劇場公開日 2025年1月31日

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「口は災いのもとなのです」遺書、公開。 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5口は災いのもとなのです

2025年2月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

怖い

難しい

インパクトのあるタイトルと予告が印象的だった本作。興味を惹かれて公開2日目に鑑賞してきました。自殺の真相をめぐる展開に最後まで興味深く鑑賞することができ、なかなかおもしろかったです。

ストーリーは、新年度を迎えた灰嶺学園の2年D組に、何者かによって生徒と担任を合わせた25人の順位を示した「序列」が全員のスマホに配信され、そてから半年が経ったある日、誰からも一目置かれる序列1位の姫山椿が校内で自殺し、さらに数日後、クラス全員に姫山からの遺書が届いたことをきっかけに、それぞれがもつ裏の顔が暴かれていくというもの。

会話中心の心理スリラーで、映像的な魅力はさほどありませんが、次々と明かされる遺書によって互いに追い込みあっていくシチュエーションにそそられます。その中で、自殺の原因、遺書の意味、それを仕掛けた人物とその意図をめぐって、二転三転する展開が最後まで飽きさせません。

また、若手俳優陣の渾身の演技が、遺書公開で生まれる異様な雰囲気をさらにエスカレートさせ、観客も教室に同席しているかのような緊張感を強いられます。場面によってはオーバーアクション気味に見えますが、平静を装う表の顔とドス黒い裏の顔との落差、さらには本性が露見した途端に開き直る醜さを感じさせ、それを狙っての演出だったのではないかと思います。

それにしても、真相がわかったからといって、このクラスで残り半年、卒業までさらに一年、もしこの中に自分がいたら、もうこのクラスの誰とも仲よくできる気がしません。表層に隠された人間の本音を暴くという意味ではおもしろいですが、誰だって本音と建前はあると思いますし、周囲から全て本音でぶつけられたら怖くて家から出られません。心を開いて本音で語ることが美徳のように思われがちですが、世の中には口にしないほうがいいこともたくさんあると思います。よかれと思ってかけた言葉でさえ、相手を不快にさせることもあるくらいです。何気ない一言で誰かを傷つけてしまわないように、日頃から気をつけたいものです。

主演は吉野北人さんで、冷静に全体を俯瞰するような池永を好演しています。脇を固めるのは、宮世琉弥さん、志田彩良さん、松井奏さん、髙石あかりさん、堀未央奈さん、星乃夢奈さん、菊地姫奈さん、兼光ほのかさん、青島心さん、楽駆さん、忍成修吾さんら。注目の若手俳優陣を集めていますが、中でも髙石あかりさんの演技は突出しており、そのヤバさは必見です。

おじゃる
かばこさんのコメント
2025年2月5日

>このクラスで残り半年、卒業までさらに一年、もしこの中に自分がいたら、もうこのクラスの誰とも仲よくできる気がしません。

私もです。
でも、今の高校生なら疑心暗鬼を抱えながら表面を取り繕って「仲良し」を演じきるかもしれないと思いました。今の子、そういう技術は突出して持っている気がします。
そういう技術を持たないピュアな子は、学校にいけなくなってしまうのかも。

かばこ