アンデッド 愛しき者の不在のレビュー・感想・評価
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【”愛しい人の黄泉がえり・・。”今作は、愛する人を失った数組の男女の行動を通して、”死者に拘り、過去に執着しすぎると、悲劇が起きる。”という事を超自然的描写を交えて、シニカルに描いた作品である。】
■今作では、
1.姉妹の様なパートナーを失った老婦人
2.妻が交通事故で死んでしまった夫とその娘と息子
3.幼い子供を失った母と、祖父
が、家族を喪失した哀しみと、超自然的な現象で戻って来た希望を交錯させながら、物語は進む。
◆感想<Caituion!内容に触れています。>
・老婦人の元に、葬儀を終えた後にパートナーが戻って来るが、彼女の皮膚の色は生者のモノではない。だが、老婦人はパートナーの身体を丁寧に拭き、パンにマーガリンを付けて食べさせる。すると、それまで無表情だったパートナーは、イキナリガツガツとパンを食べるのである。怖い。そして、予想通りの事が起こるのである。
・妻が交通事故で死んだが、何故か蘇る。だが、妻は一言も喋らない。交通事故に遭う前は口うるさいほどに、家族に色々と注意していたのに・・。
そして、夫とその娘と息子が息子の誕生日プレゼントだと言って持って来たウサギを物凄い力で、絞殺するのである。滴り落ちる血痕。怖いシーンである。
・幼い子供を失った母と、祖父。墓地で不思議な音を聞いた祖父は、独り墓地で棺を掘り出す。そこには、青い色の皮膚をした子供がいる。家に連れて帰るが、子供は目を見開いたまま、仰臥している。
二人は、子供を森の別荘に運ぶが、そこにアンデッドが現れ、老人と取っ組み合いにして殺す。母は、それを見て禁忌を犯してしまったと思い、子供をボートに乗せ湖に再び葬るのである。
<今作は、ジャンルで言えば北欧ホラーになるのであろう。そこでは”忘れる事と、手放すことは違う。”という暗喩がシニカルに描かれているのである。
今作は、”死者に拘り、過去に執着しすぎると、悲劇が起きる”というモチーフを描いた作品ではないかなと思った作品である。>
あまり怖くない北欧ホラー映画。ホラー映画でも変わった作品が好きな方はぜひ。
今年16本目(合計1,558本目/今月(2025年1月度)16本目)。
他の方も書かれていますが、北欧のホラー映画というのは日本や韓国ほかと違い、お化け等が直接描かれることは少なく(まったくないわけではない)、日常生活が映し出されながら、少しずつ精神を病んでしまってみんながおかしくなってしまう、というような描かれ方をするシーンが多いです。本作品も墓場を掘り返すなどのシーンは一応ありますが、少しずつ精神的に変になっていくそれぞれを描いた作品になります。
その意味で純粋なホラー映画とは違うし、その意味で行くと肩透かしを食うのではというところですが、北欧のホラー映画というのは程度の差はあってもこのようなスタイルが多いし、そのことまで了知してみるなら、むしろいわゆるこの手の映画でありがちなグロい描写もないし、北欧のホラー映画はある意味見られる機会がレアなので(2024年でも2~3作品だったか)おすすめといったところです。
なお、映画の中で歌うシーンはそこだけフランス語の歌詞になっているようですが(聞き取ると確認できる。字幕とも一致する)、特にフランス映画の資本が入っているわけではないようです(フランス映画でよくある、例の謎の旋律で登場するCANALも登場しない)。
ちょっと変わったホラー映画というところはありますが、日本にせよ韓国にせよ「ありがちな」それら以外のホラー映画を見たいならおすすめといったところでしょうか。
採点上特に気になる点までないのでフルスコアにしています。
レナーテ・レインズヴェ
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