「オープニングやストーリー全体は良かった…」映画ドラえもん のび太の絵世界物語 yutoさんの映画レビュー(感想・評価)
オープニングやストーリー全体は良かった…
【良かったところ】
名画のパロディを合わせて作られたオープニング。
名画と主要キャラクターのイメージを上手くマッチしていて面白く、一気に映画に引き込まれるような演出だった。
全体的にシリアスなシーンが多めだと感じる中、明るくやんちゃなヒロイン「クレア」がとても際立っている。
所々で笑いを生み出してくれることで映画全体が暗くなりすぎずバランスが取れていた。
のび太の絵に対する考えの変化やマイロやお父さんが教えてくれた絵を描く時に本当に大事なことは何なのかということを通して「愛情」について描かれる場面が多く感動的だった。
また、今回はストーリー全体に多くの伏線が張り巡らされていてあとから「ハッ!」とさせられる展開が多く物語に緩急があった。
【残念だったところ】
1つは「アートリアブルー」について
物語の中で常に背景にある「アートリアブルー」。王国の伝説にも青のコウモリとして描かれ恵みをもたらすものとされていたため、イゼールを倒すためや世界を元に戻すためのカギになるものと予想していたがあくまで1つの色だった事。
当のイゼールとの最終決戦では1度は防がれた大量の水をかけて溶かすという作戦を「水戻しふりかけ」を使った2度目の奇襲の形で倒すというもの。
物語の根幹である「アートリアブルー」にしては作中の意味合いが薄くなってしまっていて、それを補うためにもマイロが「アートリアブルー」で描きかけだったクレアの絵の瞳に色を入れてあげるシーンとかあれば良かったのかなと。
そしてもう1つ
映画を見終わった時は割と綺麗に終わったと感じたがあとから各シーンを思い返すと「あれはどうなった?」や「あれってなんだったんだ?」と思う場面が多々あったこと。
まずソドロの目的とその後
絵を盗むのが目的のタイムハンターのはずだが、アートリア王国転覆を匂わす発言をしたり世界から色を奪うイゼールを召喚したりしてなんだか目的がよく分からなかった挙句イゼールを倒したあとどうなったかも描かれなかった。
また、物語でアートリア王国は失われた文明と言われているためその後滅亡の運命を辿ることになると思うのだがその理由や経緯についてもノータッチ。
そもそもクレアが時空ホールに吸い込まれてしまった理由もよく分からず、全体的に描ききれてない部分が多かった印象。
物語終盤は大どんでん返しからのラッキー展開でハッピーエンドを迎えられる訳だが少し出来すぎてる感は否めなかった。
【総評】
オープニングや導入が良かった分、前半から後半にかけて少しずつクオリティが下がっていると感じてしまう所はあるけれどそこまで細かく掘り下げない限りは十分に面白く良い映画だと思います。