ノー・アザー・ランド 故郷は他にないのレビュー・感想・評価
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「マサーフェル・ヤッタ」に住む人達の顔と声
共同監督の一人、パレスチナ人のハムダン・バラール氏がイスラエル入植者に暴行され軍に連行されたらしい。(2025.03.25.)
ハムダン・バラール氏は基地で24時間拘束されたのち釈放されたようだ。 (2025.03.28.)
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人が住んで居る家をブルドーザーで破壊し、家財道具と大工道具を没収し、人に銃を向けて脅し逮捕し或いは殺し、ブルドーザーで小学校を破壊し、井戸にセメントを流し込む。一方で入植者用の家をどんどん建てる。武装した入植者は丸腰のパレスチナ住民に向けて発砲する。以上の動作主である「イスラエル人」は、自分達の祖先 =「ユダヤ人」が追い立てられさまよい辛い思いをしたこと、以前はパレスチナの人々と共存していた歴史に思いを馳せない。彼等の目的はただ一つ、パレスチナ人住民の拡大を妨害し一カ所に閉じ込めることだ。そんなことバーセルは初めからわかっていた。
彼らにはユヴァルのように、パレスチナの人々の言語、アラビア語を学んで欲しいということしか今の私には思い浮かばない。昔、パレスチナの人々と同じ土地で仲よく暮らしていたユダヤ人はアラビア語を話していたことを思い出して欲しい、サイードが何を言っていたのか思い出して欲しいとしか今の私にはできない。バーセルとユヴァルが出会ってよかった。
イスラエルとパレスチナの問題の根源はイギリスなんだから責任もってどうにかしろと思う。ホロコーストゆえドイツは国としてはイスラエル寄りにならざるを得ないジレンマがある。だからこそプラグマティックなイギリスに働いて欲しい。
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(2025.03.03.)
アカデミー賞・長編ドキュメンタリー賞の受賞、おめでとうございます。この映画を見終わりロビーに出たら、若い人達が観客にアンケート依頼をしていました。最後の自由記述の所には、この映画を世界中の人に見てもらいたいといったようなことを書きました。今回の受賞が世界各地での上映につながりますように。
追記
イスラエル人=ユダヤ人ではない。
イスラエル人がユダヤ教を信仰していると単純に考えてはいけない。ユダヤ教を信仰するユダヤ人は現在のイスラエル人が行っていることに反対している。今のイスラエルを作るきっかけはナチによるホロコーストではない。それ以前からシオニストによる植民地政策は始まっていた。戦後ホロコーストから脱出できたユダヤ人達は本当はアメリカ合衆国に行きたかった。それができなかったのはアメリカの移民ストップ政策による。それゆえシオニストに行けと言われ意志に反してほぼ強制的にイスラエルに向かわざるを得なかったユダヤ人が山ほどいる。イスラエル人とユダヤ人を同一視するのは正しくない。その点を私達は、そしてとりわけジレンマに陥っているドイツはきちんと勉強するべきだ。「成功した大金持ち」のユダヤ人がいるアメリカ合衆国もイスラエルに対して責任がある。私もまだ勉強中で誤解もあるかも知れない。だから勉強を止めない。この映画を作った4人の若い人達(パレスチナ2名とイスラエル2名)の声を私は真摯に聞いて理解するために読む、見る。
カメラが映し出す理不尽で悲痛な記録の数々から平和な未来への希求へ ― 微かな一筋の希望を与えれてくるのもまた人だ
故郷=生まれた場所はひとつ、覚えている私たちの家、草、山、鶏小屋、学校…なぜ奪う?イスラエルとパレスチナ、立場を超えて共に闘う2人の若きジャーナリスト!パレスチナの現状を少しでも知るために一人でも多くの人が見るべき90分。
19世紀から地図に載っている故郷の村も、パレスチナ(アラブ人)の拡大を阻止したいイスラエルにとっては存在しない壊していい村。名目は"訓練場建設のために"、人権侵害・無視で誰かにとっての心のよりどころを踏みにじるイスラエルの侵略。軍と入植者。その様子を最前線で追い、世界に発信する活動家の家で生まれて沢山のものを見てきたからこそ「10日で世界は変えられない」と言う忍耐のバーセルと、記事を書き変えるべくやってきた熱いイスラエル人のユヴァル、そして何よりそこに暮らす市井の人々からあらゆるものが奪われていく村の記録。家が毎週壊されては、村人たちは残るか去るかの選択を迫られ、洞窟で暮らすことを余儀なくされる。
結果、タイムリーにな(ってしま)った本作。世界の人々にどうすれば届けることができるか、そのために自分たちには何ができるだろうか?トニー・ブレアが訪れた場所は壊されないというパワーゲーム。そういう影響力のある者はそれを良い方向に積極的に生かすべきだ。本作が言わずもがなパレスチナ側からの視点で描かれていることもあるが、このイスラエル軍側の非情な暴力行為が国際的に黙認されていいわけが決してない。そもそも、元をたどればイギリスのせいなのに、なぜそこの間でずっとずっと長きにわたってやり合わねばならないのか。本当に苦しくやるせないけど、それでもきっと人間にはそんな現実を変えられる力があるの信じたい。
勝手に関連作品『ラッカは静かに虐殺されている』
いわゆるパレスチナ問題についての問題提起のドキュメンタリー映画
今年60本目(合計1,602本目/今月(2025年2月度)23本目)。
現地としてのニュースでは日本ではNHKで見ることができない程度のこのニュースについて、前線に立ってこ戦っている人や抗議している方が全面に映っていたのは良いところです。
一つ気になった点として、映画としてややわかりにくいかな…という部分(最低限、現在のパレスチナ問題を知らないと詰んでしまう)ところ、また、この地域での紛争で追われてしまった人達という観点では広い意味でクルド人も含まれるため、やや対象を絞っているのかな…といったところです(意図はなかったと思いますが、日本ではこの地域の紛争として来られる方の大半はクルド人の方であるため)。
セリフもあることはありますが、全般的にはドキュメンタリー映画の分類であり、「映画か」というと微妙なところはありましょうが、知的な内容で(NHKのドキュメンタリーでやってそう)、娯楽性を求めないという前提においては押せる作品だろうと思います。
採点上特に気になった点までないのでフルスコアです。
どうしたらいいのか?を問う
破壊される故郷を撮影するパレスチナ人青年と、彼の活動を支えるイスラエル人青年を中心に、2023年10月までの4年間にわたり記録。
敵対する立場の人間が手を取り合って映画製作に着手した作品は、3月に日本公開された『TATAMI』があったが、こちらはまさに生死に関わる事態を追ったドキュメンタリー(もっとも『TATAMI』の元ネタとなった騒動も、当事者の命が脅かされる事態になりかねなかったが)。
あまりにも不正かつ不条理な光景に、平和ボケしているこちら側は「どうしたらいいのか」と思わずにはいられない。しかし観る者にそう思わせることこそドキュメンタリー映画の肝。見て見ぬふりでいいのか?――そうした自問自答を観る者に強いる。
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