「余韻が⋯」スタントマン 武替道 shin-zyさんの映画レビュー(感想・評価)
余韻が⋯
題名からすると何やらバリバリのアクションを期待しそうになりますが、実際はそうではなく、意外とじっくり人間ドラマを見せてくれます。
その道に通じたベテランと彼についていけない若者や他の人達との対立という構図はまあよく見かけますが、この作品の主人公はいささか自分勝手で完全に自己中で頑固です。若者でなくてもついていけないのではないかな。
もちろん、良い作品を作りたいという情熱と思いは良く分かるのですが、それが暴走気味になり周りに迷惑をかけたり、疎まれたりします。そりゃそうなるよな、と。そんなやり方じゃ誰もついていけないよ、て思いますが、洋の東西を問わず道を極めた職人さんというのはおしなべてこうなるんでしょうか?しかし、映画製作てたくさんの人々との共同作業なのですから、我を通すには無理があるのではないかな、と思ってしまいました。命をかけないと良いものが作れないなんて⋯命をかけなくても良いものを作るほうが大変で凄いことなんじやないの?と思ってしまいます。
と、主人公の行動言動に色々反感を覚えたり文句を言いたくなりますが、ある意味ここまで情熱を注げて、人生をかけれるものがあるというのは、それはそれで羨ましく、素晴らしいことなのかな、とも思いました。
また、そんなベテラン側の視点だけで物語が展開されて「昔はよかった」と言うような懐古趣味になるのではなく、被害者、犠牲になった人たちからの視点でもしっかりとその思いや考えが描かれているので、この点は偏りがなくてよかったと思います。やはり両方の立場に立って物事を見据えて思いを巡らせることは大事ですもんね。
そういう過程を経ていちおうの大団円を迎えるのは良かったのですが、ラストは主人公が飛んでスローモーションになって後ろで爆発の火花(花火)が散るところで終わったほうが余韻が残って良かったんじやないかな?というのが正直な感想です。