「もう少し演技できる人たちだよ」遺書、公開。 Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
もう少し演技できる人たちだよ
いや、自ら死を選ばないでしょ、これ。
「みんなに序列一位って言われて辛い」って、これだけクラスのみんなとコミュニケーション取れてるなら「序列なんてバカみたいなことやめよ」って、なんとかうまいことやるでしょ。
なんなら新序列を作って自分を一位から外しても良いしね。
という最後に大ガックリのネタバラシになってるので、作品として、どうもね。
別にネタなんてどうでも、そこまでのドラマが見応えありになってれば、気にならないんだよね。でも、そこまでも……。
「なんとなくの空気で決まった序列に現代の高校生は縛られている」っていうテーマがあって、「序列一位が突然いなくなったら面白いかな」って作り始めて、懸命に色んな事情を作ったんだよね。なので無理があんの。
みんなにどんな事情があったかを、一人ずつ「遺書、公開。」でやってくんだけど、みんながみんな、突然、気がふれるんだよね。「うわあああああ!」って感じで。なんだ、このクラス。
遺書を公開するなかで、知られたくなかった事情が明らかになって、それでみんな我を失う設定なんだけど、そこまで我を失うような事情じゃないでしょ。
叫び出さなくても、もっと内面の苦しさを表現できるはずなんだよ。髙石あかりはうまいんだから、やれんだろ。宮世琉弥も、もうちょっとできる。誰だよ、この演出つけた監督はと思ったら英勉監督なんだね……となると、演出のせいではない。
これ作品の中で、人物の描き込みがほぼないんだよね。
だから遺書公開の場面で、登場人物がどんな行動に出るのかヒントが全くないの。作中では、みんな木偶の坊みたいに動かされてるから。
だから「うわああああ!」ってやるしかないね。でも、もうちょっと、なんとかしてよ。
廿日市さん良かったね。
「高校時代は、こんな感じの人と付き合ってみたい」と思ったもん。
「いい、いい。」と思ってエンドロールで志田彩良って分かった。
《恋を知らない僕たちは》の図書委員長だね。そりゃ良いわ。
志田さん、出てきたね。
遺書の最後が「見守ってます」で終わるのが多くて、誰かが教室をのぞいてる演出もあるから、最後に何かあるのかなと思ったら、水槽の中の争いを廿日市さんは観ているっていう、なんだそりゃ演出だった。
廿日市さんは、池永くんが好きなんだろうなと思って観てたら、やっぱりそうだったね。
でも動機がそれだけじゃ弱い。
それに、そもそも、人間はその程度で死は選ばないよなあとやっぱり思って終わりです。