「支離滅裂のドタバタ劇」ショウタイムセブン K2さんの映画レビュー(感想・評価)
支離滅裂のドタバタ劇
...とでも表現すればよい?
なんとも言えない迷作を見せられた、という印象です。 全編、テンポが良くて、最後まで飽きずに見られたのは確かですが
描かれたのは社会派っぽい題材ですが、映画全体としては社会派のメッセージは薄め。なんとなくステレオタイプの悪者、隠蔽、汚職、社会不満、色々な主義主張の人物達などが登場して描かれるそれっぽいシーンが繋ぎ合わされているが、人物像にも出来事にも一貫性や必然性がなく噛み合わない。俳優たちの熱演が空回りして、結局どの人物にも感情移入できず、ぽかーんです
物語や人物に一旦は引き込まれないと、どんでん返しって成立しなくないですか?
描きたかったのは、TV業界ドタバタ狂騒曲か、皮肉たっぷりのブラックユーモアか?
できれば後者であってほしいけど、実際の制作意図はそうでもないんでしょうね
ちなみに、同時期に公開されたSeptember 5も、「テロの生中継」という共通の題材、タイトルも似た印象なので比較されがちだと思いますが、全くの別物です。こちらは実話ベースだけあって、本来は第三者であるメディアがテロ事件に巻き込まれ、次第に当事者に変わっていく過程が一人称視点でしっかり描かれています。ジャーナリストの真っ当なエゴと社会的責任の衝突、バランスを問う観応え十分の力作です。まだ観られていない方は、比較の意味でも是非オススメします
阿部寛さんは看板ですし、吉田鋼太郎さんは"いかにも"的な業界人役として必要だったんでしょうが、個人的には、平田満さんや安藤玉恵さんのような名優には出て欲しくなかったな〜というのが正直な印象です。無駄使い感がハンパないというか...。(安藤さんの出演作にハズレなし、が持論なので。)
竜星涼さんや生見愛瑠さんも好感度の低い役柄をしっかり演じられたと思いますが、脈絡がなく大げさな演技を求められたのかな?という感じです。(大きなお世話ですが)キャリアにプラスなのか心配でした