「なぜか見てしまう美しさ」Flow まままさんの映画レビュー(感想・評価)
なぜか見てしまう美しさ
台詞無しで割と単調な物語として進む
なんらかの洪水で黒猫は住処を失い、カピバラが乗ってきた船に相乗りして旅に出る
なぜ洪水が起きたのかはわからない
人間の痕跡はあるが人間は出てこない。何らかの原因で滅んだのかも。詳細はやはりわからない
どこへ向かうのかもわからない。多分遠くに見える塔みたいなところに向かってるが、それが何なのかはわからない。
途中マダガスカルの猿みたいなやつが出てくる。犬が出てくる。黒猫を庇って仲間内からいじめられた鳥が出てくる。この鳥はやや傲慢そう。
そういうロードムービー 的な要素がある。
何となくその動物たちの性格も、不思議とわかってくる。
そして神聖そうな、でかい鯨的な、架空の動物に何度か助けられる。
塔に着いたら、嵐の中、鳥がどこか空へ消えていく。突然ファンタジー要素が強くなる。どこか幻想的なシーン。猫は吸い込まれることなく元に戻ってくる。
鳥はどこへ行ったのか、死んだという意味なのか、もちろん説明はないからわからない。
そして洪水は終わり、突如として大陸が発生。動物たちが共存する。
何だかノアの方舟みたいな話なのかもしれない、と途中から感じ出す。ノアの方舟の人間がいないバージョン。
やや幻想的なシーンも宗教的な意味合いを持つのかもしれない、と映画を見ながら想像をする。けれどやはりわからない。
そういう、曖昧なまま説明なしに進んでいく物語。しかし不思議と見れてしまう。解釈の余地があるということでもあるし、台詞無しの限界でもある。
ただ何よりもその前提にあるのは映像の面白さ。
なかなか見たことのないアニメーション。
水や草木の描写が綺麗すぎる。
特に水面と水中を同時に映すシーン。すごい。
動物の毛並みにはやや物足りなさを感じるが、それ以外はかなり時代はこんな感じなのかと感じる。
カメラワークも猫に寄り添うような視点で臨場感がある。
不思議と面白い映画
