんばんは✩︎⡱メディア、権力、そして世論という要素が入ってるところが面白いと感じた作品でした。韓国大統領選ドキドキです

Yum