「若き魂と友情を描いた青春群像劇」BLUE FIGHT 蒼き若者たちのブレイキングダウン クルトさんの映画レビュー(感想・評価)
若き魂と友情を描いた青春群像劇
12月9日に新宿ピカデリーの試写会で鑑賞しました。エクゼクティブ・プロデュ―サーの溝口勇児氏とDJふぁい氏のトークで語られた製作者・出演者が本作に賭けた情熱と熱い想いが全編に感じられる作品として感銘を覚えました。リングを舞台に人生の機微と友情を描いた『レイジング・ブル』(監督:マーティン・スコセッシ 1980)、『ミリオンダラー・ベイビー』(監督:クリント・イーストウッド)、『百円の恋』(監督:武正晴 2014)、『ケイコ目を澄ませて』(監督:三宅唱 2022)の中に、三池崇史監督が令和の日本を舞台とした本作を届けてくれたとの感を強く抱きました。樹林伸の奥行のあるポリフォニックな脚本と三池崇史監督のアクション・シーンを動的かつ詩的に捉えた北信康のカメラの秀逸さ、そして『明日に向かって撃て』(監督:ジョージ・ロイ・ヒル 1969)や『テルマ&ルイーズ』(監督:リドリー・スコット 1991)を連想するバディ(Buddy)映画である本作を東洋的寡黙さを有しながら見事に演じ切った木下暖日と吉澤要人は、この映画を観る観客の脳裏と心に強い印象を与えるのではないかと考えます。個人的に愛して止まない『さらば青春の光』(監督:フランシー・ロッダム 1979)と共に、社会の現実を受け入れるには時として強すぎて制御不能なエネルギーを抱える若き魂と友情を描いた青春群像劇として、映画ファンの記憶に残る作品の誕生ではないかと思います。
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