「絵心とは。」映画ドラえもん のび太の絵世界物語 ミストさんの映画レビュー(感想・評価)
絵心とは。
本作の映画の監督が,私の最も愛しているドラえもん映画のひみつ道具博物館の監督の寺本幸代が12年ぶりに登板した。本作で寺本は声優交代後のアニメ第2作2期シリーズでは初となる、4作目を手掛ける監督となった。(wiki参照)
滅びる運命を迎える国のアートリア王国という市の日に陶芸品や装飾品の出店があるほど,アートに造詣の深い国であり,そこの王女候補であるクレアという子供が今回のキーパーソン。クレアには見る角度によって色が青色から緑色など変化する特殊な目を持つ。その特性を持ったアートリアブルーという絵の具は,数億円ほどの価値があるという。
非常に美しいため宮廷画家でありそしてクレアの幼馴染でもあるマイロにも再現するのが難しいと,クレアの人物画の瞳にのみ色が塗れないシーンはその価値を強調している。
価値あるものには盗賊は群がるものだ。本作にも前述した【ひみつ道具博物館】のように怪盗が参上する。その名は
ソドロ(コソ泥)というタイムハッカーであり,パルはそいつをひっとらえようと22世紀から13世紀のアートリア王国へやってきたタイムパトロール。
正直に言うとひみつ道具博物館のようなじっくり犯人を捜すのを期待したが,あっさりとばれていたのでそこはがっかりした。しかし,本作にそれほど重要ではない要素なのでそれくらいがいいのだろう。
本作の敵はイゼールという滅びる運命の元凶であり,それはクレアが予知夢で見た悪魔及び赤き龍の姿をしている。
ドラえもん映画かと途中で疑うほどに今作の敵はかなりモンスター●●ターにでてくるビジュアルであった。
口は八方に裂けており,放つ放射線は命の色をなくす。世界が真っ白になるシーンは銀世界の美しさとは違う色がなくおもしろみのない虚ろな人生観を描写したと私はとらえている。
イゼールは色をなくすために色彩に集まる習性があるため,最後にのび太の描いたへたっぴなドラえもんの似顔絵を罠として設置し,それが最終的にイゼールを倒せた要因と考えると一国を救った宝物の絵画となる展開は胸が熱くなった。
本作は画家を本来目指していたのび太の父親の名言で幕を閉じた。それは映画館に行ってぜひ聞いてほしい。
では,自分が興奮したシーンを述べる。(ここからは物好きな人だけみてね)
風呂キャンセル界隈のクレアのお風呂が嫌いという発言は「絵の世界の住人は水が苦手」という伏線だった。
クレアとマイロが最後少ない身長差で話し合うシーンはエモい。
スネ夫が女神像が色落ちしてなぜかさみしがっていたシーンは最初スネ夫がその女神像の噴水で,願い事をして思い入れがあったからであろう。純粋な子供であるなぁと感じた。
チャイとクレアがチョコレートをかけたフレンチトーストを食うシーンはマジでかわいい。