「「マクベス」→「蜘蛛巣城」→「ダースベイダー」」蜘蛛巣城 星のナターシャnovaさんの映画レビュー(感想・評価)
「マクベス」→「蜘蛛巣城」→「ダースベイダー」
黒澤明監督がシェークスピアの「マクベス」を
ほぼそのまま、日本の戦国の下剋上の連続で
血みどろの時代に置き換えて作られた映画。
クライマックス、主人公が多数の矢の攻撃で
壮絶に死んでゆくシーンで、
撮影用では無く、本物の矢が飛んで来ていた!
と言う話が有名ですね。
欲望に負けてしまう人間の愚かしさと
自身が望んで犯した罪なのにその重さに
自身が負けてしまう弱さを描いた映画です。
重厚なお話ですが、最後まで息の抜けない緊張感と
早い展開に案外とお話はサクサク進んでゆきます。
4Kデジタルリマスターで画像はかなり綺麗な
モノクロ映画となってます。
セリフも戦国の伝令などは、怒鳴るような話し方なので
聞きとりにくい所も若干ありますが
それ以外はかなりはっきりと聞き取れます。
原作本を読むより分かりやすいかも〜
シェークスピア入門におすすめです。
また、主演の三船敏郎はもちろんですが
主人公をそそのかす妻を演じた山田五十鈴の
まるで能面のままの瞬きを一切しない怪演も
見事です!要注目!!
で、月に8本ほど映画館で映画を観る
中途半端な映画好きとしては
黒澤明の映画を観るたびに
引き合いに出して申し訳ないけど
ジョージ・ルーカスが作り上げた
最初の『スター・ウォーズ』の三部作が
いかに黒澤映画の影響を受けているか
どうしても発見してしまうのです。
今回も『スター・ウォーズ』の中の
「暗黒面に落ちる」と言う表現。
「蜘蛛巣城」の中で「欲望に負けての闇落ち」が
どこかヒントになってる感じがします。
ジョージ・ルーカスともなれば
シェークスピアも
読んでたとは思いますが....
兜を恭しく一段高いところに飾ってある光景は
『スター・ウォーズ』のダースベーダーのマスクで
再現されてる気がするし
ストームトルーパー達が時におバカなのも
黒澤映画の雑兵達が時に同じようにおバカだったりして
どこかその感じが引き継がれてる感がありました。
優れた監督の映画が優れた監督によって
繰り返し引き継がれて行く。
とても分かりやすい良い例だと思います。
ぜひ映画館でお楽しみ下さい、。