聖なる儀式
解説
2024年・第37回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門上映作品。
1974年製作/127分/メキシコ
原題または英題:El santo oficio
2024年・第37回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門上映作品。
1974年製作/127分/メキシコ
原題または英題:El santo oficio
エクソシストの神父に密着、現場に初潜入「悪魔祓い、聖なる儀式」監督に聞く
2017年11月17日本物のエクソシスト!世界初、悪魔祓いの現場を映したドキュメンタリー公開
2017年8月13日東京国際映画祭の「メキシコの巨匠 アルトゥーロ・リプステイン特集」で鑑賞。
映画の最後に、記録をもとに、しかし史実よりも映画的であることを優先しましたよと断り書きが出るが、歴史を再現した細かいディテールに悄然とさせられる。
16世紀のメキシコで起きたカトリック教会によるユダヤ教徒の弾圧を描いていて、権威主義の権化のようなカトリック教会のやり口の陰湿なこと。しかしユダヤ教徒の抵抗の物語にもならない。主人公家族は恐ろしい拷問に屈し、棄教し、同胞たちを密告し、それでも実は信仰は捨ててませんと意地を見せるかと思いきや、やはり拷問や過酷な刑罰には耐えられないと避けようとする。
ぜんぜん首尾一貫してない姿は人間くさいというしかないが、人間の小心さを知り尽くして追い詰めるカトリック教会のやり口を告発した映画なのか、名誉を失っても心の底では信仰を捨てないユダヤ教徒の反骨を描いているのか、それとも宗教が人類に為す害悪の部分にフォーカスしているのか、いまいち判別がつかない。
しかし人間の弱さや愚かしさを徹底的に掘り下げるリプステイン監督の冷徹さと、当時の拷問や刑罰を克明に再現する実際的な描写に冷え冷えとした恐ろしさを感じる。すごく俯瞰でみれば愚かで皮肉な笑劇にもなりそうな。しかしいまも同調圧力による弾圧は脈々と続いているわけで、このイヤさをいま体験する意義は大きいように思う。にしても罪人には恥ずかしい格好をさせようと最初に思いついたヤツは誰よ?