劇場公開日 2024年12月13日

「巧みな脚本の虜」お坊さまと鉄砲 TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0巧みな脚本の虜

2024年12月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

以前に劇場でトレーラーを観て興味を持った本作。IMDb、RottenTomatoesでも評価が高いようなので劇場鑑賞を決めました。公開1週目のサービスデイの本日、新宿武蔵野館10時15分からの回はまぁまぁな客入りです。
ブータンの映画は本作が初見の私。興味深さもありましたが、耳慣れない言語は作品に乗れないと眠気との闘いになることもあります。と言うことで、出来るだけ集中力を保ちながら観始めましたが要らぬ心配でした。
物語が動き出すと間もなく、パオ・チョニン・ドルジ監督の巧みな脚本の虜になります。2006年を振り返って作られたコメディは、当時のブータンにおける時代背景(急激な変化)と大衆の意識のズレについて、イデオロギーや文化、或いは価値観の違いなどを利用し、少しずつミスリードさせながら展開していくコントのようで面白い。そして、出演者それぞれに判りやすくキャラクターがついており、真顔で小ボケな感じがオフビートでクスクスが止まりません。更に、次第に状況が変わりながらも、どうしても捨てきれない「悪い予感」が常に付き纏って何気にサスペンスで目が離せない。そんなハラハラな展開がありつつも、観終わって印象に強いのは結局「ブータンの人たちの眼差しや人となり」に尽き、癒されて心が洗われます。
2011年にジグミ・シンゲ・ワンチュク国王が来日され、「世界一幸せな国」のキャッチフレーズで日本でも話題になったブータン王国ですが、その後の「幸福度の大暴落」の予兆も感じる本作。ただただ癒されているだけではいけません。少しでも理解の足しにして、今後もブータンに興味を持ちたいと思います。UNEXTのマイリストに追加したままの『ブータン 山の教室』も早く観ないといかんな!

TWDera