「期待以上のサスペンス」遺書、公開。 とうきさんの映画レビュー(感想・評価)
期待以上のサスペンス
驚くほど良かった。
まず、脚本が非常によかった。
かなり早い段階で「遺書、公開」の本題に入り、その後の内容はまさに「遺書、公開」です。公開される度に新しい事実が明らかになり、推理に新たな材料やヒントが加わり、途中で何度もミスリードが仕込まれていたが、最終的には、もったいぶらずにしっかりと真実にたどり着きます。終盤に差し掛かると、最近観た「六人の嘘つきな大学生」のようにサスペンスから急にヒューマンドラマに変わるのではないかと少し心配しましたが、最後の最後までしっかりサスペンスが続き、大満足でした。
こういったタイプのサスペンスは、新しい事実が次々と発覚し、それに伴って新たな謎が生まれるため、結局謎が謎を呼ぶだけで、掘った穴がすべて埋められないまま終わってしまう作品が結構あります。しかしこの作品は、「姫山さんは本当に自殺だったのか」「誰が序列を作り、その目的は何だったのか」「遺書は本当に本人が書いたのか」といった本筋のミステリーを中心に、途中で新たに出てきた遺書の盗みや体にある謎の痣など、本筋から外れる問題をダラダラと引き延ばすことなく早めに解決し、終盤に差し掛かる頃には「どうして学校という場所が選ばれたのか」、また委員長や先生が隠していたことなど、大きな謎から小さな違和感まで、伏線がしっかりと回収されました。ここまでしっかりと全て回収するサスペンスはなかなかないので、感心しました。
また、撮影方法と演出もよかった。
一つのシーンにおいて、当事者の見え方により、異なる角度からの真実が描かれ、人間の考え方の複雑さや誤解が生じる理由が上手に表現されていました。難解な深層心理を見せ方がとても上手で、最終的に姫山さんが自殺を選んだ理由にも納得できました。
さらに、役者たちの演技に驚いた。
(先生以外)全員が若手の俳優なので、正直あまり期待していませんでしたが、予想以上にみなさん素晴らしかったです。感情の表現や二面性の切り替えが自然で、大げさな部分の演技も、しっかりとコントロールされていて、全体的に違和感が全くありませんでした。
あえて完璧ではない点を挙げると、あんな出所も意味も分からない序列を見ただけで、クラスにカーストができてしまうのは少し疑問に感じます。特に姫山さんは偽りの1位なので、説得力に欠けるのではないかと思いました。ただ、そこまでの経緯を詳しく描くと、恐らく映画が非常に長くなってしまうので、カーストが成立したという大前提として考えれば問題ないと思います。あとは、さすがにクラスの全員、ストレスが溜まりすぎじゃないかとも思うが、そのあたりはエンタメとして大目に見ましょう(笑)。