「うん……で?」Flow しーぷまんさんの映画レビュー(感想・評価)
うん……で?
お盆休みに機内放送されてたので終盤まで見て、
残りをアマプラで鑑賞。
結論からいうと、映像とかは美麗で良かったし、
動物たちも可愛いしキャラ付けとかハッキリしてて良かったんですが、
ストーリーは無味無臭すぎて「で?」って感じでした。
余韻とかに浸ったりキャラクターの掛け合いを楽しむ映画である事は百も承知なんですが、
だからといってストーリーを厳かにしてたら、
キャラクターへの感情移入を削がれてしまうと思うんです。
なので私はこの映画を楽しむ事ができませんでした。
まず、舞台が「ポストアポカリプス」的な人が滅んだ世界なのかなんなのか分かりませんが、
その割には殆ど文明は残されてるのでそんなに時間が経ってるように見えないし、
主人公の黒猫は出入りに慣れて必ず同じベッドで寝るくらいそれなりの時間住んでるっぽくて、
住んでた住人は猫が大好きっぽいのは分かるんですが、
黒猫と住人の間に「絆があった」って描写が無いんですよ。
なおかつ黒猫が洪水が起きた事で「この家を手放す事に躊躇する」って心情描写も無いので、
主人公に「バックストーリー」が見えないんですよ。
劇中はあれだけ感情豊かなのに。
なので非常にこの主人公に感情移入しづらいです。
あとは途中で仲間になるワシも、
「なんで彼が主人公を助けたのか」明確な理由がないまま群れと対立して、
結果群れを追い出されるという結果に行き着くので、
これまた非常に感情移入しづらいです。
例えば「かつて群れを追われた親友の面影を主人公に見たから」とかくらいあってもいいはずなのに、
ドラマはあってもそこに「背景がない」ので、
「ただ場当たり的に起こった出来事が並んでる」ように見えます。
あと序盤から終盤にかけて出てくる明らかに架空と思しき水性生物。
あれはなんだったんでしょう?
特に主人公を能動的に助けてくれたわけでも主人公が助けたわけでもないのに最後のあの「同情」のシーン。
「かわいそう」以外になんかあのシーンに意味があるとも思えないですし、
架空の生物にする意味もわからなかったです。
そこは普通にクジラとかジンベイザメで良くね?
アイツだけなんで架空の生き物なの?
終盤付近で挟まれるスピリチュアルなシーンとかもアイツが消えてアイツだけ元に戻ったのも意味不明ですし、
何か「明確にアイツとアイツの間に種族以外の差があった」ように見えないです。
で、今までくどくど説明してきた事を一言で表すと、
「つまんない」んですよ!
何かキャラクター達を別の何かに置き換えて比喩する事もできるんでしょうけど、
そういうのは「お話に興味深い出来事があるから」比喩や暗喩の余地があるからであって、
起きる事もキャラクター各々が取る選択も平凡過ぎて考察の余地が無いんですよ。
敢えて言えば「人がいなくなったのはなんで?」ですが、
別に文明も高度に見えないから「移住した」ようには見えないし、
「過去に同じような洪水が起きて滅んだ」なら他の生物も滅ぶか、最後まで浸水しなかったエリアがあって、そこに文明があるならそこの人間は生きてますよね?
スピリチュアルな理由だとしてもあの現象が起こるのは一部の地域っぽいし。
低予算でこれだけの3DCGを作れた事は本当に素晴らしいと思うんですが、
脚本にも同程度の力を入れてほしかったです。
これだけ綺麗な世界作れたのに本当に勿体無い。
なのでこの映画は私個人としては誰かにオススメはできません。
強いて言うなら「映像美だけ見たい」とか、「動物が見れればそれでいい」くらい?
