ジョン・ウィリアムズ 伝説の映画音楽のレビュー・感想・評価
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Music by John Williams
『ポセイドン・アドベンチャー』『タワーリング・インフェルノ』『JAWS/ジョーズ』『スター・ウォーズ』『未知との遭遇』『スーパーマン』『レイダース/失われた聖櫃(アーク)』『E.T.』『ホーム・アローン』『JFK』『ジュラシック・パーク』『シンドラーのリスト』『プライベート・ライアン』『ハリー・ポッターと賢者の石』etc…。
これら名作/大ヒット作に共通するものは…?
映画ファンなら誰だって答えられる。
Music by John Williams
担当した作品は有名なものばかり。手掛けた曲も誰もが聞いた事のあるものばかり。
アカデミー作曲賞は5回、ノミネートは現役映画人最多54回。
永遠に語り継がれる功績もさることながら、映画で彼の名を目にするだけで絶対の安心感がある。ひと度その音楽を聞けばワクワクする。感動する。
歴史上の偉大な音楽家たちに匹敵と言っても過言ではない。ジョン・ウィリアムズほどの映画音楽家は居ないってくらいのレジェンド。
そんな彼の足跡を振り返るファン必見のドキュメンタリー。
生い立ち。映画界入り。
盟友スピルバーグとの出会い~友情。ルーカスへの紹介。
代表作品の裏話。
自身のインタビュー。彼をリスペクトする作曲家や映画人のコメント。家族のコメント。
当時のレコーディング風景。スピルバーグによる貴重なプライベート映像。
何故我々はこうもジョン・ウィリアムズの音楽に魅せられるのか…?
ジェダイ騎士ならライトセーバーを持って。インディなら鞭を持って。ハリーなら魔法の杖を持って。
ジョン・ウィリアムズは指揮棒を持って。音楽の世界へ連れて行ってくれる…。
多くの映画好きの皆さん同様、昔からウィリアムズの大ファン。よって、多少は生い立ちや経歴は知っている。
1932年米NY生まれ。現92歳!
音楽一家。父も母も姉も弟も音楽に携わり。
私が知っているウィリアムズはすでに初老や老境なので、両親とのショットは新鮮。
その影響を受けて、音楽への情熱と才能が開花。
若い頃はジャズを嗜み、早くもオリジナルジャズを作曲。この時の経験が『スター・ウォーズ』の酒場バンドに活かされたのは有名な話。
次第に映画やTVから声が掛かるようになる。
映画ではバーナード・ハーマン、ヘンリー・マンシーニ、ジェリー・ゴールドスミスの指揮の下、奏者として。
TVでは作曲家として。でもほとんどがコメディで、嫌気が差したとも。後に映画で久々のコメディ『ホーム・アローン』を手掛けるが、この時はクリスマスの音楽に惹かれて。
作曲家として多忙を極める一方、実生活では悲しい別れが…。
最初の妻との死別。まだ40代という若さ。この時子供も3人おり、家族を優先する為、暫く作曲から距離を置いたという…。
ジョン・ウィリアムズと言えば輝かしいキャリアばかりにスポットライト当たるので、プライベート面はあまり。これは初めて聞くエピソードだった。
70年代に入り、『屋根の上のバイオリン弾き』で初のアカデミー賞受賞(編曲賞)。マーク・ライデルやロバート・アルトマンの初期の作品、一連のパニック大作で映画音楽でも徐々に地位を確立。
そして運命的な出会いと作品が。
1974年、28歳の新人監督からデビュー作品の音楽のオファー。
その監督は兼ねてから映画音楽が大好きで、特に魅了されたのはジョン・ウィリアムズ。自分のデビュー作で是非担当して貰おうと。
作品を気に入り、担当を承諾。これが記念すべき初タッグ。以後半世紀、タッグは29作。
言うまでもなく、スティーヴン・スピルバーグ。
本作の開幕、『フェイブルマンズ』以来なのか、久し振りの対面に喜び合う二人の姿が映し出される。
もうこのシーンだけでも分かる。二人のやり取りだけでも分かる。
ただの監督と作曲家の関係に留まらない。親友、パートナー、ソウルメイト。ちなみに本作のプロデュースもスピルバーグ。
ジョン・ウィリアムズの名をさらに上げたのはスピルバーグであり、ウィリアムズの音楽無くしてスピルバーグの作品は語れない。
スピルバーグ×ウィリアムズの口から語られる代表作のエピソードは聞きもの。
共に大ブレイク作となった『JAWS/ジョーズ』。最初スピルバーグはあのテーマ曲を聞いた時、唖然としたという。
29回のタッグの中で最も労作だったという『未知との遭遇』。
勇ましいマーチ曲と美しい“マリオンのテーマ”が素晴らしいと語る『レイダース/失われた聖櫃(アーク)』。
特別なものになると感じた『E.T.』。
最も印象的だったのは『シンドラーのリスト』。同年の『ジュラシック・パーク』とは打って変わって、重くシリアスな作品。ウィリアムズは作品を見て素晴らしいと絶賛した一方、音楽を付けるのが難しいと躊躇。「私より腕のいい作曲家がやるべき」と珍しく辞退するも、「皆死んだ」とユーモアで切り返す。
そしてあの哀切漂う名曲が誕生。初めて曲を聞いた時、スピルバーグは涙を流し、ウィリアムズも涙を流しながら演奏したという…。
どういう音楽イメージか、何処に音楽を付けるか。リラックスしながら、真剣に打ち合わせしながらのディスカッション。
スピルバーグとウィリアムズのタッグを目で見て耳で聞く事が出来るのは、映画ファンとして二人が活躍し続けるこの時代に生を受けた至上の喜びと幸せである。
1977年、もう一人の新人監督が自身の代表作となる作品を発表しようとしていた。
が、音楽に悩んでいた。当時流行っていたシンセサイザーを考えるが、スピルバーグがウィリアムズを紹介。
そして誕生したのが、映画史上に残るあの伝説と不滅の名曲。
ジョージ・ルーカス監督『スター・ウォーズ』。
何と言ってもオーケストラによる壮大なOPテーマ曲。ここだけで我々は未知の宇宙の冒険に誘われる。
メイン曲、帝国軍のマーチ、ルークのテーマ、レイアのテーマ、ヨーダのテーマ…各キャラにモチーフとなるテーマ曲を配し、ワクワク胸躍る曲、ドラマチックな曲、美しい曲、ジャズ音楽も取り入れ、さながらウィリアムズの集大成。
その反響は凄まじく、各地で演奏会が開かれたり、招かれたり、『スター・ウォーズ』前後で自分のキャリアは決定的に変わったと。
でも何よりの功績は、この『スター・ウォーズ』の音楽で往年のようなオーケストラ音楽が復活。
『スター・ウォーズ』の音楽は、ウィリアムズが往年のオーケストラ音楽へ捧げた曲と言っていい。
オーケストラ音楽を愛するウィリアムズ。
映画音楽で有名多忙な80年代、ボストン・ポップスの指揮に抜擢。小澤征爾とのエピソードも。
が、映画音楽を見下していた奏者たちと不和。一度退任するも、和解し復帰。
映画音楽とクラシック音楽の垣根を越えたのもウィリアムズ。
だってウィリアムズの音楽って、THE映画音楽であり、クラシックでもある。
でなければ昔も今も演奏会など開かれない。オリンピックのファンファーレの依頼なども来ない。来日した時まだ皇太子と妃殿下だった令和天皇皇后両陛下への結婚の祝典曲など捧げられない。
二度と現れないであろう傑出した偉大な作曲家だから。音楽を心から愛しているから。我々も彼の音楽を心から愛しているから。
ずっとずっとずっと、魅了され続ける。
昨年、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』で映画音楽から引退したウィリアムズ。
が、スピルバーグとの対談で撤回の言葉も…!?
ご高齢なので体調を第一にして欲しい一方、再び映画で目にし、聞く事を期待してしまう。
Music by John Williams
エンニオ・モリコーネに続いてジョン・ウィリアムズ。
日本の映画音楽家のドキュメンタリーも作って欲しい。
是非とも、伊福部昭氏で!
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