アンデッド 愛しき者の不在のレビュー・感想・評価
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見たい絵が続く映画
いわゆるゾンビ映画のような、襲われるので戦う!といったものではない静かな映画です。
ストーリーとしては単純。有名な「猿の手」みたいな感じ
大切な人の死を受け入れられなかった家族のもとに死者が戻ってきたら?そんな3家族が描かれる
最初はただいるだけで嬉しくてたまらない。けれど、蘇った死者は元の「人」ではないおぞましいゾンビなのだ。それに遅まきながら気づかされる家族たち。
ドラマチックな展開は特にない静かな映画だけれど、言語化できないような生理的な気持ち悪さを醸し出すシーンの多さ。音楽も不気味でよかった
火葬は正義。
モブも含めて20人も登場人物がいない小規模な映画。
派手なシーンはほとんどなく、大きな音のするシーンも数えるほどじゃないか。
多くの時間帯で画面は静謐で端正。
車の種類からしたら舞台は現代だけどスマホは出てこない。舞台が日本だったら不自然すぎてノイズになりすぎたのでは。そう言うファンタジックな世界なのかも知れない。
死んだはずの人が蘇る。
目に見えて凶暴なわけではないので病院で徹底的に調べられてるのはちょっと面白い。その診断結果が「何でかわからない」なのはちょっとズルい。
失われた物を取り戻したいと願う気持ち。
それが部分的にしか戻ってこなかった時の気持ち。
0か100かではない。閾値の問題。
肉体は無傷でも意識が失われているのは明らかに嫌だ。意識明朗で五体不満足はそれよりも遥かに良い。
主演の女性が「わたしは最悪」の彼女だったとはパンフ読むまでわからなかった。
気になったシーン。
4人家族の娘が裸バイクの彼氏と出かけた先。
やたら柱の多い水場で鳩に餌をやっているところ。
あれは何の場所なんだろう?橋の下?印象に残る画。
彼は自分の母親が死んでいること、彼女の母親が異常な状態にあること、それをジョークにする程度には人非人的でありながら鳩にはわざわざ餌をやるんだ、と言う歪みがあるんだな。
ヒュッテにやってきたリビングデッドに祖父が殺されるシーンは唐突に感じた。結局ゾンビなんかい!人を襲うんかい!とも思った。
静かな静かな怪異譚
説明的なものを省いた、ひたすら静かな怪異譚。
残された人にとってみれば、大切な人が蘇ってくることは単純に嬉しい。
けれど、
蘇った人の状態は様々で、事故に遭い生々しい傷が残る姿。
埋葬されているうちに腐敗が進み、蠅がたかる変わり果てた姿を見せつけられる…
意志疎通のできない、ただただ存在するだけの故人に対する人間の反応を描いたゾンビ映画。
故人と再会できた喜びが、次第に愛も情も伝わらないもどかしさに変わっていく…
故人に執着し続けた者や、改めて死を受け入れた者たちを描いている。
土葬ならではの表現もあり、改めて日本は火葬文化になって良かったとしみじみ
説明不足が助長で退屈と判断する人と、〈死〉について哲学的な問いを見つけ出す人に分かれそうな作品。
喪失感だけが突き刺さる一本でした。
もし自分なら…?
【”愛しい人の黄泉がえり・・。”今作は、愛する人を失った数組の男女の行動を通して、”死者に拘り、過去に執着しすぎると、悲劇が起きる。”という事を超自然的描写を交えて、シニカルに描いた作品である。】
■今作では、
1.姉妹の様なパートナーを失った老婦人
2.妻が交通事故で死んでしまった夫とその娘と息子
3.幼い子供を失った母と、祖父
が、家族を喪失した哀しみと、超自然的な現象で戻って来た希望を交錯させながら、物語は進む。
◆感想<Caituion!内容に触れています。>
・老婦人の元に、葬儀を終えた後にパートナーが戻って来るが、彼女の皮膚の色は生者のモノではない。だが、老婦人はパートナーの身体を丁寧に拭き、パンにマーガリンを付けて食べさせる。すると、それまで無表情だったパートナーは、イキナリガツガツとパンを食べるのである。怖い。そして、予想通りの事が起こるのである。
・妻が交通事故で死んだが、何故か蘇る。だが、妻は一言も喋らない。交通事故に遭う前は口うるさいほどに、家族に色々と注意していたのに・・。
そして、夫とその娘と息子が息子の誕生日プレゼントだと言って持って来たウサギを物凄い力で、絞殺するのである。滴り落ちる血痕。怖いシーンである。
・幼い子供を失った母と、祖父。墓地で不思議な音を聞いた祖父は、独り墓地で棺を掘り出す。そこには、青い色の皮膚をした子供がいる。家に連れて帰るが、子供は目を見開いたまま、仰臥している。
二人は、子供を森の別荘に運ぶが、そこにアンデッドが現れ、老人と取っ組み合いにして殺す。母は、それを見て禁忌を犯してしまったと思い、子供をボートに乗せ湖に再び葬るのである。
<今作は、ジャンルで言えば北欧ホラーになるのであろう。そこでは”忘れる事と、手放すことは違う。”という暗喩がシニカルに描かれているのである。
今作は、”死者に拘り、過去に執着しすぎると、悲劇が起きる”というモチーフを描いた作品ではないかなと思った作品である。>
腐敗してもLOVE。
ある日電磁波的な事で誤作動を起こすカーデッキとエンジン停止の車s、その流れからの停電で死者が蘇ちゃう話。
ある日、孫の墓参りに行ったマーラーが墓下からの物音に気づき、掘り返したら腐敗はしてるけど呼吸をしてる孫を発見し家に連れて帰ることになるが…。
話を思い出しあらすじを書いてるが…、本作を観てる最中は大筋のストーリーがずっと???で。
蘇った死者、個体に差があり最初から歩く婆さん、呼吸と瞬きする子供と…、何か中途半端な感じなものをずっと見せられ進展なしな感じ。
終盤ラスト別荘に現れたゾンビ、あっ人を襲うのね!てか、その展開を早い段階から見せてくれ!って感じでストーリーにアップダウンの強弱をもっと付けて欲しかったかな。ずっと平坦な一本道みたいで冒頭から観てるのがキツかった。
あの小バエが周りに飛んでる時点でちょっと無理だし最終的に湖に還すなら最初から元の場所へ還してあげたらって感じだった。
タイトルなし(ネタバレ)
墓の下で音がしたら、掘り起こさなければいつか後悔で死んでしまうだろう。その後の経験がどれほど辛くても…父親とすら共有する事を拒み、一人で喪失の中に晒されている母親…最愛の妻、母親、パートナー…
最初から愛しき者を失った壮絶な痛みの中に入り込み、息を呑んだ。
静かな演技が胸をつく瞬間が、最後まで続いた。
愛しき者が帰ったが、満たされる訳では無かった。それでも、目の前の人を愛している。。
この映画は、ホラーではなくて純愛ものか。
そして、最後には二度目の喪失を迎える。
酷い様だけど、悲しみに向き合う事ために必要だったのかもしれない。
その後の、ゾンビが世界を侵食する世界の幕開けは、又他の作品で…ゾンビ映画は大好きなので。
何も楽しいことは起こらない映画
そもそもなぜ死者が蘇るのか。
どうして世の中がそれであの程度の騒ぎで済んでるのか。
死者が生者を喰らうという古典的な所作。
そもそもアレは死んでいるのか生きているのか。
『人』としてではなく生命体として生きていると言うならば、ラストで水中に沈めて、それで殺せるのだろうか。
それともずっと水中で苦しむ(?)のだろうか。
最後にあれだけのことをやらかした爺様があっさり謎のゾンビに食い殺されるとか、もう冗談かと。
正直テーマが重たいので、あの雰囲気を楽しめない人には完全拷問な映画でしょう。
自分は嫌いではないけど、『何故』も『どうした』あそこまで何も説明がないのでは、やはり消化不良は起こす。
退屈だ
格調高いゾンビ映画で眠くなる。ゾンビはほぼ植物人間だ。最後の最後でやっと人にかみつく。実際、愛する家族がゾンビで蘇っても嬉しいの最初の一瞬であとは困るだけで、湖に沈めるのも仕方がない。
あまり怖くない北欧ホラー映画。ホラー映画でも変わった作品が好きな方はぜひ。
今年16本目(合計1,558本目/今月(2025年1月度)16本目)。
他の方も書かれていますが、北欧のホラー映画というのは日本や韓国ほかと違い、お化け等が直接描かれることは少なく(まったくないわけではない)、日常生活が映し出されながら、少しずつ精神を病んでしまってみんながおかしくなってしまう、というような描かれ方をするシーンが多いです。本作品も墓場を掘り返すなどのシーンは一応ありますが、少しずつ精神的に変になっていくそれぞれを描いた作品になります。
その意味で純粋なホラー映画とは違うし、その意味で行くと肩透かしを食うのではというところですが、北欧のホラー映画というのは程度の差はあってもこのようなスタイルが多いし、そのことまで了知してみるなら、むしろいわゆるこの手の映画でありがちなグロい描写もないし、北欧のホラー映画はある意味見られる機会がレアなので(2024年でも2~3作品だったか)おすすめといったところです。
なお、映画の中で歌うシーンはそこだけフランス語の歌詞になっているようですが(聞き取ると確認できる。字幕とも一致する)、特にフランス映画の資本が入っているわけではないようです(フランス映画でよくある、例の謎の旋律で登場するCANALも登場しない)。
ちょっと変わったホラー映画というところはありますが、日本にせよ韓国にせよ「ありがちな」それら以外のホラー映画を見たいならおすすめといったところでしょうか。
採点上特に気になる点までないのでフルスコアにしています。
レナーテ・レインズヴェ
良い言い方をすれば... "慎重" に物事が進む作品と言えるかも?
“Handling The Undead” is one of the best novels that I have read over
the better part of the last decade, so I was quite excited for this movie.
To say I was disappointed is an understatement. Not to mention, I was
so confused about it that I was compelled to skim back through the
book to reassure myself that I was correctly remembering what I had
read.
ある国の動画サイトで既にデジタルプラットフォームで配信が始まっている。一視聴者の鑑賞後のレビューの一部を載せてみました。
最後には、"It was not “Handling The Undead.” You have been warned." と言い切るほど失望を隠せないファンのコメント... 正直なところ、この人何かを勘違いしている。というのも本作の脚本はヴィスタンダル監督ともう一人、原作者ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストが共同執筆をしている。それに彼ら二人して仲良く動画サイトで本作について終始笑顔を絶やさずに抱負を語っていた。"Bookophile" とペンネームで用いるほどの愛読者なのに、そんな事を知らないはずは、ないのだけれど?いつものように話が長くなるので本編に戻ると...
Dr. Pinelli:Her heart rate is very slow, and her oxygen level
is so low that we can't understand how she's still
alive.
・・・・・・・・・・(省略)
David:She's alive, though?
ピネリ医師は続ける...
Dr. Pinelli:Yes, but we've never seen this before.
この映画は、確かに原作とは異なる設定になっている。愛する人を亡くした家族と数千人にのぼる蘇生した人々の事件を解決しようと対処するスウェーデン当局と家族とのアツレキを一切省き、その代わり、残された家族の喪失感から生まれた悲しみや蘇生者(undead)に対しての思慕であり、先行きの不安感、そして誰もが敬意を払う "人への尊厳" などに重点をシフトしている。特に個々の出演者を挙げるとフローラの性格が原作とはかなり異なり、原作ではメインキャラで、しかも本編のように利己的でわがまま娘ではなく、180度違い、賢く、強く、勇敢な十代の理想像として描かれている。
Mom is dead. (※娘フローラによる蘇生者に対する思いであり、ある意味、映画の大まかな包括的メタファーとなっている。)
そして何よりこれより...
個人的には、会話に対してミニマリストとしてアプローチを試み、ストーリーテリングを視覚的に考えると絶妙で微妙なレンズに映し出されるのは、季節の明るさはほとんどなく、すべてが枯れ果てたカーキ色とホワイト・グレーの重圧を感じさせるモノトーンの光に包まれた世界であって、そこには甲高い弦楽器と不協和音のピアノによる苦悩を表現するフィルム・スコアによって時間が存在しないようにゆっくりと進む。それらの効果でも、このような受動的で中間的な生き物に対してできることは限られている。魂のないこれらの体が何らかの生命の模倣に向けて養われ、育てられている間も、家族らには圧倒的な悲しみの感覚が続く。だから、各々のシーンを見ている者がおろそかにできないし、それに応えるように登場する人たちの心理描写が細かく描かれ卓越している。それらの印象が薄ければ "慎重" という言葉ではなく "緩慢" にすり替えられ中身のない、意味に深みのないと捉える人もいるのは許せるのかもしれない。
本作にははっきりとした分水嶺となるシーンがある。
街中に不気味な雰囲気が漂い、突然の停電。群がる鳥。そして終末を告げる車の警報音が静まり返ったオスロの夜の街に響き渡り、生と死の境界が突然この世に現れたのではないかという不安が、より鮮明になる。
繰り返して
Mom is dead. この言葉が本作のトリガー警告となっている。
蘇生者が帰還して以来、彼らの存在の不安定さ... 呼吸や心拍数はあるけども通常では生きていけない程のレベルで、始めから終わり近くになるまでメランコリックな恐怖に満ちていて見ている者としては、出口の見えない不安感にかられ続けられた。
この警告のおかげで、蘇生者が "undead" と位置付けられゾンビ映画として成立したことであたし自身、その事で蘇生者の「どうなってしまうのか?」という本編中、ずうっと続いていた不安感が一掃されたと同時に解放され安どした。
この映画には、もう一つのテーマがある。それは生き返ったパートナーと老婦人がダンスをするシーンにある。その時、流れていたのが、史上最高の歌手ニーナ・シモンによる ♪Ne Me Quitte Pas この歌は「行かないでくれ 忘れるべきだ」という歌詞から始まる。元々はジャック・ブレルという人が女性と別れた後に書いたもので、彼自身「ラブソング」ではなく、「男性の臆病さへ向けた賛美歌 」であると語っている。
この事は、ラストシーンで主人公アナのとった行動に比喩的暗示として反映されている。
聖ならぬ愛
北欧のホラーは静謐で、無駄を省いてテーマを強調するタイプが主流。そして、その琴線に触れたハリウッドの製作者がリメイクを狙うケースが多い。本作はそんな「死者復活」が主題だが、未来的にはゾンビ化するトリガーも弾いている。起伏に乏しい物語がはらむ、近未来の阿鼻叫喚の殺戮への、静かなプレリュードとしての立ち位置だろう。
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