「LIVE or DIE」ショウタイムセブン ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
LIVE or DIE
テレビ局そのものが話題になっている時代に投下された生中継でのハラハラものでしたが、どうにも時代錯誤というか生中継だからこそのリスキーさが色々と悪い方向にいってしまったなという感じの作品でした。
序盤から中盤までの雰囲気はそこまで悪くなかったです。
どこか後ろめたさがあるんだろうなという登場人物の中で一番怪しい主人公の折本がテロリストからの犯行予告でチャンスが到来したぞ…!と活き活きしているところがとても良いですし、テロリストとのやり取りからスムーズにテレビでの生中継の約束を取り持たせるスピード感は勢いがあって良かったです。
ただいざスタジオに乗り込んでからが盛り上がらず、というか盛り下がっていく一方でした。
犯人との生電話というところが良いと思ったのですが、割と電話をすっぱねてスタジオ内でのいざこざが進んでいくし、電力会社や総理の謝罪を求めたり、果てには折本の過去についても謝罪を求めたりと全体的にとっ散らかってるのに真っ直ぐ進んでいくのが引っかかりっぱなしでした。
生放送というものの良さも後半はかき消しており、視聴者参加のボタンでの投票もどうにも取ってつけた感が否めませんでしたし、新旧番組の顔が別軸の話題で衝突しまくるところとか何を見せられてるんだろう?となってしまったりと生放送が活かされていなかった気がします。
途中での関係者の登場というのも序盤に明らかに伏線であろう人物を登場させているから、「あーこの人絶対キーマンなんだろうな」と察せてしまったからか緊張感のあるシーンのはずなのに全然緊張感が無かったのも残念でした。
全体的なキャスターやスタッフのポジションは面白いものがあり、一発逆転を狙う元人気キャスター、レポーターからキャスターに成り上がった新しい番組の顔、お飾りに近い報道への熱がない女子アナ、現場に特攻していくリポーター、明らかに銭ゲバであろうプロデューサーと個性豊かな面々が作っている番組だからこそ歪みが感じられるのは良かったです。
世間の声がそこまで反映されていないから現実世界ではどんな反応が起こっているのかというのがあまり出てこずなのでそこもモヤっとさせられるところでした。
リメイク元を観ていないのでどうこうまでは細かく言えないのですが、発電所を大爆発させるような爆弾をどうやって設置できんねんとか、イヤホンやカメラとかにどのタイミングで爆弾つけれてんとか細かいところガン無視で進められていくのも困ったところです。
ラストシーンはどうにもぶん投げた感が否めない終わり方なのも残念でした。
LIVE or DIEの結末を見せて欲しかったのに全然違うところに持っていったし、なんなら放り投げて主題歌とはいえここまで全く関連性の無かったPerfumeに繋げてからのエンドロール突入なのもモヤモヤを加速させたまま終わらせていました。
演技面は大方問題ないと思うのですが、犯人2人がどうにも演技面で怪しすぎるのが悲哀に満ちたテロリストの説得力に繋がってなかったと思います。
錦戸くんってこんな感じの演技だったんだとなりましたし、公式も犯人と明かすの早すぎない?となってしまい色々と作品内外で気になることが多かったです。
阿部さんは流石の存在感といったところで、表も裏も読めない雰囲気なのは最高でした。
今でも生活にテレビがないと落ち着かない人間なので、テレビの衰退というのは分かっているけれど、どうにかして繋がっていってほしい、面白い番組だってたくさんある、だからこそ過激全振りが良いわけじゃないというのを今作を反面教師にして教えてもらったというのもかなり複雑でした。
リメイク元との比較もしてみたい作品でした。
鑑賞日 2/7
鑑賞時間 18:45〜20:35
座席 I-7