「これと言った特異点のないラブコメだが、ある程度の経済力がないと無理な対策」女神降臨 Before 高校デビュー編 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
これと言った特異点のないラブコメだが、ある程度の経済力がないと無理な対策
2025.3.21 イオンシネマ久御山
2025年の日本映画(102分、G)
原作はyaongyi著作のウェブ漫画『TOUCH/タッチ』
いじめられていた女子高生がメイクの力で新しい人生を取り戻す様子を描いた青春映画
監督は星野和成
脚本は鈴木すみれ
物語の舞台は、都内某所
前の学校でいじめられていた谷川麗奈(Koko,)は、大好きなホラー作品に埋もれた引きこもり生活をしていた
そんな折、メイクアップの動画を見た麗奈は、見よう見まねで自分に化粧を施していった
SNSなどで評価の高い化粧品を買い漁る日々が続き、ようやく念願のメイクができるようになった
麗奈の父・寿史(宮崎吐夢)、母・真奈(石野真子)は唖然とするものの、姉・麗美(丸山礼)は「すぐにバレる」と言い、弟の麗央(大空空人)は無関心を装っていた
ある日のこと、行きつけのホラーショップにて性格の悪そうな男(のちに編入先のクラスメイト・神田俊と判明、演:渡邊圭祐)と鉢合わせてしまう
念願の新作を先に取られて悔しい思いをしていたが、彼女を癒すものは他にもたくさんあった
物語は、麗奈が私立聖東高校に編入し、そこで「女神」と呼ばれる展開を迎えるところから動き出す
クラスメイトの望帆(美山加恋)と藍里(深尾あむ)は麗奈に興味を示し、満更でもない生活が始まった
だが、そのクラスにはホラーショップの男・俊がいて、彼は麗奈の素顔を知っていた
そこで、誰にも言わないと言う約束で「1年間何でも言うことを聞く」と言う主従関係が生まれてしまうのである
映画は、俊は「王子」と呼ばれるイケメンの天才で、彼はかつて「御曹司」と呼ばれている五十嵐悠(綱啓永)とバンド活動をしていた
その話題は学校ではタブーとなっていて、悠は俊のせいでメンバーの楓(宮世琉弥)が死んだと思い込んでいた
その顛末に関しては後半で明かされるようだが、その誤解に関しては本作で和解がなされていると言う不思議な構成になっていた
映画は、ありがちな青春映画に「メイクでなりたい自分になれる」と言うメッセージが込められている
それ以外の展開はいつものご都合主義で、性格の悪いライバルが敵視したりする割には大したいざこざはなかったりする
俊と悠は共に麗奈のことが好きなのだが、あの水ぶっかけシーンで麗奈が困る理由を知っているのは俊だけだと思う
それでも、好きな女を協力して守ると言う謎のシンパシーがあって、そこらへんの尺の都合なのかもしれない
なりたい自分にメイクでなる、と言うのに恋愛が必要なのかはわからないが、メイクをすることによって容姿コンプレックスが軽減されるのは良いことだと思う
もっとも、ルッキズムの時代において、ここまであからさまな容姿虐待があるのかは謎で、それ以上に何らかの要因がないとあそこまでのいじめには至らない気がする
ともかくは、舞台設定としての「新しい高校で新しいスタートを切る」と言うことと、「その高校のことを知らない」と言う設定が必要なので編入と言う形を取ったのだと思う
ぶっちゃけ、中高一貫の私立に高校から入ったでもOKだし、そもそもあれだけの化粧品を集められる経済力(親父がすごいのか)あたりを考えると、与えられた環境が違いすぎるようにも思えた
いずれにせよ、前後編の作品なのであまり評価しづらいが、予告編の感じだと「高校卒業後」の6年間を描くことになると思うので、高校編の終わりがこれで良いのかは何とも言えない
ウェブドラマなどでじっくりとやった方が良いタイプの作品なので、後半も駆け足になるのは否めないのだろう
メイクに関しては人それぞれで、それが自信になるのなら良いと思う
それでも、最終的には明かせない自分というものが生まれてしまうので、原型がわからないようなメイクだと、その後の人生が全てハッピーになるとは限らないように思えた
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