Flowのレビュー・感想・評価
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期待度◎鑑賞後の満足度◎ 人語が無い分、視覚・聴覚を総動員し想像力を駆使して物語が何処へ流れて(FLOW)いくか息を凝らしてスクリーンを見つめるサイレント映画の様な楽しさ。ラトビア映画恐るべし。
①どことなく人類文明が崩壊した後の世界を描いた宮崎駿監督の世界観を彷彿とさせるところが有るけれども、影響を受けているのでしょうね。
猫、犬、鹿達が走る疾走感は宮崎駿監督作品の飛翔感に匹敵する。
自然描写、特に“水”(水鏡、流れ、水面、水中、波等々)の描写が素晴らしい。
②主人公を「猫」にしたのも上手い。自分が猫派だから言うのではなく、「犬」にしたらこうは上手く行かなかっただろう。
周りの環境・動きに合わせて変幻自在に変わる猫の目の表情が、そのまま目の前のスクリーンに繰り広げられる世界に驚き息をのむ観客の心情にシンクロする。
アニメってこの程度の作り込みで十分と思わせる作品。
ラトビア映画は初めてかも。
エストニアの映画は昨年観たけど。
アカデミー賞を獲ったということもあって鑑賞。
最小人数で作られたそうで、今の時代3Dやアニメーションソフトなど良いものが沢山あるとは言え、その大変さは素人の自分でもわかる。
セリフが無いのも自分のペースでできたのだろうし、ワールドマーケットにはそのままで受け入れることができるので良かったのだろう。
ストーリーは詳しくはわからないが、野生では普段食物連鎖の何処かに位置する(のかもしれない)が、それほど干渉し合わないタイプの動物たちも有事の際は手を取り合って助け合いましょうみたいなのがテーマなのかな?(トンチンカンなこと言ってたらごめんなさい)
作品名はわからないけど日本もアニメーション創成期はこんな感じのものって沢山あったような気がするけど、テーマ性が違うし、ロシアやドイツに占領された歴史背景のある国の作品というのもあって評価されたのかな。
決して最高品質ではないけれど、最高
丹念に動物の仕草や表情を描いているのかと思いきや、非常に創造性豊かな設定・内容・映像で、なおかつユーモア満載、めちゃくちゃ楽しんで、時にかっこよくそしてまた時に感動的で、非常に魅せられました。
3Dの質とか動きの質とか、一つ一つの制度は正直物足りないものを感じますが、音楽含め全体として捉えるとトータルとしての完成度たるや何ものも寄せ付けない、まさに無双アニメーションであったという印象です。
いっさい台詞がないので、細かい表情とか仕草が絶妙かつ巧妙で、実に分かりやすかったです。カメラワークなんかも素晴らしかったので、全く飽きることなく見切って、もっと・・・と─
さすがオスカーでドリームワークス、アードマン、ピクサー、実質ディズニーをも蹴散らした作品。
意味は、見ている側が考える映画
セリフもナレーションも字幕もないので、どういう経緯でこうなったのか、ということは提示されません。エンドロールの後にあるシーンが、全てを語っているように思いました。現実は甘くないということかと。
今から60年ぐらい前のディズニーによる、「訓練された動物が演技をする」映画を思い出しましたが、全然異なり、ずっと考えさせられる内容。
出てくるキャラのいずれかに、自分や知り合いを当てはめてみるのがいいと思いますが、でもそうしても自分のことが救われることもなく。ただ、いろいろな気づきはあるでしょう。
アニメ映画ということからか、予告編が、GWや夏休みに向けたいわゆるアニメばかり。この映画を見に来た人には、そういう映画は興味ないでしょうに。
旧約聖書の追体験
(理由はわからないが)人類のいなくなった世界が水に覆われ、住処を追われた黒猫ちゃんが小舟に乗って旅をするフィルム。
ノア一家のいない小さな「方舟」冒険譚であり、一種の【神話】。
荘厳と言える美しい景色の中を、黒猫視点で体感するのは、まさに「旧約聖書」の追体験。
こりゃ欧米人にはたまらないだろうから、アカデミー賞受賞は納得ですわなぁ、としみじみ。
85分の作品ですが、体感で40分くらい、しかし情報量の濃さで3時間規模の映画を観た後のような満足感がありました。
ジルバロディス監督の前作『Away』と同じくセリフなし(動物の鳴き声はあり)ですが、水音や樹が風で揺れる音、遠方で鳴く動物の声など、音響設計も面白い。
なんて理屈っぽい感想は横に置いておいて、猫とカピバラの掛け合いを観に行くだけでも価値ありですから、おすすめしちゃいます。
同じ舟に乗り合わせたカピバラ、犬(レトリバー)、キツネザル、鳥といった動物たちと、生き延びるため協力し合ううちに友情が築かれていくのは、どことなく『けものフレンズ』風味で可愛く微笑ましくほのぼのしました。
他の動物の行動に対し、「おいおい」と呆れたときの黒猫の「目」の表情がまたよいのです。
できるだけ大き目のスクリーン&音響のいい箱での鑑賞を推奨します!
注)小さいスクリーンで特に発生しやすいのが、乗り物酔い。
猫目線にリアルに描くことにこだわりすぎたのか、わざわざ手振れみたいに画面を揺らすような作画・撮影をしているため、酔いやすいです。
大きい画面を、後ろめの座席で観る方が酔いにくいです。
アカデミー賞長編アニメ映画賞を受賞。おめでとう!
試写会にて。
監督のデビュー作にして前作の『AWAY』で監督の才能を感じました。期待して本作を観に行きましたが期待を裏切らない素晴らしい出来でした。
前作もそうでしたがセリフはありません。登場する動物も擬人化されたものではなく鳴き声だけです。でもそこがいい。とてもリアルでこの動物が水害にあって他の動物と知り合ったら本当にこんな感じだろうなと思わせてくれる。映像も素晴らしかったです。特に水の表現。凄く細やかで美しかったです。ハリウッド大作ならスタッフ1000人ぐらいでやるところ、お金が無かったので若手20人で制作したとか。でもそれが良かったと監督のインタビューで言われてました。自由に色々な事が出来たそうです。この監督これからも楽しみです。
猫の気持ちで冒険旅行
猫の気持ちで自分も旅に出てしまった。
猫の純粋な目で見た世界が生き生きとこちらにも流れ込んでくる。未知なるものへの恐怖、失敗からの学び、共存とは何か、他者を思いやる気持ちと受け取った親切への感謝、出会いと別れ。
ユーモラスなメンバー達と共に少しずつ成長していく猫に試練を与え続ける美しい大自然も眼福!
推しキャラも人によって違うだろな。
寝方の癖が強いあの子もいい。
でもニフラー(ファンタビのね)みたいなアイツも良い。
どこまでも陽気で愛嬌があるアレも良い。
でもやっぱ脚長さんよ!!
めっちゃかっこよかった!!
いや、みんな推せるわー。
個人的には、ニフラーみたいなアイツの好きな物への執着は私も皿オタなのですごーくよくわかる。笑
セリフはないけど、なんなら人間語じゃない言葉なら動物達は交わしてた気もするけど、例え言葉が分からなくても、気持ちや考えてることは伝わるという、異国を旅した時に誰もが体験するであろうあの気持ちを思い出す。
仲間になりたい気持ちも、そんなヒドイ!!の気持ちも、ありがとうの気持ちも、なんか全部全部リアルに伝わった。
色々沁み入る良い映画だった。
ノアの方舟
映像を楽しむ。猫を楽しむ。珍しい旅の仲間。
試写会で観る機会を得られました。
会場も立派な試写室で環境は申し分なくありがたかったです。
人類が滅びた後と思しき世界で動物だけが生活している。
視点人物は黒猫。
ある日突然押し寄せた洪水で世界がどんどん水没していく中、どんどん移動を続けていく。
移動中に仲間ができ、種族を超えた交流が…
という感じのお話で、ストーリーをどうこういうタイプの作品では無し。
美麗なCGによる自然描写と、主役の猫を中心とした愛らしい動物達の姿を楽しみましょう。
猫仕草をちゃんと表現しているのは猫好きにはポイントが高いでしょう。
なのですが、猫が歩くときにゲームでありがちがテンプレ足跡がずっとしていて「猫がそんなに足音立てて歩くかい!」と鑑賞中ずっと気になっていました。それもあり映画というよりはアンプレイアブルなゲーム映像を観ている気分でした。IMAXであったり高画質大画面な環境で楽しむのが良いと思います。
ちなみにCGの質感はリアリスティック一本槍ではなくて、ある程度階調を落としたトゥーンぽさのある処理がされていました。
まさかカピバラに強く心を揺さぶられる日が来るとは思いもしませんでした
ご縁があって試写会に招待いただきました。
人類がいなくなった後の世界を主人公の黒猫が冒険をする物語。旅の過程で様々な動物たちと出会って、別れて……。
動物たちしかいない世界のお話ですので、当然セリフはありません。『ロボット・ドリームズ』を思い起こす設定ですが、擬人化された動物ではなく、より生身の動物に近い設定で、多少のデフォルメこそありますが、動物たちは動物たちとして生きています。
各動物たちはCGのモデリングやテクスチャーはやや粗いものがあります。背景の描きこみや水や光の表現に比べると質感の差がはっきりとあり、一昔前のゲーム機のような印象も感じるものですが、それぞれのキャラクターの動きや感情表現などが高いクオリティで表現されているため、全く気になるものではありません。
好奇心旺盛な猫、馬鹿なのか利口なのかわからない犬、少し抜けてるキツネザル、自らの判断に絶対で孤高な鳥、そして何よりおっとりしてるようで慈悲深く存在感のあるカピバラ!!
彼らが人間のいない終わりゆく世界を旅する過程で、それぞれの役割をこなしていき、小さな共同体を作っていく過程で一人一人?が愛おしくなって感じられるのです。
前作『Away』は監督お一人で、本作もアニメ映画としては極めて低予算で作られていると聞いています。かつてアマチュアCGコンテストで新海誠さんの作品を見た時に感じた可能性-コンピュータの発展で作り手の情熱と才能があれば、素晴らしい映像作品を個人でも作れるということーの延長線上にこの作品があるのだと思い、とても感動しています。
ニャー
これぞアニメーション
地球温暖化、移民問題に言及した寓話アニメ
、などと本作を定義づけているのは多分私だけであろう。動物の鳴き声だけで台詞のまったくないこのアニメーション、小国ラトビア出身のアニメーターさんによる2作目にあたるのだそう。実は1作目の『Away』も鑑賞済みなのだが、動物たちの造形はともかく、水や木々、岩などの自然物に関しての描写はかなりの進化をみせていて、世界最高峰に位置付けられているジャパニメーションに慣れ親しんでいる方でも納得の仕上がりになっている。
おそらく本アニメーションをご覧になった人の9割が、異種動物との友情や助け合い精神を育みながら成長をとげる黒子猫の物語として理解したであろう。そこにいちゃもんをつける気などさらさらないのだが、もしそうだとしたらディズニーやピクサーに任せておけばいいのであって、ラトビアという長らくソビエト連邦の支配下にあった小国出身の若者がわざわざデジタルペンを握ることもなかった気がするのである。
ネコの巨大な彫像がたたずむ森に突如として大洪水が押し寄せる。主人公の黒子猫は水に流されながらオンボロヨットに命からがらよじ登り、ワンコやキツネザル、カピバラにヘビクイワシと共に洋上の冒険を繰り広げる。何せ台詞という台詞がまったくないため、動物のちょっとした仕草から気持ちを読み取る以外なく、ここで語られるナラティブが如何なるものなのか、コミュ障の方が観られてもいまいちピンと来ないのではないだろうか。
孤独を好むネコや海の主的なクジラ?を除いて、みな同種属の群れを形成して生活している。しかし、地球温暖化の影響だろう、水が押し寄せてきて海上部分が限られたスペースだけになってくると、そんな贅沢も言っていられなくなってしまう。アメリカの白人を彷彿とさせるヘビクイワシの群れに遭遇し、その中のあるリベラル?な一匹に魚をめぐんでもらった黒子猫。しかし、ヘビクイワシの群れのボス(トランプ‼️)から種族の違う動物になんぞにエサなんかやらんでエエとばかり、翼を折られた挙げ句群れからハブにされてしまうのだ。
まさに、右傾化し移民排斥に走り出したアメリカやEUの動きそのまんまという描写なのである。背に腹はかえられぬ黒子猫、苦手の水を克服し潜水漁を独学でマスターするのだが、肝心の獲物をワンコたちに奪われてしまうのである。激安労働力として普段ひどいピンはねを受けながら生活している移民の皆さんのやらずぼったくられ生活と酷似しているのだ。そしてこのアニメーションには、黒子猫とは対照的な一匹のキツネザルが登場する。
(かつては他人の物だった)水に浮かんでいる空きビンやらなにやらのガラクタを集めて(盗んで)きては悦に入り、同乗者にはさわらせようとしない。なかでも、飾りのついた手鏡が大のお気に入りで、ただひたすら(自己陶酔気味に)自分の顔をじっと見つめるために決して手放そうとはしない。鋭い方ならもうお気づきであろう。他国の情報を盗むことに何ら良心の呵責を覚えず、自己中心的な中華思想から抜け出せないC国人のメタファーと見て間違いないだろう(本当に?)
じゃあ同族でありながら種類も様々な群れで生活しているワンコは?何を考えているのかよくわからないマイペースのカピバラは?おそらく前者は多様性を重んじながら弱きを搾取するEUを、後者はヨットの舵をとるヘビクイワシに必ずしも従わない(C国を除く)BRICSあたりをイメージしているのではないだろうか。監督さん曰く、地球上のどこにも存在しない場所を想像しながら作画したとか語っていたが、明らかに水の都ベネチアやC国の同化政策下にあるチベットをイメージしている場所が本アニメには登場している。
チベットもどきのその場所で、いままでグループのリーダーを勤めていたヘビクイワシが、死期をさとり天に召されていくシーンが非常に印象的なのである。世界を牽引してきた(特にリベラル側の)アメリカないし白人社会が、近い将来消滅に向かっていくことを暗示している、とは言えないだろうか。この後、奇跡的に一命をとりとめた黒子猫は、水が引いた後木の上に中吊りになっていた仲間の命をも救うのである。
そして水が引いた後、黒子猫は森の中で息も絶え絶え状態のクジラ(神)を発見する。映画冒頭シーンとリンクしたラストシーンが実に意味深だ。黒子猫たち生き残った仲間たちは、森の窪みにできた水溜に自分たちの姿を映しながら肩を寄せ合うのである。アメリカという絶対的リーダーが抜けた後の世界で、EUやBRICSといった新しい仲間を得た黒子猫は、予想されるまた再びの大洪水に立ち向かうべく決意を新たにした、のかもしれない?!
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